「吾は匁様の盟刀をしかとは見ていないのでおじゃる。剣主と盟刀は常に対、互いに互いを映すもの。刀身を見ずして剣主は語れませぬ」
「そういうもんか」
「ただ、匁様の流水死命はその名の通り水の刀であるようです。諸刃様がそのようなことを」
「水の刀
……」
キザミは少々渋い顔になって腰の刀に手をかけた。
キザミの盟刀・獄楽天女は炎の刀である。
「相性最悪だな」
「いえいえそんなことはおじゃりませぬ」
百目は能天気に茶をすする。
「水が炎に打ち勝てば熱い湯が湧く」
「風呂じゃねえぞ」
「炎が水に打ち勝てば高温の水蒸気に」
「サウナかよ」
「熱い風呂に浸かりサウナで汗をかく。水風呂もご用意いただいて、これぞ極楽でおじゃりまする」
「俺とあいつでスーパー銭湯やれってか!?」
「炎も水も五行のうち。ぶつかり合うのも悪いことばかりではないと申し上げております。本気でぶつからねばわからぬこともある」
百目は空になった茶碗を名残惜しげに傍らに置き、改めてキザミの方へ視線を向けた。いつもと変わらぬ珍妙な白塗りだが、眼鏡の奥だけは真剣なようだ。
「キザミ様は匁様と刀を交えた。それでも匁様がわからないとおっしゃる」
「わからない。匁の刀は
……ただ、冷たかった」
「わからないのはまだまだ"見"が足りないからでおじゃる。キザミ様は更に戦うべきなのです、匁様と」
「あいつは俺を殺そうとしたんだぞ!?」
「それでも。関わり続けなければ、永遠にわからないままでおじゃる」
扇で口元を隠しながら百目はほほほと笑った。
「直接匁様に聞いてみるのがよろしい。なぜ俺を殺そうとしたのか、と」
ぱちんと閉じた扇の先が水上の巨大な門を示した。キザミもつられて水路の向こうへ目をやる。
千代田クラスタ。入って戻った者はいない謎の国。
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メモ。
演劇東京ブレイドのキザミと匁の、あの特大エモーションのぶっつけあいに至るには何かあったはずなんだけど何があったかがわからんのでとりあえず本編終わったところから構築してみようかと思って書き始めたネタ。
匁サイドは→ ちよもめ
https://privatter.me/page/67bda870560d9
百目に代弁させすぎだなとおもったら進められなくなったのでいったん捨てることにして、それでも気に入ってる部分もあるので残しておきます。
語尾おじゃるがむずいんよ百目。
※「獄楽天女」は演劇東ブレミニブックの表記合わせ
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