望月 鏡翠
2025-03-02 22:18:13
866文字
Public 日課
 

#1646 「落ち葉」「謎」「麺」

#毎日最低800文字のSSを書く/三題噺


 公園の道に落ち葉が降り積もっている。
 靴の下で枯れ葉がサクサクと音を立てる。明日あたりに掃除されて丸ごとなくなって、秋なんて存在しなかったが如く今まで通りの地面が待っているのだろう。
 昨日は風が強かったから、木に残っていた枯れ葉が悉く散ったのだ。
 枯れ葉が厚く積もっているところは、風の行き止まりなのだろう。
 よく見れば形や色がさまざまあるのだが、よく見たことはない。謎の木と謎の葉っぱ。時折花が咲いて、そして秋になったらまた散ってくる。
 それらを見ていても、脳内にあるのは公園を歩いた先にあるラーメン屋だ。ラーメンを食べたい気分のときのジャンキーな気分を満たしてくれる味。しかし油はそこそこで、胃袋への攻撃は控えめ。麺は固めでめんまを足す。
 公園を歩くのは、少しでも運動をしたという言い訳を作るためだ。電車で向かうより、健康的だ。
 少し遠回りをして、公園を隅から隅まで歩いていると、前項から白い毛玉が跳ねながら歩いてくる。
 犬だ。中型犬。毛がふわふわとして、いいシャンプーを使ってもらっている都会のお犬さまという感じがする。
 同じように滅多に楽しめない枯葉の感覚を楽しんでいるらしい。落ち葉が深い場所を見つけては一つ一つ鼻先を突っ込んで中身を確かめている。きっと彼は宝探しの途中なのだろう。無邪気に枯れ葉を跳ね上げて、飼い主はその後ろから実用性一辺倒の服を着てついてくる。
 ラーメンを食べる前の言い訳のような散歩よりもよほどきちんとした運動をしている人たちだ。
 犬の邪魔をしたらかわいそうだ。道を譲ってやることにした。
 犬のことは好きだ。好きだが、こちらから犬に絡むことはしないようにしている。
 何かの間違いで飛びかかってこないだろうかと思ったが、きちんと躾けられた犬は、枯れ葉で遊んでいる最中であっても人に飛びかかるようなことはしなかった。熱視線にも気づかなかった。
 ラーメンを食べたあとならば、匂いに反応してくれただろうか。
 そんなことを思いながら、名残惜しく犬の揺れる尻尾を見送った。