星を飼う(洛信)

おれは洛信がすきなんだ。お星さまと願いの組み合わせだからな(妄言)


星を飼う



「起きるなよ」

 という割に彼は堂々と忍び込んでくる。洛軍がねむる寝所の中へ。洛軍が空ける大人一人分のスペースへ。
 洛軍は彼のふわふわの髪に触れ、星くずのついたうなじを撫で、彼が纏う藍色の疲れを眺め、ベルトやネクタイを解いて寝床にもぐりこんでくるの待つ。夢うつつに。
 彼は洛軍の腕が差し出す腕を当然のように枕にするし、洛軍の首下に顔を埋め背中を摩るように強請ってくるし、薄闇の中でも淡く発光するような頬に洛軍はそっと口づける。吐息を聴かせ合い、眠気を渡し合う。
 彼は眠りにつきながら、「龍哥……」と細く鳴くこともある。彼のために、彼の夢に現れてくれたのだろうあの人を想いながら、でも夜が明けたら俺を呼んでくれよとも思う。彼を抱きしめて、彼にしみついている煙草の匂いを吸い込み、誓うように、駄々を捏ねるように、小さく「信一」と呼ぶ。
 俺はこんなにも欲深かったのかと、最近、洛軍は思う。ずっとずっと、願うことも儘ならず生きてきたから、ここに来て願いのすべてがこの腕で囲う稚い男に集約されてしまっているのかもしれない。
 鎖骨の上につけたキスマークが薄い。つけてみるか?と促され、先週、洛軍が初めてつけたキスマークだ。初めてできた恋人に。
 洛軍は消えかかったキスマークに唇を落として、恋人が眠りから覚めてしまう可能性を思いながらも、欲に抗えずそこを強く吸った。

 朝の身支度をする信一を思い出すと鼓動が早くなる。彼はきっと、朝日に顔を顰めながら欠伸をし、昨日と同じネクタイを手に取って鏡の前に立つ。そして突然、へぇ? と小さく表情を変えるのだ。初めて出会った時のように。
 値踏みするような目でキスマークに触れて、そして片眉を上げながらネクタイを手渡してくる。眼下に映える鮮やかな所有証。それを隠すようにネクタイを巻きつけるあの甘美な時間。

 ああ、俺はもうだめかもしれない。





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