huxo_ku
2025-03-08 16:36:15
3243文字
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酔っ払いの独白

ノーマルKK 小話 ちょっとシリアス?

~タカ視点~

今日は出張先がけいさんの家の近くだったこともあり、帰れるかも?と期待していたけど、けいさんには連絡していなかった。けいさんには、いつ帰ってきてもええで、なんて言われているし、合鍵も持っている。つまりけいさんの自宅には入りたい放題だ、サプライズ的に帰宅するのも問題はないだろう。けいさんなら俺が急に帰ってくるのはむしろうれしいことだと言ってくれるはずだという自信もある。まさか自分にこんな方面の自信が付くことになるとは到底思っていなかったけど完全に頭はそういう方面に関してはお花畑だ。それもこれもけいさんのせい。

そんなことを思いふけりながらけいさんの家の鍵をガチャリと解放する。入ってから気が付いたが、けいさんの気配がない。電気がついておらず、物音もしない。外出によく使っている靴も見当たらない。

ふいに時計を確認すると今は21時。いつもなら自分のご飯は食べ終わっているくらいの時間帯だ。珍しく今日は出かけているのかな?そういう日もたまにあるか、と少しだけ、本当に少しだけ残念に思いながら靴を脱いで上がってリビングの電気をつける。部屋がパッと明るくなり、いつも通り一人暮らしの男性にしてはきれいな部屋でこれと言っておかしなことはない。
手洗いとうがいを済ませてきては喉が渇いたので冷蔵庫を開けてお茶を一杯いただく。けいさんの家には何かしらの飲み物が常備されている。今日は麦茶が準備されていた。冷えている麦茶が心地よく喉を通っていき、一息つく。使ったコップは後で洗うとしよう、一度キッチンの流しの中に置いておく。

さて、一度くらいは連絡を取っておこう、と自宅に上がってからになってしまったが家にいることくらいは伝えなければ。そう思って携帯を取り出したとき。玄関のほうで物音が聞こえてきた、けいさんが帰ってきたようだ。

ガタ、ガタガタン、ガチャ、カチャン、ドン

少し扉を開けるのに手間取ったような音と、力加減を間違えたような荒めのドアノブを回す音、鍵を閉めながら入ってきたと思ったら壁に体がぶつかったような音がしてきた。普段そんな荒く扉をあけたりしないのに、と首を傾げながら玄関へ向かうと、やはりけいさんだったが様子がおかしい。体を壁に預けて斜めになっているし顔は赤いし目が座っている、時間的に考えても飲酒してきたのかな?と思い当たりながらそのまま倒れてどこかを打たないように先に羽で軽く体を支えた。

「おかえりなさい、けいさん。珍しいですね、呑みにでも行ったんですか?」

「ん、ぉー、タカ、きとったんか。おかえり。龍さんに付き合ってた近くのいざかや」

すこしぽやりと喋るけいさん。けいさんはお酒にはかなり弱めだ。少しの飲酒でも顔はかなり赤くなるし足取りがおぼつかなくなるしよくわからないことを言ったりやったりしだす。でもひどい酔い方ではなく、柔らかくここちよさそうに酔うので、そういうけいさんを眺めているのも実は嫌いではない。
今日は少し多めに飲酒をしたようで、たまにけいさんの話題に上がる仲良しの龍さんと一緒に飲んでいたということらしい。けいさんの体を手で支えて靴を脱いでもらう。俺にもたれかかりながら靴を適当に脱ぎちらかしていた。

「たくさん飲んだんです?珍しいですねそんなにのむの」

龍さんにのまされ、いや、うそや、ちょっと、色々あって飲んで忘れたなったんや

珍しく少し歯切れの悪い言い方をするけいさんは俺の顔をじっと見てくる。目は座っていたが俺の顔を見るなりホッとしたような柔らかい眼差しに変わっていき、けいさんの両腕が背中に回ってしっかりと抱きしめてきた。腕は力強く、肩に顔を埋められてしまいけいさんの表情は見えない。

