sousakuyamamusume
2025-03-07 21:57:07
1653文字
Public 一次創作
 

赤と白(お礼参り編)

暴力(胸ぐらを掴む程度)あり
パワハラ的な表現あり

「はじめまして、ヴァイス・ヴォルフと申します。」
 見たことない笑顔でヴァイスが言う。笑顔の筈なのにどこか恐ろしいのは、彼が私の両親に怒りを覚えているから、だろう。何故そこまで怒りの炎を燃やしているかは私にはわかりかねるが……
「ほう。お前が私達の息子を誑かした男妾か。」
……お言葉ですが、あまり私を悪く言うのは得策ではありませんよ?国際問題になりかねませんから。」
 私が言葉に詰まっている間に、さっと彼が前に出た。
 私は、ヴァイスを庇うべきだった。だというのに、どうも両親を前にすると言葉が出ない。……不甲斐ないことだ、全く。
「国際問題?それがなんだというのですか!失敗作の息子が何をしたところで」

――テメェらが口出せる立場だと思ってんのか?あ?」
 何が失敗作だ。
 僕のことを悪く言うのは百歩譲って許そう。僕は確かに騎士団長になるには家柄が足りないのは百も承知だ。だが。こいつは。目の前に居るこいつらは。
「なっ、手を離しなさい!」
「殴ってねぇだけ温情だ、そんなこともわからねぇのか?」
 ロッソのことを、馬鹿にした。
 僕が、ただ一人愛する彼を。仮にも自分の子どもだろうに。何故、そんな言い方ができる。
「野蛮な!」
「ロッソの心を殺した殺人鬼どもに言われたかねぇよ」
 具合悪いときに寝かせただけで涙ぐむような奴なんだぞ、ロッソ・デ・コンティという男は……

……落ち着け、ヴァイス。父上を締め落とす気か。」
「やっていいならやってたところだ。」
 ああ、そうだろう。お前はそういう男だ。
「ロッソ!こんな野蛮な男とは別れて」
「母上、私は『失敗作』だったのですね。」
 今まで期待に応えようとして、努力して、努力して、努力して、努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して
 その結果が、これか。
「ロッソ、それは」
「ならば、これ以上の口出しは不要ではありませんか?」
 自分で言っておきながら心が痛むのは、まだ諦めたくないと心の何処かで思っているのだろう。我ながら、厄介な心だ。
「自分でまいた種だ、テメェでなんとかすることだな。」
「ふざけたことを」
「ふざけてんのはテメェらだ。こちとら帝王閣下のお許しはいただいてんだよ。この意味がわかるなら、手を引くことだ。」
 待て、それは初耳だヴァイス。
「いつの間にそんなことを。」
「そりゃまぁ、そうでもないと度々お前の家行けないだろロッソ。じゃ、もう話すことないから。そらロッソ、飲み直そうぜ。」
 最早眼中にないという様子で、ヴァイスが私の手を引いて、さっと二階の窓から飛び降りた。
 ああ。
「お前は、私のために怒ってくれるのだな。」
「ったりめーだろ、許されるなら殴り倒したかったわ。」
……すまない。私が庇うべき所で何も言えなくて。」
「いいのいいの、それより。」

「『これ以上の口出しは不要』ってお前が言ってくれてよかった。」
……流石に、あれ以上言われるのも嫌だったからな。」
 多分こいつは親に反抗したこともなかったんだろうから、僕が庇われなかったことは何も思っちゃいないけど。
 初めての反抗がアレってのも中々きっついだろうなぁ……
「さ、嫌なことはさっさと忘れるに限る。ってなわけで何がしたい?」
……また、お前の子守歌を……いや、なんでも」
「子守歌な、いいぜ。」
「い、いいのか?」
 むしろ『気絶するまで抱かせろ』とか言われたらどうすっか、とか考えてたぐらいだし子守歌ぐらいなら構わないわけだけど。
「甘えたいときにちゃんと言えて偉いぜ、ロッソ。」
……お前は、私を甘やかしすぎではないか、ヴァイス。」
「いいだろ、減るもんでも無いし。」
……何も、返せていないというのに」
 返す?何言ってんだ。
「僕が傷ついて大変だったときにずっと支えてくれただろ。僕にも恩返しぐらいさせろよ。」
…………ありがとう。」
「こちらこそ。」