のちゃ
2025-03-13 21:23:27
1376文字
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子どもあつかい(SS)

※本編時空です
※アルイザと思われる


夜。

アルヴァを抱えて寝室まで運び、ベッドに座らされた彼女の不服そうな顔を見下ろしてイザベルは一息ついた。

バーから帰り、「目が冴えちゃったから一仕事しようかな」とその足で研究室に向かおうとするアルヴァを引き留めたが、聞かなかったので強硬手段となった。

足取りは確かであったが、帰り道でぶつかったゴミ箱に謝っていた程度には酩酊している状態の彼女に、研究室までの梯子を上らせるわけにはいかない。

「イザベルは過保護なのよ。ねえ、ソニックボーイ?——同感だ。イザベルは少々心配性が過ぎる」

ソニックボーイを両手で持って声音を変えて一人二役をするアルヴァを尻目に、イザベルは嘆息する。

アルヴァは幼い頃から変わらず、今でもおもちゃで遊ぶのに夢中なようだ。
好奇心旺盛な彼女にかかれば、グラグラ谷のガラクタから精密で繊細なロケットまで面白いおもちゃになってしまうだけだが。

「いい加減に着替えたら?」

出かけたときのままの格好でベッドに寝転がりはじめたアルヴァに声をかけると、彼女は「イザベルが脱がしてよ」と体を起こした。

熱中すると周りが見えなくなる性質のアルヴァは、眠気の限界まで目の前のことに没頭してしまうこともしばしばある。
最近は——研究室で寝るようになったので——なくなったが、子供の頃はオイルに汚れた服のままでベッドに入ることを躊躇わなかったので、よくおじいさんに嗜められていたものだ。

その甲斐あってか、さすがに汚れた服はベッドに入る前に脱ぐようにはなったが、代わりに、脱いだ服を部屋中に散らかすようになった。成長しているんだか、していないんだか。

上着くらい自分で脱いで片付けてほしいが、またその辺に放り出されてはたまらない。そう嘆息するイザベルはアルヴァの要求には返事をせず、ハンガーを手にしてもう片方の手の平を彼女へ向けて差し出す。
アルヴァはつまらなそうな顔をしながらも、おとなしく上着を脱いでイザベルに預けた。

薄いインナーだけの姿になって再び寝転ぶアルヴァは、掛け布団の上にいた。イザベルは軽く眉根を寄せて「布団被らないと、冷えるわよ」とだけ伝える。何から何まで世話をしてやるつもりはない。
アルヴァの体が小さかった頃は、わざわざ抱き上げて布団をかけてあげたりもしたが

「イザベル」

呼ぶ声と、布団を軽く叩く音。
過去を懐かしんでいた視線を目の前のアルヴァに向けると、アルヴァはイザベルに自分の横に来るようにと促していた。

ベッドの上に散らかった桃色の髪を下敷きにしないように、アルヴァの体から少し離れたところにイザベルが腰掛け、マットレスが沈む。
アルヴァが腕を伸ばし、イザベルの体をベッドに引き倒した。

——数秒経って唇同士が離れて、イザベルが素っ頓狂な表情をしている。アルヴァはせっかく開いた瞳をまた細めて笑った。

「何でそんな意外そうな顔してるの。そういう雰囲気だって、わからなかった?」
「だって、寝ると思ったわ」
「目が冴えたって、さっき言ったじゃない」

イザベルの視界が翳る。今の今まで横に寝そべっていたはずのアルヴァが、天井の明かりを遮っている。

「イザベルってば、まだまだお子さまなんだから」

そう言ってもう一度近づいてくるアルヴァの唇からは、お酒の匂いがした。