Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
moto
2022-09-25 17:14:51
1249文字
Public
Clear cache
忘れられない、忘れたくない
さまささワンドロワンライお題「ひまわり」「からあげ」
「俺、ひまわりやから」
簓の顔を見れば、スプーンをくわえてにこにこしている。合歓が隣で、へぇー!簓さんってひまわりなんですね!と簓のよくわからない言い分に瞬時に反応していて、左馬刻一人だけが置いてけぼりだ。左馬刻がぼんやりしている間に二人の会話は楽しげにぽんぽんと進んでいく。目の前のカレーを黙々と食べながら聞いていると、簓の通っていた保育園の話で、そこでは一人一人に目印があり、そのシールが名札や棚や靴箱さまざまな場所に貼ってあり、自分のシールが貼ってある椅子に座り、棚に鞄を片付け、靴箱に靴をしまうというものだった。その目印が簓はひまわりだった。
「いいなあ、私もお花がいいな」
「合歓ちゃんはなんやろな〜」
うーん、二人で宙を見ながら考え込む。
「赤いチューリップとか!」
「わあ!かわいい!」
ぱっと二人の顔が左馬刻の方を向く。
「お兄ちゃんはなんだろう」
「左馬刻はな〜」
そんなに考えることなく、二人は声をそろえた。
「「馬!」」
そろったことがおかしいのかけらけらと笑い転げる中、左馬刻は眉を寄せる。
「そのまんまじゃねえか。ちっとは捻れよ」
「ええやんか、お馬さん」
「お馬さん!」
かわいい!と合歓は大ウケしている。
「なんや気に入らんのかいな。そんなら何?ドクロとか?海賊旗?」
「ああん?」
なんだか連想ゲームみたいになってきた。
「そんなん不良保育園児やんか」
「んな園児いねえだろ」
何がおもしろいのか合歓は腹を抱えて笑っているので、左馬刻はますます困惑する。
「簓さん、小さいころのお兄ちゃん、アルバムありますからあとで見ましょう」
「!?おい、合歓」
「えっなんやそれめっちゃおもろいやん!」
「おもしろがってんじゃねえ」
「お馬さん、カレーおかわり〜」
「誰が馬だ、てめえでよそえ」
「あっ簓さん、私が」
「いーんだよ合歓」
「ええよええよ合歓ちゃん、自分で好きなだけよそうから」
左馬刻が作るカレーには人参が入っていない。その代わり、ナスやズッキーニやオクラやカボチャ、人参以外の野菜を焼いてルーにあと乗せする。どうせおかわりするだろうと大量に焼いてある。簓はたっぷりカレーをよそって、野菜もどんどん乗せていた。ついでによけていたパックからからあげまで乗せて、スペシャル左馬刻カレーや、とご満悦である。
「おいこら、変な名前つけんな。それとそれあとでつまみにするやつ」
「ええやん、まだ残ってるし」
「わあ、いいな。私もおかわりして、からあげ乗せちゃおう」
結局左馬刻もおかわりをして、晩酌の前にからあげはなくなってしまった。
なんでもない話ほど、ずっと覚えているものだ。もう、忘れてしまいたい、そう思っていた時もあった。
左馬刻が差し出したちいさな花束を受け取って、簓が目を丸くする。
「言ってただろ」
「あの話覚えとったん」
「ずっと忘れられねえんだよ」
「お前、ほんまおもろいやつ」
そう言って、ひまわりの隣で、簓が笑う。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内