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三毛田
2025-03-12 21:59:57
1071文字
Public
1000字3
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29 09. 待ち合わせ五分前
29日目
それでも君はまだ現れず
そわそわと、己が落ち着きがないのは自覚済み。
「ごめん! 遅くなった!」
「いや。待ち合わせ時間前だ」
息を切らせて走ってきた穹は、必死に息を整えてからこちらを見上げる。
今は、待ち合わせ五分前。
余裕を持って、俺が早く来てしまったから彼が気にすることではない。
「ただ、お前が時間ギリギリなのは珍しいな。何かあったのか」
「道に迷ってるおばあさんを、目的地まで連れて行ってたら、ギリギリに」
「それならば、一言入れてくれれば俺は何も言わなかった」
「そうしたかったけど、待たせたくない気持ちと、早くお前に会いたい気持ちで、さ」
「
……
そうか」
そんな言われ方したら、何も言えなくなってしまう。
こんなにも、彼に好かれているのが嬉しくて。
でも、素直にそれを口にするのは照れくさくて憚られる。
「丹恒?」
「お前が無事でよかった。事故になったかと、心配したんだ」
若干汗ばんでいる頬を、そっとハンカチで撫で。
「ごめん。心配かけた」
「そうだな。だが、目の前の誰かに手を差し伸べ、助けるのはお前らしい」
そんな彼だからこそ、俺は好きなのだ。
「落ち着いたら、店に向かおう」
「大丈夫だ」
「ずっとここまで走ってきたんだろう? まずは水分補給だ」
手を引き、自動販売機で飲み物を買って。まず頬に当てる。
「あー
……
冷たくて気持ちがいい
……
」
俺の手から受け取り、反対の頬に当て。その後、首を冷やすように動かし。
「ぷはー! 生き返る!」
「一気飲みするのは、あまりよくないぞ」
「でも、喉が渇いたからさ」
「わからなくもない。だが、残りはゆっくり飲め」
「うん」
俺も別の物を買い、ゆっくりと飲む。
「丹恒、ありがとう」
「どういたしまして。落ち着いたか?」
「落ち着いた」
空になったボトルをごみ箱に入れ、手を差し出してくる。
飲みかけをポケットに入れ、その手を取って歩き出す。
「本屋と、食材と、それから?」
「好きなものを買って、気に入ったものがあったらお土産に買えばいい」
「うーん」
腕を組んで、少々悩まし気な表情を。
「どうした」
「丹恒に甘やかされるのは嫌じゃないんだけどさ、なんていうか、こう、一方的にっていうのがさ」
「それなら、店に入ってお前が俺の分を、俺がお前の分を選ぶのはどうだ」
「それならいいよ」
と、納得してもらえたので安心する。
俺は構わないのだが、穹が嫌だと思うのであれば強要出来ない。
「久しぶりのデートだし、丹恒とは対等でいたい」
「そうか。そうだな。俺もそう思う」
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