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望月 鏡翠
2025-03-03 00:15:21
868文字
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日課
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#1649 「信者」「諸行無常」「片言」
#毎日最低800文字のSSを書く/三題噺
廃墟の教会がある。
そこは便宜上教会と呼ばれているが、全く違う宗教の施設だったから本当はその呼び方をしない方が適切だ。人から信仰を集めようとした結果、既存の施設を怒られない程度にアレンジした紛い物が出来上がったのだ。
そこにあった信仰は偽物だったが、教祖の人を救いたいという思いは本物だった。ただ少しだけ愚かで思い込みが激しいだけの善良な人だったのだ。
その真摯さに打たれて、信者が集まってきた。一時は平穏な世界だった。しかし、優しいだけで救いはなく中身も空っぽの言葉に、すぐに人々は興味を失った。
彼には人を惹きつけるだけの力強さがなかったのだ。
信者も人だ。人は残酷だ。熱はすぐに冷めてしまう。
一時期は人で賑わった白亜の境界はあっという間に廃墟になった。
諸行無常である。
今はそこに、人を救うという理念とは無縁の悪党が住み着いている。
片言しか喋ることができない異国からやってきた男だ。皮肉なことに、彼には人を惹きつける魅力があった。だから悪党たちを束ねて廃教会で彼らの王国を気づいていた。
ここにやってきて人を束ねようとする人間は、常に何かが欠けている。
悪党はやがて、彼らに困っている周りの住民に目をつけられた。入り口を閉ざされて、外から火をつけられた。教会は燃え上がり真っ黒になった。
そして元々、崩れかけだった廃墟は天井が落ちて中に残っていた悪党ごと潰れてしまった。そこは忌まわしき噂と共に地域に名を残した。
かつて神聖だった場所は、幽霊が出ると噂されるようになった。
崩れてしまった廃墟は人が過ごすのに適した場所ではなかったが、やはりそこにも新たな住民がやってきた。人ではなかった。
やはり新たな住民もどこかがかけた存在だった。片目のない犬である。瓦礫の影に身を寄せて眠るのだ。
人が寄ってこないので、人に石を投げられる薄汚れた野良犬に獲っては安心できる場所だった。犬は仲間を集め、家族を作って幸せに暮らした。
廃教会で過ごしたものの中でもっとも幸せになった個体だった。
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