せいたろ(sitr)
2025-03-15 01:23:34
10537文字
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花のかたち

レポート(前作)の、その日の夜

伊仙 仙伊 リバ 伊視点
ほぼ濡れ場
成人向
※他の男の存在が仄めかされます。
※交際せず行為に及ぶ描写があります。

転載・改変禁止

手水を済ませた。
爪は短かったけれど、丁寧にやすった。
風呂に入った。誰も来ないのを何度も確かめて、胎に植物油を馴染ませておいた。
髪を洗って、いつもより丁寧に濯いだ。
柚子の皮が浸かった椿油を、髪先に付けてよく櫛を通した。
なるべく清潔でいい匂いになりたくて、閨の支度を真剣にする。
……例えば祝言を挙げるお嬢さんは
……例えば身請けに出る女郎や陰間は
……例えば夜這いを待つ村娘は
楽しみにこの支度をするのだろうか。
前もってわかって抱かれるのを、楽しみにしていることがある。
信頼できる人の閨と、忍務での閨はきっと違う。これは前者。これは道楽。きっと今夜も耽ってしまう。三禁に触れている方の情欲。いけないこと。
「今日、部屋借りてもいいかな?」
「あっ、……色のレポート、この間のでは足りなかったか?」
自室に帰って留三郎に声をかけると、なんだか話が早かった。みるみる留三郎の耳が赤くなって、目が泳ぐ。
「そうなんだよ。うるさくしたらごめんね。」
「いや、お前も大変だろう。すぐ優を取れるといいな。」
とっくに書けているレポートの心配をされてしまって、内心申し訳ない。この間の、と言うのを聞く限り、一昨日の僕らの閨の声を聞いたのだろう。優しくって幸運な同室のことだから、もしかすると清らかで、授業の座学以外には色事を何も知らないかもしれない。
「すまない、留三郎。」
瞳を見る。耳を赤らめたまま微笑んでくれる留三郎。すっと切れ長なツリ目、真っ直ぐな鼻梁、表情が出る眉、薄い唇。優しい同室。みんなの事を大好きな、あったかいひと。
「良いんだ。同室だろう、気にするな。仙蔵がこっちに来るなら、い部屋で寝させてもらおうかな。」
「喧嘩しちゃ、ダメだよ?」
「お前も仙蔵も大変な時だからな。上手くやるよ。」
留三郎が部屋を出て行って、ほっと一息つく。換気のために戸を開け放って、火鉢に炭を足して、髪を拭いた手拭いを干す。布団を敷いて、豆炭を入れた行火を置く。昼に沸かした白湯が鉄瓶に残っている。綺麗な湯呑みも二つある。綺麗な手ぬぐいを二枚畳んでおく。薬棚から金平糖を出しておく。
「伊作。」
ぱっと振り向くと、開け放った戸口に寝巻き姿の仙蔵がいて様子を伺っていた。湯上がりらしい、いい匂いがする。羽織った半纏がもこもこで、細さが際立っている。気恥ずかしくて顔が作れない。
「何をバタバタ動き回ってるんだ?」
「ちょっと片付けを……
部屋に入って引き戸を閉める仙蔵が、おかしそうに表情を緩める。まだ湿った髪は高く輪に結ってまとめている。すんなりした首筋が綺麗だ。
「物が多い割にはまとまっている。だから気にするな。」
「でも、ここに寝てもらうのだし……
「私を見ろ。今夜はその為の時間だろう。」
仙蔵に顔を向ける。仙蔵の白い指が、半纏の前紐を解く。半纏をぽふっと脱ぎ落とす。寝巻きの腰紐を解く。ぱさっと腰紐が足元に落ちて、寝巻きの前が緩む。
一歩前に左脚が出る。はらりと離れた衿の間で、肌色が途切れず一続きに現れる。
声を出せず、薄く口が開いてしまう。
「お前を真似っこしたぞ。わかるか?」
