望月 鏡翠
2025-03-12 17:33:56
856文字
Public 日課
 

#1658 「スカイチーム」「謎」「笑止千万」

#毎日最低800文字のSSを書く/三題話


 最近の活動が活発すぎる件について、彼から聞き出す必要があった。もったいぶって神秘を保てと言ってるわけではない。しかし、都市伝説の存在が人の常識を覆してしまう可能性については、常に頭に置いて行動してもらわなければ困る。
 匂わせるのはいい。しかし存在を証明されてしまうのは困る。
 それがきっかけにたとえばネッシーだとイエティだとか、そういうものの存在まで引きずり出されてしまうかもしれない。それを懸念している。
 我々はまずそれを説明した。決して君を責めているわけではない。自由に出歩く権利は誰にだってある。軟禁状態なんて、誰にとっても恐ろしいことだろう。そんなことにならないように、こうして今話し合いの場を設けているんだ。
 そんな風に前置きをした上で、調査は開始された。
 動機を聞かれたときに、彼がスカイチームに加わりたいなんて言わなければ、厳重注意で終わっただろう。
 スカイフィッシュが航空機の仲間になれるわけがないだろ。それは思っても口に出さなかった。代わりにどうにかしてオブラートに包んで彼に伝えなければいけなかった。
 空を飛ぶ以外に航空機と共通点がない。笑止千万だ。それに空を飛ぶ謎の生き物が、スカイチームに加わるということはすなわち、存在を証明した上で世間に明らかにしていくことを意味する。
 だいたい、君は所属の条件を満たしていないんじゃないか。
 そもそも君は企業ですらないし、人も物も運んだことがないわけだから。
 そう説得すると、彼は不機嫌な仏頂面になった。
「じゃあ、人や物を乗せられるようになるよ。でかい男になって帰ってくる」
 それは見ものだ。高速で飛ぶ貨物。中のものはぐちゃぐちゃ、人も衝撃で潰れ、そしてその大きさのものが音速で移動したら、衝撃波で周囲は大変なことになりそうだ。
「そういう現実の制約から解き放たれているから、俺たちは未確認で都市伝説なんだよ」
 確かにそれはそうだ。存在自体が夢のある存在なのだから、彼の非現実的な夢も叶う未来があるのかもしれない。