sousakuyamamusume
2025-03-09 21:54:48
1191文字
Public 一次創作
 

悪役令息(刺激強め)

毒・トラウマあり

「アトラス、寝付けない?」
……起こしたか、ザイン。」
 偽名を考える云々の話はやっぱやめ、になった。どうせ偽名考えても俺が覚えられない。ので、覚えてない苗字だけ変えれば良くない?となった。
 『アトラス・フォン・ノックス』と『ザイン・メンシス』の死は偽装したけど……ま、気を抜きすぎないようにはしてる。だから、物音には敏感かも。
「気にすんなって。何?ヤバい夢みた?」
……古い記憶だ、気にすることもない。」
「そんなに真っ青な顔で言われても……。」
 絶対良くない記憶だろうしあんまり突っ込んで聞くのもよくないかもしれないけど。
「毒を盛られたことはあるか。」
「うえぇ!?な、ないよ!?」
「私はある。あれは、確か13歳の誕生日だった。」
 ……は??

「恐らく母の指示だろうな、毒味係が毒味後に私の食事にだけ毒を盛った。」
 当時はまだ父は不倫をしていなかったはずなので何故そうなったのかまでは不明だ。ただ……私は、愛されていなかったのだろう、と思う。
「異変に気がついたときには既に遅かった。とはいえ、量を食べたわけではなかったからか悶え苦しむだけで済んだが。」
「多分それ『だけ』って言わないな。」
 血と、吐物の混ざった味。喉を焼く酸の痛み。呼吸ができない恐怖。そして、身内すら敵なのだという確信。
 ああ
 痛い、くるしい、息が出来ない
 かみさま
 これ以上
 私から、なにもうばわないで
「アトラス、アトラス!ちょ、深呼吸深呼吸」
 ザイン
 声が、とおい

「っく、ぅ…………
 思い出してるだけの筈なんだけど……マジで目の前で毒盛られた後みたいなレベルで苦しそうだな……
「聞こえてねぇなこれ……アトラス、ゆーっくり息できそうか?」
「むり、くるし、っぐ」
「あーほら、桶あるから。吐いても大丈夫だから、な。」
「げほ、ごぷ、っ……は、はー……はー……
「苦しいな、ごめんな俺が余計なこと言ったから……。」
 思ったよりヤバい夢だった。というかヤバいという言葉で表しちゃいけないタイプの夢だった。
「ちがう、ザイン、お前は、なにもわるくない」
「お、目ェあった。おかえりアトラス。水飲む?」
「そう、だな……いただこう……
 不安だろうから一口飲んでから渡す。アトラスびっくりしてらぁ。
「なんの、つもりだ?」

「いや、これなら不安じゃなくなるかなって。」
「そんなことしなくてもいい……はじめからお前のことは信用している……
「そっかぁ。なんか嬉しいな。」
 だからこそ、先ほどの夢は堪えたんだ。
 あの夢では、お前まで、私の、敵だったから
「寝付けるまで添い寝してやろうか?俺のが先に寝るかもだけど。」
……良い夢が、見れそうだ」
「お、そりゃよかった。」
 私を包み込んでくれ、ザイン。悪夢も懸念も、私の内側に入れないように。