得意げに笑む仙蔵に、心臓がぎゅっと握られた気分だった。顔が熱くて、血が早くて、何も言えないで、僕は急いで仙蔵の元へ歩み寄って、抱き締めた。壁にも障子にも、こんなに綺麗で色っぽい体を見せられない。

身体が大人になって、やっと色が自分のものになったと思う。
幼いうちはただ脅威だった。それを求める理性のない男がそこそこに居ると知っていた。自分に手を伸ばす存在があったから。殴られ物を盗られて、怯えた顔を見せてしまえば、その気配は擡げてくる。
一般的な大人と同じ大きさになってしまえば、幾らかは減った。そういう気配が向けられる前に逃げるのも上手くなったし、応戦する自信もある程度ある。教員に教わって武器を取る者としては申し訳なさもあるが、言葉で理解されないのであれば戦うしかない。
大人に近付いて、自分の意思で選べるようになって初めて、快楽の意味が理解できた。
色は虚ろなものではなかった。
意思疎通ができて、温度を共有できて、気持ちと手間をかけられる。奪ったり、奪われたり、ただ与えたり、失ったりするだけではない。満たしあったり、確かめ合ったり、笑い合ったりできるものだった。
……気に入らないか?」
腕の中でポツリと問われて、急いで答える。
「逆だよ……仙蔵。綺麗すぎて、慌てたんだ。」
背中にするっと腕が回る。仙蔵のしなやかな腕。ふふん、とご機嫌になった。耳元にちゅっと唇をつけてくれる。
顔を突き合わせると、仙蔵は眉尻を下げて、目を細めて微笑んでいた。首筋に腕を絡めて、何度も唇をちゅっちゅと吸ってきた。
「今夜は私からしたいんだ。」
……そうなの?」
口付けの合間に会話する。正直なところ、壁沿いの薬棚の数だけ抽斗がある。考えた効果の数だけ、バリエーションを展開できる。だけど、仙蔵の出す手札に興味がないわけではない。
「私はつまり、組み敷かれた時にどう手玉に取るかということを書いたのだが、それでは主導権がある場合の内容にならんだろう。」
なるほど?と思いながら聞く。
「お前だって、寄ってきた者をどう懐柔するのかという角度でレポートを書けるだろう?」
……本当だ、レポート……まだ書けるね。」
「私の案は陰間か女郎として近寄るものだが。お前の導入は本当に良かった、色といえばこう、という先入観が変わった。」
つっと首筋をくすぐられる。僕の手練手管を褒めてくれながら、仙蔵のしなやかな指が耳たぶをむにむに軽く揉む。そうしながらも唇は軽く触れ合っていて、時々吸ったり、舐めたり。僕からし返そうとすると、仙蔵はぴたっと口を真一文に閉じてしまう。
「あんまり……色っぽくできないから……
なんだか物足りない。はむ、と首筋に唇でじゃれつく仙蔵に、ぴくんと指が震えてしまう。半纏と寝巻きの間に仙蔵の腕が入ってくる。僕の方が体温が高くて、仙蔵の腕がどう這うかが際立っている。腰から背中へ、肩甲骨へ、ひたっと手のひらが登って、僕たちの身体の前側がぴったり密着する。
「お前の良さが出ていたぞ。あんな按摩屋がいたら、家に上げてしまうだろう。」
甘い匂い。花の匂いが、仙蔵の身体のどこかについている。今度は手のひらが下へ降りてゆく。背骨を一つずつなぞって、背筋を確かめて、骨盤に親指を引っ掛ける。腰紐を辿って結び目を見つけると、解いてしまう。足元に腰紐が落ちる。
ぱらっと衿が開く。
……お揃いじゃないか。可愛い顔をして、助平め。」
ふふ、とご機嫌な吐息が聞こえる。腰巻も褌もつけなかったのを、揶揄うように指摘する。戸の前で仙蔵を抱き締めて突っ立ったまま、身体の前側の肌が触れ合う。ときときと鼓動が早まるのを感じる。
「寝しなはいつも下着をつけないのか?」
「いつもは……つけるよ……
