sousakuyamamusume
2025-03-11 22:43:07
1293文字
Public 一次創作
 

悪役令息(一応死ネタ?)

ザインがおばけ

 全て、終わらせようと思った。
 フォン・ノックス家の長男の仮面を喪って、ザイン・メンシスの友人の仮面を得た。そして今、それすら喪った。たった一人の友人の死が、私の仮面を全て破壊した。このまま素を晒して生きるぐらいなら、終わらせた方がいい。……くすぶり続ける執着心と、正体不明の重々しい感情とともに。
……これで、ようやく。」
 崖の上から身を躍らせた。

 あのさ。
 助けにくい死に方するのマジでやめろ?俺生きてる頃より頭使ってんだぞ?
……生きてる……?」
 とりあえず服を木に引っかけて落ちれませんでしたー!ってことにしてやった。はーやれやれ。
……失敗か。」
 俺からすりゃ成功だよバカヤロウ。でもこいつのことだし絶対まだやるよなぁ。もうしばらく現世に留まって夢枕に立てるタイプのおばけになるまでは気合いで遺らないとなー。
 ってまてまてまてまて!そんなばっちいきのこ食べるんじゃありません!!子どもか!!

 おかしい。
 何度死のうとしても必ず失敗する。まるで、何者かが先回りしているかのように。
……まさか、な。」
 そんなわけはない。死後の世界などない。幽霊など、いない。
 あいつはもう、どこにもいない。
 何度目かを数えるのも億劫になった。多分、132回目が失敗した。今日もまた、死ねないまま眠りにつく。……ろくに眠れていないのでこのままなら普通に死にそうだが。
「お、49日目到達。」
……ザイン?」
 なんて悪夢だ。けろっとした様子のザインがなんでもないような声で話しかけてくる。夢なら覚めないで、現実に引き戻さないで。
「話きけやアトラス。」
……なんだ。」
「なんだじゃないよなんだじゃ!俺がどんだけ苦労して阻止してたと思ってんのこの48日間!!ばーかばーか!あほ!命知らず!」
……は?」
 いま、なんて
「だーかーら!俺が!生きてた頃より頭使って!お前が死なないように頑張ってたんだってば!!」
……なんで、そんな」
「なんでもあさってもへちまもあるもんか!!友達に死んでほしいと思うやつなんかいないだろーがよ!!49日しないと夢枕に立てるタイプのおばけになれないからめっちゃ頑張ったんだぞ。1年したら夢じゃなくて現実にも化けて出てこれるらしいから……ええと……あと316日!?ウワーーーーーーーーーーーーーーーッ」
 ああ。
 ずっと、私のそばに、いてくれたのか。それを、私は、気付けないで
 ザインを、悲しませ続けて
「とまぁ、あと316日、毎日妨害し続けるから覚悟してろよ。」
「ああ。」
「死ぬなよ。」
……ああ。」
「あと夜は寝ろな。そしたら俺うおーって出てくるから。」
……思ったより気合いなんだな、それ。」

 お、朝。
「起きる時間だぜ、アトラス。」
……ザイン。」
「なんだ。」
「今まで、ごめん。」
 ん。わかればよろしい。
「見えなくてもずっとそばに居るからな、ヘンなことしたら怒るぞ。」
……怒られないように頑張るさ。」
「無理してもダメだぞ。」
「なんて注文の多い友人だ。」
 はは、いいなそれ。