moto
2024-06-04 17:46:10
802文字
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さまときさまのホットケーキ

さまささワンドロワンライお題「衣替え」「牛乳」「相棒」

すぐに目についたパッケージには「米粉で作るふっくら分厚いホットケーキ」と大きく書かれていた。冷蔵庫には賞味期限間近の牛乳と卵がワンパック。どうやら家主は分厚いふっくらホットケーキをご所望であるようだ。パッケージ裏の作り方にじっくり目を通し、全部の粉を使うことにする。二人にしては多めになるが、腹ぺこで起きてくるのだから問題はないだろう。せっかくならとホットプレートも用意する。一気に焼くのに効率も良いし、何より簓が大喜びしそうである。滑らかな生地をあたたまったホットプレートにまあるく流していると、おはよお、と簓がひょっこりとリビングに現れた。衣替えしたばかりの半袖パジャマは少し早かったようで、ベッドの中で左馬刻にくっついて眠っていた。朝もまだ肌寒く、パーカーを羽織っている。
「ええ匂いや〜」
 案の定、ホットプレートで焼かれるホットケーキに目を輝かせて、ライブキッチン最前ど真ん中の席へと座り込む。あったかぁ〜とホットプレートに手をかざしながら、
「よう俺が朝ご飯にホットケーキ食べたいってわかったなぁ」さすが相棒やあと笑っている。わざわざ自分でホットケーキを作るはずもなく、材料を左馬刻の目のつきやすいところに置いていた確信犯が何を言っているのか。「まぁな、相棒だからそんくらいはな」左馬刻が乗ってやると、簓はさらに嬉しそうににっこりする。
「さまときさまのホットケーキやな」
「絵本みたいに言うなよ」
「なははは」
 お前がひっくり返せよ、とヘラを渡すと、おっ!簓さんの黄金の返しを見たいちゅーわけやな!と腕まくりをした。普段お好み焼きで鍛えているので自信満々である。
 ぴちぴちぴち、ぶつぶつ、やけたかな、まーだまだ。
 上機嫌にホットケーキに問いかけている。コーヒーを入れるべく立ち上がった左馬刻の背後で「ヤー!」とひときわ気合いの入った声が響き、ぺたんと綺麗にひっくり返る音がした。