ふうん、と、相槌を打つ。満足げに薄く微笑む仙蔵が、寝巻きの上から身体の前側に触れる。鎖骨をなぞる。胸を撫でる。圧を悪戯に変えて、弄ぶ。羽でくすぐるようかと思えば、押さえるようにすりっと擦る。関節に向かう肉を確かめるように辿る。乳輪をなぞる。
僕の脚の間が、ふらっと揺れる。
「こう元気では、すぐ汚してしまうからか?」
……ぅん……
顔が熱い。恥ずかしい。仙蔵が唇を舐めてくれる。気持ち良くてぼうっとして、僕は仙蔵の舌を喜んで迎える。お互いに舌を舐め合いながら、仙蔵が僕の衿を開いて、臍を合わせるように身を寄せる。僕の半勃ちの魔羅を、柔らかで白い脚の間に迎える。一昨日挿入した感触を思い出して、みるみる魔羅が膨れてしまう。亀頭が仙蔵の会陰にあたる。
「こら……、お前は……
叱るような、いなす様な声を聞いても、どうにも気は収まらない。仙蔵の腰を抱いて、少し揺らしてしまう。仙蔵の会陰に僕の亀頭を擦り付ける。すぐに汁が滲んで、にちにちと濡れた摩擦音が立つ。
「こんな……綺麗な人が、陰間だって現れたら……こうなるよ……
「ん……ふふ。へこへこ上手にできてるな。ぁっ、……女郎だったら、…………挿入ってしまう、そこ……
腕の中でしなを作る仙蔵が艶っぽくて、いい匂いで、男が種をつけたくなってしまうのは湧き上がるものがあるからだ、と改めて実感する。きっと僕は怖い顔をしている。こんなに序盤で理性が揺らぐのは良くない。
ただ、その気を出した仙蔵が、太刀打ちできない程に妖艶なのは間違いない。ついこの間まで身体を開くことでしか色を体現できなかった自分が、雄の部分を暴かれている。大した愛撫を受けていないのに、雄を抑えておけずに涎を垂らしている。
「待て、だぞ。聞けるな?」
しゅんと唇を結ぶ。頬を撫でられて頷く。仙蔵が口の中で「良い子」と囁く。身体の真ん中を縦に唇で辿ってゆく。喉、鎖骨、胸骨、みぞおちを順に口付けて、唾液を絡めずに舌を這わせる。
手指とは違う、芯のない圧。
仙蔵の頭が、少しずつ下がってゆく。
仙蔵が膝立ちになって、臍に唇を付ける。今度は濡れた舌を尖らせて、窪みをくりくり探る。僕は期待で、鼓動が早くて、彷徨う手のやり場がなくて、仙蔵の頬を指先でくすぐった。
「待てというのに。そう物欲しそうに見るな。」
得意げに微笑みながら雁首につっと指を添えて、反り返った魔羅を僕の下腹に押し付ける。竿裏をとろっと舐める。撫子色の濡れた舌をべろっと伸ばして、舐め上げる。その、なぞられるごとに、鼻裏で声が漏れる。口をぴったり閉じたってどうしようもない。堪えたい気持ちで眉が歪む。
尿道口に直角の方向へ、仙蔵の指に摘まれる。くぱっと合わせ目が開いて、尖らせた舌でその合間をくすぐられる。背が震えて、声が我慢できない。
「ゎ、あ、あっ  」
仙蔵は窄めた唇をそこにつけて、ちゅる、とあからさまに音を鳴らす。嬉しそうに得意げに微笑みながら、ぬるんと亀頭を咥え込む。
「ひぅ  だめ、だめぇ……
膝が震える。立っていられない。かくんと脱力してしまって、布団に尻餅をつく。
……ん、行火、避けておくぞ。」
はあ、はあ、と息を乱しながら、身体が疼いて、期待して、ままならない。
行火を部屋の隅に置き直して戻ってきた仙蔵を見上げる。唇を汚した僕の汁を気にして、ぺろんと舌舐めずりする。猫か、虎か、しなやかで気儘で強気で、腰砕けの僕を満足げに見下ろしている。
「挿れたいか?」
ぴく!と僕の魔羅が跳ねる。くっと笑って、
……良いお返事をしたな。」
顔が熱い。
どうして、
どうして僕は、何も言えないの。
頷くのに精一杯で、どうにも言いなりになってしまう。
僕はもっと、色を理解したつもりだった。
仙蔵をちゃんと抱いたのに。
