倉木
2025-03-07 18:25:08
2137文字
Public 新亀
 

03レオドン

なんでもいいからドナテロ尻尾生えて同盟に入りたいです



見知った道を抜けレオナルドが辿り着いた先はレザーヘッドが普段使用している場所だった。

「あ、レオ」

手術用のライトと言う名の天蓋を持ったベッドの上に座ったドナテロは、柔らかな笑みで手を振る。
迎えに来て欲しい、と言われたから何事かと飛んできたのに本人は特に問題がなさそうに見えた。
ただ1点を除いて。

……今度は何をしたんだ?」

レオナルドがかろうじて言えたのはそれだけだった。
ドナテロの引き締まった太腿から伸びた大きなオリーブ色の尾らしきもの。
折りたたむようにしてドナテロが両手で抱えられるほど大きい。
どうやらおさまりが悪いようで時節ゆらゆらと揺れるドナテロは非難されたのだと思ったらしく唇を尖らせる。

「調べたけど良くわからないんだよね。今レザーヘッドが心当たりを探してくれてるから一旦お開きになったところ」

ドナテロが手を離すとオリーブの大木はドナテロの腕を滑り膝に落ちた。
ベッドの上からでも床に落ちるくらいに長いそれは重量もそれなりのものだろう、バランスを崩したドナテロにレオナルドは慌てて近寄った。
彼の後ろ頭越しに見えるその垂れ下がった尾にレオナルドはふと過去のことを思い出した。

「このまま変異するってことはないのか?」

知らず声色には緊張感が宿る。
以前ドナテロは今の理知的な姿を失い、大きなケモノとなったことがある。
紆余曲折を経て元に戻ってきたがもう二度とあんな思いはしたくなかった。
レオナルドを見上げたドナテロはぎょっとした顔をし、勢いよく首を振る。

「それは絶対にない!レザーヘッドが言ってたんだから間違いないよ」

正直こういう時のドナテロの大丈夫はあまりアテにならないのだが、あの時一緒に尽力してくれた彼が言っていたのならそうなのだろう。
後で直接聞いてみようとは思うが、レオナルドの腕を気づかわしげに摩る手に一度その懸念を排除することにした。
ふと、長く伸びた尾の先がレオナルドの足に絡んでいることに気付いた。
思わずドナテロを見るが、レオナルドがまだ不安がっているとでも思っているのか返されるのは優し気な笑みのみだ。
ということは無意識な動作ということで、むずがゆい照れくささを覚えた。

「この状態で動けるのか?戦うのは難しそうだ」

「うーん、正直バランスが後ろに引っ張られるから歩くのも大変なんだ。慣れれば平気だと思うけどすぐには無理かな」

ドナテロの肌の色を直接模したその尾は普段甲羅の裏に隠れている極小さなものと形状は一緒だ。
肥大したその姿に興味がないと言えばそんなこともなく、レオナルドは身を屈めるとその滑らかな尾に手を伸ばした。
幾ばくかひんやりとした感触の中にしっかりとした柔らかさはレオナルドの手に良く馴染む。

「うひゃっ!」

指を滑らせた瞬間、頭上からなんとも情けない悲鳴が飛んだ。
同時その尾はびくりと震えてレオナルドの手から逃げ出す。

「あ、あんまり触らないで欲しいんだけど

とはいえ元々大きな尾の逃亡場所は限られている、答えはドナテロの腕の中だ。
守るように両手で抱えるドナテロの頬は赤い。

「触られるの苦手なんだよ、わかってるくせに」

どこか艶めいた表情にレオナルドはようやく思い出した。
恋人との戯れの中、ドナテロは尾を触られることに弱い。
スリットを撫でるだけでぴくぴくと震えるいたいけさな仕草が蘇り、同じくレオナルドも頬を染めた。

「す、すまんどうすればいいんだ?」

触られただけでそんな風になるのであれば色々と大変だろうに。
むくれた様子のドナテロはそのまま右手だけで手招きをした。
近付いたレオナルドの首裏に回った腕に理解し、尻尾を抱えたドナテロごと抱き上げる。
尻尾の分かいつもよりずっしりとした重みが腕を圧迫した。
ドナテロは居心地の悪そうに腕の中でもぞもぞと動いていたが、やがて小さく息を吐いた。
ドナテロに促されるまま研究所から出て帰路につく。

「はぁ、マイキーに見つからないまま部屋に入る方法ないかなぁ。レザーヘッドも泊まらせてくれたらいいのにちゃんと家に帰るべきだって言うんだよ」

腕の中のドナテロはそうぶつぶつと不満を漏らしていた。
確かに今のドナテロを見て他の兄弟が興味を示さないなんてことは絶対にない。
レオナルドとしても先ほどのドナテロを思い出す。

「じゃあ、俺が見張りに立つよ」

何せ今の彼は性感帯が剥き出しになっているようなもので、それを他の誰かに触れるなんて冗談じゃなかった。
弟ふたりくらい追い出すくらいわけない、レオナルドは本気でそう思っていたのにドナテロはくすくすと笑うだけで同意はしてくれなかった。

「ねぇ、多分ナカも大きくなってると思うんだけど試してみる?」

代わりに嘯かれた悪戯めいた言葉に、レオナルドは反射的に両の手を広げそうになった。
ギリギリで踏みしめたのはレオナルドの忍耐力あってこそのことだろう。
そんな中ともすれば落とされるかもしれなかったのにぱちぱちと拍手をするドナテロのなんと余裕なことか。
レオナルドの腰に巻きついた尾の一端が揶揄うようにゆらゆらと揺れていた。