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Originalk312
2025-03-06 23:23:06
1542文字
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💎親子
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SS|💎親子 - 悪い噂
ネタ出しくらいのやつ。ンス視点
「少しは体裁を考えたらどうです」
ヴィンスがアンダーボスとして表に出るようになってから、まことしやかに囁かれるようになった噂。
養子というには目鼻立ちが似すぎやしないか。どう考えても隠し子だろう。女をヤリ捨てて殺したんじゃないか。もしくは子を産み落として用済みになったか。まぁなんて恐ろしい男。怖い怖い。等々。
決して本人の前では囁かないくせに人々は有名人の黒くて悪い噂が大好きだ。まぁ元から無かった噂でもないし今更否定をしろとは言わないが、こちらの耳にも届いている始末だ。
(僕自身、この顔に対して気になるところがないといえば、嘘になる)
自分のルーツを話す気がない点はもうとっくに諦念に至っているものの
…
今やあの人の損失は"私"の損失になる。そんな脅し文句をたてにちょっとくらいつついたところで罰は下らないだろう。
そう思って土産のワイン付きで父親の自宅に押しかけ、ノックをしたわけだが。
「そんなものを気にするよりも、商機に変える方法を考えたらどうだ」
そんな風に、あからさまに面倒臭そうに吐かれたものだから、ムキになってチェスゲームをしかけたのが半刻前。
忙しいと定型文を浴びせる父のスケジュールを読み上げて無理矢理座らせた。貴方が明日はホリデーなことくらい把握している。ふん、僕を組織のNo.2として迎え入れたのが運の尽きだ。
ついでに言うとチェスゲームは僕の勝ちだった。
「ンン
……
今日はやけに酒の周りが早い。お前何か盛ったか」
「負け惜しみはやめてください」
「はン
……
」
「
……
ハァ。それで、実際のところは」
「まだ言うか、しつこい」
「勝ったのは僕ですよ」
ついに観念したらしい。目の前の男は盛大に舌を打ち、無骨な手でグラスを掴んで煽る。
トン。
「お前はどう思ってる」
「俺が母親を殺したと、可能性を考えなかったわけじゃあないだろう」
「貴方が?」
ふいに失笑が出る。そんなわけが無い。
この男は確かに父親としてはひどい人だが、けして下衆ではない。この身を産んだ女に愛情があったのかどうかは知らないが、少なくとも。
その息子に対して、時折、まるで懺悔でもするかのような、苦しそうな目線を向ける貴方が、噂通りの男だとは、到底。
「
……
もし事実だと言ったら?」
「その時は貴方を殺して僕も一緒に死んであげます」
「ハ、」
それは"私"の目が無かっただけ。
ノータイムでそう返すといつもすっと細めている瞳が開かれる。次いで漏れ出る乾いた笑い。前は珍しいものだと思ったが、話せば案外表情のある人だった。
「
……
ハハハッ、そうか。随分出来た後継者だな」
「でしょ」
「私にはこの血を継ぐ責任がありますからね。だから勿論、この血の始末をつけることも」
「己の頭に相応しくないと判断した狼の群れは頭領を食い殺すのだとか。しかしながら、貴方は私のボスである前に父親ですから」
「それに、ほら」
一人で死ぬのはきっと寂しい。
貴方にもそういう感情があるのかは知らないが。
「
……
」
「血の掟を交わした時に」
「縛られたのは貴方も一緒だということです」
生意気なことを言った自覚はある。だから、機嫌を取るように空いたグラスにあの人の好物である赤い酒をとぷりと注いだ。
「クソガキが。一丁前に」
「
……
野郎と心中する趣味はねェよ」
その体躯から発せられたのかと疑うほど小さく掠れた、低い声音。
やっぱりこの人時々幼子のような反応をするな。少しいじらしくて、何だか可愛げがある。この男に対してそんなこと、口が裂けても言えない。なので代わりにボトルを置き、屈託のない笑顔を送った。
「良かった。私もです」
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