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せつが
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「受験生のバレンタイン」おまけ番外編伊織サイド
「宮本先生の秘密 受験生のバレンタイン」ブーストおまけ小話に、追加で伊織サイドを書きました。
発送をすませたあと「伊織サイドも書けんじゃね?」と気づいてしまった産物です。一緒に発送できず申し訳ない。
今回はこの伊織サイドのみ全体公開としております。セイバー部分を読まないと話しがわかりませんし短いです。
おまけ小話自体は1ヶ月後をめどに全文公開の予定です。
ブーストいただいた方は少しだけ早く全文読めるおまけがついてきたと、そう思っていただけると助かります。
宮本伊織は窓から外を眺めている。
あの後回復したタケルとともに大量のプリント用紙と格闘し、ようやく全学年分の宿題を揃え終えたところだ。
タケルからは「手の脂がなくなってカサカサだ!」と悲鳴を上げられ、ふたりして用紙で切った手傷をこさえてしまった。
ひとりでさばける量ではなかったと、手伝ってくれたタケルに強く感謝した。来年はどうしたものかと思案をしたちょうどそのとき、下駄箱から出てきたタケルが目に入った。
いや、ちょうどではない。伊織は帰るタケルを見送ろうと、校舎から出てくるのを待っていたのだ。
外はたいぶ風が強い。驚くほど暖かい日であったゆえ、風に吹かれても寒いということはないだろう。春を運ぶ風に長い三つ編みがからかわれてゆく。
先ほどはとんでもない目にあった。
湿った肌を見せつけるという、手酷い誘惑をうけたのだ。
制服のネクタイをだらしなくゆるめ、シャツの襟元を大きくくつろげ肌に触れろと見せてくる。まるで、男を悦ばせる物語で見るようなシュチュエーション。
嫌いなわけがあるか。
幾度となくタケルを組み敷いた夢想そのままの状況に、冷静さなどあれよという間に霧散した。
まったく人の気も知らないで厄介な誘惑ばかりかけてくる。いっそのこと胸元に手を差し込み、望みどおりに撫でまわしてやろうかと思ったほどだ。いまおまえの前に立つ人間は、その肌を暴く劣情を止められぬろくでもないおとこなんだと、さらけ出してしまいたかった。
小さく息を吐く。
江戸で出会ったあのときとは立場も違えば社会も違う。その違いが楽しく、嬉しくもあったことは間違いない。彼の側で見守り支え、彼の願いを叶えてやることができたのだから。そしてそれと同時に、必死の思いで浅ましい欲を押し殺している。彼に対してはいつだって身勝手でできもしない妄想ばかりだ。
ひときわ強い風が吹き、窓ががたりと音を立てる。
一瞥をくらった。
おかしな整え方をするなと云わんばかりの責めるような視線だったが、こちらとしては普通に直しただけである。おかしなことはしていない。タケルは注意をうけたとき、素直にボタンをとめればよかったのだ。
ただ、肌に触れぬようゆっくりとした指の動きに、下心がなかったのかと問われれば自信がない。かように近いからだの距離は、もう二度とないであろうとは思った。これから口づけせんばかりの距離とかすめた肌の感触に、みじめなほど甘い疼きをこころは上げた。
帰路をゆくタケルの姿を見届け、次第に小さくなっていくその背に届かない言葉を投げる。
「
……
先生をからかうんじゃありません」
伊織はもう一度、小さく息を吐いた。
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