「どうかしたんです?けいさん」

いつもとは違う雰囲気のけいさんにこちらからも腕を回しては背中をトントンと落ち着かせるようにやさしく叩いてみる。そうしたほうがいいと思った。
しばらく沈黙していたけいさん、眠ったかな?と思ったくらいの時間沈黙していたが、ぽつぽつ、と話しをし始める。

「仕事の帰り、通行人がな、タカの悪口言っとって、タカにはとても聞かせられんような、やつ。げらげら笑っとんねん、俺カッとなりそうになってタカ、仕事本気で、やっとって、おれ知ってん、タカが大事にしとるんも、お前らになにがわかんねん、って血ぃのぼりそうになってでもな、ここで、俺が手ぇだしたら敵とかわらへんやん、なにより、タカの大事にしてるものを踏みにじるのと一緒やん、タカは気にすんなっていうやろな、わかってん……。」

けいさんの腕に力がさらにこもり、肩に顔を埋めるけいさんの表情は見えないが、声が震えているのもわかる。

……俺は絶対に誰の不幸も願ったらあかんねん、ぜったい……、だからな、タカの、しあわせくらい、めいっぱい願ったって、バチは当たらへんやろ、なぁ、タカ、好きや、タカ、愛してる、幸せでいてくれ、タカ………。」

かくん、と腕の力が抜け、ずしりとけいさんの体重がのしかかってくる。眠ってしまったようだ。
けいさんは自分の個性はほとんど無個性、なんて言っておきながら、他人に見られない自分の心すら取り繕って生きているのかもしれない。自分の欲に忠実な自分には到底できない生き方だろう。そして俺の幸せを心底願ってくれていることも、自分への愛の言葉を口にしてもらえたことは気恥ずかしくもあるが、単純にうれしく思う。

けいさんのそういう所、ちゃんと大好きですよー」

けいさんの独白を聞いていた俺はけいさんをたくさん褒めてあげたくなっての頭を優しく撫でて、眠ったけいさんに聞こえていないだろうと思いながら呟きつつキスを落とした。

寝落ちしてしまったけいさんをベッドに運び、寝間着に着替えさせてあげて、髪の毛もほどいてあげた。ベッドに散らばったサラサラの黒髪をながめつつ、一緒にベッドに入ると、お気に入りのけいさんの首筋に顔を埋めて目をつむった。




翌朝
けいさんが動き出した気配で自分も起き上がる。ふと見たけいさんは頭を手で押さえて、あ゛~、と唸っていた。

「けいさん、二日酔いです?お水持ってきますよ」

「タカ、おはようさん

すこし気まずそうに視線をそらしたけいさんの顔を覗き込む。

「あー、タカすまん、変な絡み方したやろ忘れてくれへんか

昨日の独白は覚えていたようで、いらんこと言った、とぶつぶつ呟いている。そんなけいさんの様子ににやりと笑ってあげる。

「嫌ですよー、けいさんが俺のこと大事にしてくれてるのが伝わったので忘れませーん。」

「えぇ、子供みたいなこと言うたん恥ずいねんっ、頼むってっ!」

「嫌でーす、お水持ってきますね」

もう酒のまんっ、て言うけいさんを置いてお水を取りにリビングに行く。恥ずかしがっているけいさんもかわいいと思うし、けいさんの本音が聞けたのが割とうれしいので忘れないことにした。








(おまけ、けいさんが聞いたタカの悪口)
A「ホークスってさー、あんなんでナンバーツーとかおかしくね?コネ使っとんやろ!俺でもあれくらいできるって~ゲラゲラ」
B「それな、いくら強いとか言っても速すぎるだろー、生意気だけど、顔かわいーから枕でもやってんじゃねー?(笑)手も速いんだろーなー」
A「言えてるなそれ(笑)市民食い物にしてそー、ギャハハハッ」的な。

切れる寸前のけいさんはそいつらの肩にわざとぶつかって、向こうが何か言ってくる前に

「邪魔じゃぼけ、呆けとんちゃうぞ!!!!」

と言ってヤーさんもドン引きの顔で睨みつけて、相手がヒッてなってんのを確認してはわざと足音を立てながらその場を後にし、龍さんに「今晩空いてないっすか?飲みてーんす」って龍さんと一緒に居酒屋に行くのでした。