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望月 鏡翠
2025-03-12 19:40:47
895文字
Public
日課
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#1659 「証明写真」「デッドスペース」「日本海」
#毎日最低800文字のSSを書く/三題話
頭が痛くなるほど長い研修の後、別室に連れて行かれ、そこで写真を撮影があった。写真を撮るのなら、せめて事前に休憩を入れてくれないだろうか。鏡を見る時間すらなく、疲れ切った顔を撮影された。
それが私の証明写真となり、社員証に明日には辞表を出してきそうな顔のまま撮影された。任務で出向いて、身分証を出すたびに不本意な気持ちになる。
あなたの目の前にいる人間は、本当はこんな顔じゃないんです。もっと明るくハキハキとした顔をしています。だからこちらの顔を見てください。相手の注目を集めるように明るくハキハキした声で挨拶をする。
最初だけだ。私はすぐに仕事に疲れて、元の疲れた顔に戻る。証明写真と同じ顔だ。文明から隔たったところだけを選んで一日中かけずり回っていたら、誰だってこうなる。
私たちの仕事は過酷だ。
少なくともスーツをきてやる仕事ではないだろうと思う。甲板が波に洗われる小さな漁船に乗り込んだとき、心の底からそう思った。途中で着替えようとしたら、それが制服ですと助手に冷たく言われてしまった。
ずぶ濡れのスーツより行動を阻害する服なんてあるだろうか。こんな制服間違っている。
クドクドと文句を言いながら、私は日本海のど真ん中に繰り出していく。
海の中に小島があったら、どこの領土かと大いに揉めるが、海面に出ていなければその限りではない。地図を書くために調査されても何かに使われることはなかったデッドスペース。そこに用がある。
過去の文明が残した遺産がそこに埋まっている。他の誰かに見つかる前に回収するのが我々の仕事となる。
「どうしてあんなところに埋めたんだと思う」
海の底なんて、回収が大変だ。
「海の底でなかったら、私たちの仕事はもっと大変になっていましたよ」
それもそうだ。うっかり漁船の船長が見つけて回収していたら、私たちの仕事は異能者と戦うことに変化していただろう。
「この船の船長とかはさぁ、大丈夫なの」
近くにいるだけで、その気配に当てられる。悪影響があるはずだ。
「私たちと同類ですよ」
「マジ?」
じゃあ愛想笑いする必要なかったじゃん。
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