moto
2023-03-16 18:37:58
949文字
Public
 

グッドモーニング、ダーリン!

さまささワンドロワンライお題「そわそわ」


枕元に置かれたスマートフォンのアラームが鳴る前にパチリと目が覚めた。予定の起床時刻にはまだ時間がある。いつもならここで二度寝に戻るのだが、今日は違っていた。勢いよく身を起こしそそくさとベッドを出る。充電ケーブルから引っこ抜いたスマホを手にして洗面所へ移動する。その間に天気予報をチェック。本日は一日快晴なり。気温も昨晩決めたコーディネートで大丈夫そうだ。歯を磨いて顔を洗い、ひととおりのスキンケアを終わらせて、クローゼットに用意してあった服に着替える。ヘアスタイリングもバッチリ。鞄の中身も準備万端である。部屋をスキップで横断してカーテンを開ければ朝日が差し込み、薄暗かった部屋が一気に明るくなった。
「朝やで〜!左馬刻!はよ起きてや!」
 全開の笑顔で振り返ると、キングサイズのベッドの一角で布団のかたまりがもぞりと動いた。
 ボサボサの頭、裸の肩と腕がもぞもぞと現れる。
「んあ?」
「朝やで〜!希望の朝!グッドモーニング、ダーリン!」
 朝っぱらからハキハキしゃべる簓に、左馬刻はまったくついてこれていないようだ。背中を向けてもごもご何かを言っているが、簓は容赦なくむき出しの肩を揺らす。
「はよ〜!はよ起きてや〜!カフェで朝メシ食うって言うたやん!」
「朝?メシ……?まだ早えだろ……
 実際、左馬刻の言う通りだったが、楽しみにしすぎて早く目が覚めてしまったのだからしょうがないのだ。
 ぐずぐずと渋る左馬刻の横に寝転がって顔を覗き込んでやる。
「左馬刻こんな寝ぼすけさんやったっけ?」
 やっと開いた薄目にじとりと睨みつけられる。
「寝ぼすけは、てめえだろ」
「んはははっ」
 いつも寝起きが悪いのは簓のほうだ。それからもしつこく絡み続けていると、ようやく左馬刻が起き上がった。起き抜けの煙草を吸おうとするのを阻止して「朝カフェのあとまた戻って二度寝しようや」と提案すれば、舌打ちしながらも、それもいいなと呟いてベッドから出てくる。
「今日の分刻みのスケジュールに二度寝入れたら秒刻みになるなあ」
 スマホを確認しながらニマニマしていると「嬉しそうに言ってんじゃねえよ」と呆れた声。
「今日一日楽しむで〜!」
 洗面所へ向かう左馬刻の頬にキスをすれば、降参したように吹き出した。