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はなおぼろ
2025-03-07 18:26:08
2197文字
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縁巌覆面作家企画5:Bグループ感想
作品の雰囲気に引っ張られてテンションが上下左右しております。予めご了承ください。
B-1:そこにないならないですね!
タイトルを見て最初に思い浮かべたのは、最早ネットミーム化している「そこに無ければ無いですね」だったので、ギャグテイストの話かしらと思って読んでみたら、とんでもなかった。
弟、享受していた情がどこから発生していたものか考えもせず、それが如何に得難いものだったのかを失ってから気づいてしまったのだなぁ。もう遅いのに。前世の弟もこの様に兄が隣にいることに安心しきっていたのではないかと思わせられる結末でした。
自分の意思とは関係ないところで、弟への心を摘み取られてしまった兄上。喪って二度と還ってこないその煌めきを思うと胸が苦しくなります。せめて彼の今後が平穏でありますように。
B-2:ラドラの喜劇
美しい物語。それが作品を読了後に思った私の最初の感想です。
『俺たちは一人に一色の羽を与えられて生きている。例外はない』という一文から、有翼人種が住まう世界のお話なのかな、と思ったのですが、後の『地上へ私たちは遣わされた』から彼らは天界に住まう天使のような存在だと判明します。
羽を与えるとは、愛を与えることと同義なのかなと思いました。己の羽と痛みを代償に、弟から不幸の要因を取り去る兄上。つらい記憶など忘れてしまって、心穏やかに健やかに過ごしてほしいと願うそれを、愛と呼ばずして何と呼ぶのか。また過去の痛みを想像し、羽を与えたいと思った縁壱の気持も愛なのでしょう。
B-3:小さな秘境
参列者がたった一人の結婚式。そのたった一人が兄の上司たる無惨様なのは、物凄く適任な気がする。『前世からの因縁』とあるし、前世を含めて二人を知るのは恐らく彼だけ。そう考えるとこの上ない人選。縁壱曰く呪いのような文言である『せいぜいお互い未来永劫縛られろ』も、無惨様なりの祝辞に思えます。
三階建ての愛の巣、バスも電車もあり多くの人が住まう都会の中に建てられた一戸建てに『秘境』という言葉を宛がう作家様のセンスがとても好きです。最後の一文が、昇ってくる朝日の様に眩しく優しい温かさで満たしてくるようです。これからも二人には未来永劫寄り添い重なり合って暮らしてほしいな。
B-4:秘密
突然髪を切った巌勝、それに続き髪を切った縁壱。その理由がヘアドネーションであることが後に語られますが、ただ髪が役立つことを喜ぶだけではなく「健康を取り戻して笑顔でウィッグを手放せるようにする」という発言に繋がっていくのが、もう兄上素晴らし過ぎます! また『過剰な美談にされてしまうのは本末転倒』として理由を秘密にするのも、人間が出来ている
……
。
努力を惜しまず目標に向かう。幼い頃に歪むことなく、本質を見据え続けることが出来た兄上ってきっとこう成長したのだろうなと思わせてくれるお話でした。この兄上と弟なら、夢を叶えてこの秘密が二人だけの秘密でなくなる日も近いのかもしれません。
B-5:高嶺の継国さん
モブくん、この間読んだ漫画のように~とか、妄想の何某と勝手に比較して勝手に凹んでいるところとか、もう思春期ボーイ過ぎて良い味出しています。君が黒魔術だとか、呪術だとか、厨二のおまじないに邁進している間に、継国さん達は大人の階段のぼっちゃったよ。二人が兄弟だからってのもあるかもしれないけど、気付けないからこそ君はモブボーイなのさ。次の恋頑張ってね。
余談ですが、会いたくて会いたくて震えるあの曲は2010年の曲なので15年ほど前になります。吃驚して震える。小さい頃よく聞いていたというモブくん、年齢的に親御さんがファンで、ご自宅や車の中で曲を流していた可能性が高いです。
B-6:催花雨のひと
非常に官能的な文章が続きます。オマージュ元がそうなのか、それとも作家様の本質か、年齢制限に引っかからないギリギリを狙ったような、終始色を纏った文章にドキドキしてしまいます。
冒頭の文章は何かしらの喩えかと思ったのですが『肉肉しい片腕を取り外して、男は布団のうえに置いた』で吃驚してしまいました。腕本当に外しちゃったYO! お恥ずかしいことに私には教養が無いもので、急ぎオマージュ元の概要を調べてきたのですが、元もナチュラルに腕外すんですね
……
。腕だけ残し『あなた』が姿を消したことにより、『私』が本当は彼の腕ではなく彼自身が欲しかったと気が付く。片腕とは愛や情の隠喩なのでしょうか。
B-7:隠し味は、愛情
趣味が高じて家庭菜園の規模を越えてお野菜をつくる巌勝と、それを使って料理をつくる縁壱。縁壱の手料理を食べる回数的に最早週末通い婚。保留にしているという同居話も、縁壱があと一押ししたら現実になりそうだなぁとほのぼのしていたんですが
……
よよよよ縁壱サン!? 行き過ぎた女子がバレンタインデーに好きな子へ手作りチョコレートを贈る際に異物混入するが如く行為を兄上が食事に来るたびしているんですか!?
この作家様の凄いところは、異物混入のシーンを直接書いているわけではなく、指先の絆創膏とタイトルに書き加えられた『一滴』の一言で読者に想像させるところですよ。上手過ぎる。
短く鋭く的確に刺すとはこのことか、と。
作家の皆様、素晴らしい縁巌作品を生み出して下さり、本当にありがとうございました!
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