僕の思う通りに身体を開かせたのに。
触れるだけの力で胸を押されて、ぽふんと布団に仰向けになる。息が短くなってしまう。四つ這いで僕に乗る仙蔵は、上等な猫科の獣だった。気位の高い笑みを崩さず、反り返って涎を垂らす僕の亀頭の上に腰を下ろす。騎乗位で会陰を押し付けて、僕を誘う。
早く挿れたくて、自分の根本に手を添える。
「ぁん、……こら、待て、許してないぞ……
僕の亀頭が仙蔵の中に潜る。
ぎゅっと堪えて、目を瞑る。
短い呼吸しかできなくて、動きたくて、焦れったくて、じわっと瞼を開く。ぽうっと瞳を蕩かせた仙蔵もゆらっと勃起していて、ぬーっとゆっくり腰を落とす。
「は…………
「仙ぞ……
仙蔵が僕を見る。眉を寄せて、瞼は重そうで、唇を薄く開いている。こんなに淫らなのにとびきり華やかで、綺麗だ。ふわっと鼻の中をくすぐるように、花の匂いを感じる。花粉がこぼれる大輪の百合を思い浮かべる。
……コンコン したい、仙ぞ、の、中っ……
吐息混じりの仙蔵が薄く笑う。
「すぐに気をやってはいけないぞ……?っん、……コンコン、してごらん……
許してもらえて、頭の前側が熱い。下から何度か突く。その度に仙蔵は声を漏らして、堪えるように眉を顰めた。仙蔵は僕の上に四つ這いになっている。僕は膝を立てて腰を使う。狭く、あまり抜けないように、コンコン小さく、なるべく奥を突く。
「んっん、 っぁん、あっ、いさ、……伊作、そこ」
白い肌が、ほんのり色づいている。僕も仙蔵も身体が熱い。コンコン、コンコン繰り返す。工夫できず繰り返し続ける。
「じょうず、いさくっ……こんこん……へこへこ、かわいぃ……
とろんと甘えた声で褒めてくれる。四つ這いの腕がかくんと脱力して、僕の胸に仙蔵が身体を預けてくる。仙蔵の身体を両腕できゅうっと抱いて固定する。
「種……交換こしよ、仙……
「ふふ……特別だぞ……?つぎ、はぁ……っん、わたしが、いさに入る……
僕の首筋に顔を埋めて、吐息を混ぜながら囁く。
「いさくに入って、っ、ぁん、ずぽずぽ……腹側をっ、……こするんだ……
ぱちゅ!と腰を打ち付ける。固定した仙蔵に深く勢いよく嵌めて、ぐりぐり左右に揺らす。その揺れ毎に、仙蔵の背がびくびく固まって、小さく震える。
力任せに突く。ぱん、ぱちゅ、ばちゅ、ぱん、ぱち、突く毎に濡れた肌が鳴る。何度も何度も、力任せに突く。一番奥に届きたい。僕に特別と言ってくれた。交換こ。子種を此処に注いでいい。
「あっ、ぁん、あ、あ、あ  」
「っ、んぅ、ん、んく、ぅん  」
されるまま甘く鳴く仙蔵に自分のん音が重なる。肉がうねって吸われるようで、仙蔵の胎に射精したくて、ぞわぞわ迫り上がる感触に夢中で突き上げる。
「あっ仙、せん、でる」
「ぃいぞ……♡」
甘く耳の中に許可をもらって、その舌に舐められて、僕は腰をびくんと痙攣させて達した。奥に穿ったところで身体が硬直して、びゅくびゅく震えながら吐精する。
「びゅ、びゅう、ん……びゅっ、びゅー♡いっぱい……んぅ、出てるな……えらいぞ……
僕の耳に囁く声が煽るようで、ぐっと下腹に力を込める。括約筋を絞って魔羅がぐんと動くと、仙蔵が鼻裏で小さく鳴く。ふぅ、ふぅ、と息を抑えるように整えながら顔を上げて、目を細めた仙蔵が愛おしそうに笑ってくれた。
「偉い子、見てごらん。」
「ぅん……?」
のろっと身体を起こした仙蔵が、布団に後ろ手をついてしゃがみ座りに脚を置き直す。ぱかっと脚を開いた仙蔵の身体と僕の間に繋ぎ目が見える。白い尻たぶの谷間に深々と僕が埋まっている。汁にまみれた仙蔵の魔羅は桃色に腫れている。
釘付けになってしまう。
