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moto
2023-05-23 00:15:24
1095文字
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I’m back!
さまささワンドロワンライお題「夕立」
雨の中、見回りの途中でコンビニで煙草を買い、外に出ると、傘立てに置いていたはずの自分の傘がなかった。新たにビニール傘を買えばいい話だが、苛立ちのまま飛び出し事務所に戻った。雨は小降りであったが、しっかりびしょ濡れになって戻ってきた左馬刻の姿を見て、簓は素直に驚いた。
「傘どないしたん」
「パクられた」
むすりと言えば、はあ?と大きく口を開けて、
「何回目や!?だから名前書いとけ言うたやんか!」
なんの変哲もないビニール傘ばかり使っていたが、何故か行くところ行くところで左馬刻の傘は盗まれるのだった。その度に簓は名前を書けと言う。
「ダセぇ」
「何回もパクられとるほうがダサいわ」
お前の名前見てパクる奴おらんやろ!タオルを投げつけて、簓はため息をついた。
その後、新しく買ったビニール傘にはネームタグがついており、嫌がる左馬刻を無視して、さっそく簓がマジックで名前を書いた。碧棺左馬刻。よりにもよって太いマジックで書いたために、漢字がこんがらがった結果、よく見ないと読めなかった。
そして、傘はまた盗まれてしまったのだった。
「名前書いてもパクられんじゃねえか」
「この街にも度胸ある奴おるもんやなぁ」
悪びれもせずに、簓はただただ感心していた。
そんなことを夕立にあったコンビニの軒先で思い出していた。買ったばかりの煙草を吸ってしのいでいるが、雨雲レーダーによれば、もうしばらく降り続くようだ。しょうがないので、ビニール傘を買うかと考えていると、左馬刻さん、と呼ばれる。振り向けば、コンビニの店長が出てきていた。
「こんちはっス」
「おう、どうした」
「傘、あります」
「あ?」
そう言ったきり、店長は身を翻し、大急ぎで店内のバックヤードからビニール傘を手にして戻ってきた。
「これどうぞ」
買ってもない物を差し出されて左馬刻は戸惑った。
「いらねえよ」
「いや、これ左馬刻さんのッス」
「ああ?」
店長は柄についてあるネームタグをつまんだ。
確かにそこにはマジックの太字で碧棺左馬刻と書かれていた。あの時盗まれたはずの傘である。
「昨日、そこの傘立てにあったんです。前にパクられたって言ってたじゃないすか。パクった奴、左馬刻さんの名前に気づいて戻しに来たんじゃないんすかね」
戻ってきた傘をさして、夕立の中歩く。
さて。
この話を聞いて、あいつはどんな反応をするのか。すでに頭の中で笑い声が響き、煙草を咥える口元が緩まる。
スマホが震える。画面を見て、ハッと笑いが漏れた。
「今どこにおるん?傘持ってないやろ、迎えに行くわ」
「いや、それがよ」
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