moto
2023-01-04 15:23:59
848文字
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つづく

あけましておめでとうございます。
今年もさまささでよろしくお願いいたします。

玄関の棚の上には元々なにも置いていなかった。それなのにある日気づけば、ちいさな招き猫の置物がぽつんとあった。誰が置いたかなんてすぐにわかる。でも簓は何も言わなかったし、左馬刻も特に言及することなくそのままにしておいた。そうしたらまたある日には招き猫に仲間が増えていた。レゴであったりよくあるガチャガチャのフィギュアだったり続々と増えていく。殺風景な玄関の棚がだんだんと賑やかになっていく。ある時は全員一列に並んでいたり、ある時は喧嘩をしているらしき仲間を見守っていたりする。左馬刻の誕生日には何やらパーティーが開かれているようだった。そんな中にうさぎが仲間入りした。クリスマスが終わり年末に向けて時の速さが加速するそんな合間に、簓がやって来た。クリスマス前から多忙であった簓には、一月中旬ごろまとまった休みが取れると聞いていた。それまではしばらく会えへんなぁと言っていたのに。それなのに、急に会いたなったわ、と左馬刻の部屋の玄関でへらりと笑っていた。もう日付が変わりそうな頃合にやって来て、早朝には出ていく。貴重な時間を二人で過ごし、普段そんなことをしたことなったのに、ほんなら良いお年を、と別れ際に左馬刻の唇にキスをして簓は出ていった。まだ少し湿っていた前髪が、左馬刻の額にふれて、風呂上がりの匂いがしばらくそのまま残っていた。その時にふと棚を見れば、新入りのうさぎが簓と同じ目をして笑っていたのだった。
 全員が整列したその中央に、今年の干支であるうさぎが堂々と鎮座している。あけましておめでとうさん!簓の明るい声が聴こえてくるようだった。左馬刻はそれをスマートフォンのカメラに収めた。直後にブルブルとスマホが震える。部下が迎えに来たのだった。左馬刻は新年を迎えたばかりのまだ暗い街へと足を踏み出す。


 滅多に更新されることのない左馬刻のSNSに賀正とひとことだけ添えられた写真と、簓の賑やかな新年の挨拶つきの写真が似すぎていて、SNS上で騒ぎになることなど、まだ知る由もなかった。