あんなに余裕そうにしながら、僕に内緒で一度は達していたらしい。僕のお腹に垂れた仙蔵の体液は白濁していて、仙蔵の魔羅と僕のお腹の間にてろんと糸を引いていた。
くぶくぶと白く濁った汁が繋ぎ目から漏れ出ている。そこに仙蔵の汁が垂れ流れて、合流する。
仙蔵が腰を浮かせて、抜けてしまいそうなところまで離れて、かくんと落ちるように座り込む。
深々と咥え込まれて、身悶えする。ぬちゅ、と、二人の子種が混ざり合う感触がわかる。内腿が震える。意地悪されている。びりびりして、心臓から直通の血管ができたのではと思うぐらいに、鼠蹊部へ、会陰へ、睾丸へ、竿裏へ、雁首へ、亀頭へ脈打ってしまう。
いやらしくって、綺麗で、生々しくて、抗えない。
「お前の胎もトロトロにしよう。交代だぞ。」
「ぅん……
ご機嫌に微笑む仙蔵が膝をついて腰を上げて、今度はぷちゅっと身体が離れた。僕はまだみちみちに勃起していたけれど、もう挿入してもらう妄想で満ちていた。
すらっと上反りで仙蔵の腹に沿っている滑らかな魔羅を目で追ってしまう。
「これはそんなに旨そうか?」
ふっと笑って、平気で言う仙蔵。驚いて仙蔵の瞳へ目を吸い寄せられる。叱られたみたいにきゅっとなって、恥ずかしいけど頷く。これを知っている。お腹の前側を抉ってくれる、ぴんと沿ったかたち。口でも胎でも咥えた、滑らかで硬い肉質。
「いっぱい、おいしぃ……
何とか声を出す。僕はこのひとの手のひらでいいように転がされている。わかっていても止められない。欲しい。このひとに穿たれて、このひとが好きなように擦るのを感じたい。
このひとの優越感を、僕の身体に注いで欲しい。
このひとの歓びを、そのまま垂らして欲しい。
このひとにしかられて、
このひとにゆるされたい。
自分の右脚を自ら抱えて、尻肉を分けて見せる。丁寧に丁子油を塗り込めたひだがきっと見える。窄まりをむにっと拡げるようにして見せる。
「ここ、ちょうだい……
ぱちりと瞬いた仙蔵が、表情をくしゃっと崩す。楽しそうに笑って、眉を下げて、あんなに得意げで意地悪だったのに、僕に屈んで
「可愛い伊作。そんなに殊勝に言われては、もう意地悪を言えないじゃないか。」
「ほしぃ、 もう、 ほしいよぉ 」
綺麗な顔で、困ったように笑う。
僕が拡げる窄まりに、仙蔵の魔羅が押し付けられる。それだけでゾクゾクして、抱えた右脚をぎゅっと抱く。今し方の行為で出た汁が、挿入をもっと滑らかにする。ぬるんと亀頭が埋まって、そのままぐうっと奥まで進まれる。
ぶるぶるっ、と震えて、ところてんが筒から突き出されたように、仙蔵が挿入ってくるとおりに、僕から汁が流れ出た。
「おや……
はひ、はひ、と、唇が震えて閉じられない。膝が笑っている。瞼の裏に星が飛んでいる。
「ふふ……、こんな事を真似っこするとは。」
ぬーっと引いて、すとんと穿つ。またその通りに、ぴゅく、と汁が出る。ぞくんと背が震える。声が出ない。
「可愛い伊作。これを待っていただろう?寂しがりの甘えん坊の胎だ。」
ゆっくり抽送される。震えながら、繋ぎ目から目が離れない。僕と仙蔵の間が、離れて、閉じて、離れて、閉じて、離れるときも閉じる時も魔羅が震えて、ぴゅ、ぴる、と汁が垂れ流れる。
「甘えてごらん。もう待てはお終いだ。」
「 きもち ぃ の おなか  」
うん、と、仙蔵が微笑んでいる。
「おしる とまんな ぃ」
仙蔵が奥にゆっくり穿って、ぐりぐり腰を押し付ける。ひ、はひ、と震える唇で息をして、繋ぎ目がじんじん痺れて、何もわからなくなってゆく。
「 ぁっ あまぇ んぼ ごめんなさぃ」
奥をコンコン短く突き始める仙蔵に、鼻裏で喘いでしまう。高く、ん音で鳴いてしまう。
