著者: 雷歌/らいと
2025-03-12 15:08:36
2319文字
Public モンハン
 

【MHWs / エリハン♂】その舌はとても強情

本日開始のイベクエ名があまりにもアレ過ぎて滾ったため勢いで書き上げました。
すでに両想いのエリハン♂です。

 少しでもその行為に慣れてもらうために、幾度となく触れるだけの口づけを交わしてきた。
 この地で二人が逢瀬を重ねるには、落ち着ける場所も隠れる場所もない。だからか、彼はそれ以上を求めようとはしない。それとも、そもそも知らないのだろうか。モンスターの生態には詳しいから、雄と雌のことなら理解しているだろう。だが、同性同士の関係については──。

 真面目な顔で不埒なことを考えていたエリックは、人々のざわめきで思考を途切れさせた。普段なら気にも留めないが、今回は誰かの「ハンターさん?!」という驚いた声があったためだ。ざわめきの中心へと目をやると、そのハンターの姿に驚く。粘着性のある液体が体中にまとわりついている。オトモアイルーが心配そうに彼の周りをうろうろしていた。
 エリックも珍しいなあと感じながらハンターに近づく。
「ハンター? これって……チャタカブラの粘液かな」
「ああ。絶命寸前にしてやられてな」
 砂の民が危険な目にあっているところを助けたはいいが、とどめを刺したと思った瞬間、太く長い舌が伸びてきたのだという。避ける暇もなく、たっぷりと粘液をまとった舌が体に叩きつけられた。とはいえ、本来の力の半分も出ていなかったのか、痛みはない。
「ポーチに補充もしたかったから、いったん戻ってきたんだ」
 いつもなら近くの水場で洗い落とすが、今回はそのまま戻ってきたらしい。
「あ、もしかしてそれって歴戦の個体だったりする?」
「ああ、そういえば……
「だったら粘液採取させて! 通常個体と歴戦個体の違いって、まだ調べてないんだよね」
「構わない。が、とりあえず水場に行ってからでいいか」
「もちろん! 容器とか取ってくるから、水場で待ってて」
 急いで採取に必要な容器や薬剤を手にし、ハンターのいるであろう水場へと向かう。そこでは、ちょうど装備を脱ぎ切ったハンターが、アンダーウェアに手をかけようとしていた。
「中までべとべとだ……
「装備も洗わなきゃだねぇ」
 ハンターが珍しく不快そうに上着を脱ぎ、ため息をつく。エリックは採取の準備をすると、容器を手にハンターへと近づいた。
「装備についてるのじゃダメなのか?」
「それも後でとるけど、さっさと洗い流したいでしょ? だから、まずはこっちから。ちょっと失礼するね」
 研究用の匙を使いながら、ハンターの肩や腕にまとわりつく粘液をすくい取る。普段触れられない感覚がこそばゆいのか、ハンターは小さく身じろぎする。
……楽しそうだな?」
 淡い笑みを浮かべてハンターは言う。エリックは口元を綻ばせ、すっと目を細めた。
「そりゃあ、貴重なデータだからね」
 そう言いながら、わざとハンターの胸部の突起へと匙をすべらせた。
 びくりと肩を跳ね上げ、ハンターが驚いたようにエリックを見つめる。エリックはその視線を受け止めたまま、口元に笑みを浮かべ、匙についた粘液をゆっくりと舐め取った。
「おい、エリック」
 ハンターが低く諫めるように言うが、エリックは肩をすくめる。
「人体に無害なのは把握済み。それにしても、歴戦個体の粘液って、通常のより濃厚だね」
 冗談めかした口調だが、その声は妙に低く、どこか誘うような響きを帯びていた。
 ハンターが何かを言い返そうとした瞬間、エリックはそっと顔を近づける。
……動かないで」
 ハンターが身じろぎするより早く、エリックの唇がハンターの唇を塞いだ。
 最初は軽く触れるだけのキス。しかし、それでは物足りないと言わんばかりに、エリックはさらに深く唇を押し付ける。何か反論しようとしたのか、ハンターの口が薄く開いた瞬間、その隙を逃さず舌を侵入させた。
「んむ……っ」
 エリックの体を押し返そうとしたのだろう。だが、迷いが滲んだ指先は、力を込めるでもなく、まるで縋るようにエリックの腕を掴んでしまう。抗おうとしつつも、どこか受け入れてしまっている──その自覚に、ハンターはさらに混乱した。
 エリックはハンターの舌を探り、奥に引っ込んでしまったそれを誘うように舐め続ける。しかし、その舌は頑なに動こうとしない。ならば、と歯列の裏や上あごを舌で愛撫する。慣れない感覚のせいか、ハンターの目尻にじわりと水滴が滲む。
 どんなモンスターを前にしても凛々しい彼が、こんなふうに乱れるのを見られるのは自分だけ──そう思うと、エリックは優越感を覚えた。
 やがて、掴まれていた腕を数度叩かれたため、エリックは満足げに微笑みながら唇を離した。
「は、はあっ……っ」
 息がうまくできていなかったのか、数度浅く呼吸を繰り返すハンター。頬を上気させ肩で息をつく様は目に毒だ。さらに、離れて油断しているためか、唇の奥でちらちらと赤い舌が姿を見せている。もう一度口づけたいとぐらつく理性をなんとか抑えた。
「これも、研究の一環ってことで?」
 本気か冗談か分からない笑みに、ハンターは目尻を朱色に染めたまま、困ったように眉を寄せる。文句を言おうとしたのか口を開きかけたが、その声を遮るように可愛らしい声が響いた。
「ハンターさん! タオル持ってきたにゃ!」
 オトモアイルーがかいがいしく体や装備を洗うための道具を持ってきたらしい。ハンターはそれに礼を言いながら、エリックを軽く睨みつける。
「わかってるよ」
 さすがにオトモアイルーの前では続きはできない。
 次は、彼のほうから舌を差し出してくるように仕向けよう。人に近い生物からそのためのヒントが得られるかな──そんなことを考えながら、エリックは装備についた粘液を採取しに動くのであった。



end.