「ん ん ごめ んなひゃ あ ゎるぃこ さみ し んぼ あ ぁん ん」

ああ。

いやらしい。
悲しくて涙が出る。
気持ちいい。
はしたない。

浅ましい。

「悪い子なものか。良い子の伊作。」
目を見開いて、仙蔵を見る。
汗で前髪がぽそぽそになった仙蔵が、優しく微笑んで僕を見ている。抽送を止めて、僕に屈んで口付けをくれた。震える僕の手を導いて首筋に絡ませてくれる。
「可愛い伊作。優しい伊作。賢い伊作。」
ほた、と耳に雫が転げ落ちる。
仰向けで涙が止まらなくて、こめかみを伝ってほたほたと雫が落ちる音がする。
「私を見てくれる伊作。こんな宿題に付き合って、身体を開いてくれる伊作。私に新しい快楽を教えてくれる伊作。私といいことをしてくれる伊作。」
優しく口付けを繰り返してくれて、僕は仙蔵の首筋に縋り付く。
「私は良い子だろう?完璧で、美しくて、色っぽい。」
頷く。そんなのは、間違いない。
「その私が言うのだから、お前も良い子だよ。」
どうして。
どうして僕を悪い子でいさせないの。
「良い子が二人で宿題をしているのだから、悪いことなんて何も無い。お前がコンコンしてくれてとっても良かった。私もお前にいいことをしたい。」
「い い……こと……
ちゅっ、と口付けをくれて、眉を下げて僕の目を見て仙蔵が言う。
「私は悪い子で、いけないことをしているか?それとも、私は良い子で、いいことをしているか、どちらだろう。」
仙蔵は、悪い子じゃない。
……私が言うことは怖かったな。意地悪を言って悪かった。自分のペースを堅牢に作りたかった。」
ふるふる横に首を振る。僕の不安が、どうしてか決壊してしまった。そんなに意地悪を言われたわけじゃない。僕に問題がある。
「仙ぞ……ごめ……、泣いちゃっ……
ふふふ、と優しく笑う仙蔵。涙が垂れた頬やこめかみに唇をつけてくれる。身体はまだ熱くて、仙蔵が身動ぎするのにもひくひく反応して震えてしまう。
「仙ぞぉ……良い子。」
うん、と頷く。
「いいこと……してる。」
「そうだな。いいこと、やめた方がいいか?」
ぷるぷる首を横に振る。
「そうか。やっぱり嫌だとなったら言うんだぞ。」
「ならないよ……
首筋に絡めた腕で、仙蔵を引き寄せる。
「いっぱい、して、ずぽずぽして。おなかがわ……なかから、こすって。」
耳元に小声で囁いた。きっと安心しすぎた。仙蔵にされるまま自分のペースや考えを持たずに気持ちよくなってしまったことが怖かった。ただ溺れていってべちょべちょに汁を垂らす自分がはしたなくて不安だった。
いけないことをしていると思っていた。
なのに仙蔵は、自信たっぷりに笑ってくれる。どんなにいやらしい痴態でも、仙蔵の姿は綺麗だ。いつか見た真っ白な百合みたいに、しゃんとして、甘く香って、美しい。
「いいこと……して。」
「勿論。いいぞ。お前にいいことをしてあげる。」
くんと胎に仙蔵の魔羅が反応するのを感じる。嬉しくて、口元が緩む。
ゆっくりと抽送が再開する。
「 ぁん、 ん、 きもちぃ」
上反りのかたちが、僕の胎の前側を中から擦る。さっきこれが入ってきただけで、僕は抗えず射精してしまった。
「私も……
「せん も?」
「ああ。きゅんきゅん、締まって……私を、吸ってくる、……っん、可愛い、じょうず、いさく……
たくさん褒められる。嬉しい気持ちで、擦られるごとに性感が温かく拡がってゆく。気持ちいいのは僕だけじゃない。
「仙ぞ、が…… ぁぅ、反ってる からぁ ん、んん」
「わたし、の……かたち、すきか……?」
じっくり往復する毎に息が漏れる。もっと欲しくて、脚を開いて、仙蔵がもっと僕に身体を重ねられるように、自分の太腿を引きつける。濡れた肌が、ぷちゃ、たぱ、と往復する毎に鳴る。僕の足先が揺れるのが、仙蔵の肩越しに見える。
「すき……
仙蔵のかたち。
「ん…… わた、しも お前のかたち、すき……
あやすように、ゆっくり揺れる。ぱち、たぱ、ぱちゅ、揺れる毎に濡れ音が響く。
「ん んぅ、 ぼくの……?」
「むちむちして、カリ、ぷくぷくで……
仙蔵の髪が、不意に解けて落ちる。蚊帳を引いたように囲われて、僕と仙蔵の空間が狭くなる。
「すき……
ぽしょっと耳元に仙蔵が小さく囁く。
かあっと耳が熱くなる。鼓動が早まる。どうしようもなくて、仙蔵の首筋に縋り付く。
「あっ しゅき」
「ん、 ふふ……すき……
ちゅ、ちゅっと耳元に口付けの真似をする。
仙蔵は笑って同じことをして、どちらからともなく唇を重ね合う。上も下も繋がって、腰を揺らして、抱き合って、肌を合わせて、くっつき合った。
「しゅき、 ぅ ぅん せん、きもちぃ」
「ん、すき、 ん、 ん 」
胎でひくひく震える感触を見つけて、仙蔵が達しそうな気がして、嬉しくてぎゅっと縋り付く。
「ぼく、 もぉだめ、っぅん、 んん ん」
「いさ、あっ あぐ」
堪えずにびゅくっと射精した。僕の絶頂に搾られて、殆ど同時にびゅー……っと仙蔵も吐精した。
……ん♡  ……いっぱい、でてる……♡」
はっ、はっ、と息を整える仙蔵は、少しの間何も言わずにじっとしていた。
ふー……と長く息を吐いて、ようやく体重を預けてくる。ぴったりと抱き合ったままで、口付けあった。くすぐったい気持ちで笑い合った。
うりうり頬擦りする。笑って、仙蔵も真似してくれて、ひとしきりそうした後そっと顔が離れる。ぬちゃ、と濡れ音を見ると、僕と仙蔵の腹の間が体液で糸を引いている。
じわっと仙蔵が腰を引いて、繋ぎ目もぬぽっと離れる。ふるっと内腿が震えてしまう。僕の精液が、身体を縦にした仙蔵の胸をゆっくり流れ落ちる。
「なんと言うか、……夢中になってしまうな……
「すごかった……
仙蔵は用意しておいた僕の手ぬぐいを1枚取って、先に僕の身体を拭いてくれた。脚を目一杯に開き続けていたせいで、股関節がぼんやりしている。
「私の口上はすごかったか?」
「触り方とか、全部すごかった!」
ふふん、と得意げに笑って、拭き終えた僕の脚を閉じさせて、寝巻きで包んでくれる。
「そういう忍務の手記があってな。私の性格にも合いそうだと思って、少し取り入れてみた。」
自分の身体も拭き終えて、白湯を湯呑みに注いで、仙蔵がひといきに飲み干す。その姿をぼうっと見ていると、次は僕に口移しで、冷えた白湯を飲ませてくれた。
金平糖を口に入れてくれて、仙蔵も一粒食べる。寝巻きを放り出した裸の仙蔵が、僕の隣で僕を巻き込んで布団に包まる。僕も布団の中でじたばた脱いで、寝巻きも半纏も寝床から押し出した。
「それ、僕も読みたいな。」
「ええ……?お前があんな……私は嫌だぞ。」
肌が触れ合う感触が心地良い。あたたかくて、安心する、無防備な感触。おでこが少し触れ合う距離で、ひとつの枕に頭を乗せる。僕の首筋に仙蔵は腕を巻きつけて、僕は仙蔵の背中に腕を回して、ぺったり抱き合った。
「お前はワンコみたいに無邪気に甘える方が向いてる。」
「そうかな……
うん、と、とりつく島もなく頷かれてしまう。
……ほら、寝るぞ。」
しんと冷える夜でも、二人触れ合ったところがあたたかい。
「うん……。おやすみ、仙蔵。」
「おやすみ。」
僕の頬にうりっとおでこを擦り付けて、仙蔵はほどなく寝息を立て始めた。

金平糖を噛んで、ざらつく砂糖が唾液に馴染んで溶けていく。
くすぐるような百合の香りが、仄かに佇んでいる。