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三毛田
2025-03-01 13:02:29
1073文字
Public
1000字3
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18 18. 抱きしめたい衝動
18日目
結局止められない
「
……
」
「
……
」
鱗淵境を二人で歩く。
ふと足を止めると長い黒髪が揺れ、水の壁を見つめる横顔を俺も見つめる。
「何か感じる?」
「どうだろうな。この卵たちを見ても、景色を見ても
……
特に哀愁を感じることはない」
「懐かしい気持ちになることは?」
「わからない。そもそも、〝懐かしい〟とはどういう感情なのだろうか」
瞳に映るのは、不安。
「俺もわからない。でも」
「でも?」
「命が燃え尽きる瞬間には、分かるかもしれない。それならそれでいいんじゃないか?」
俺の言葉に歩き出そうとした足を止め、空を見上げてから俺を見る。
「お前は、俺では思いつかないような答えを出すな」
「褒めてる?」
「ああ。お前と居ると、不安が押し流されるようだ」
「雲吟を使わなくても、流せるのか?」
「お前が居てくれるだけでいい」
目を瞑ると俺の手を取り、自分の頬に当てて。
抱きしめたい。今すぐ抱きしめたいけれど、グッと我慢する。
「丹恒」
「どうした」
「丹楓は、お前であってお前じゃない。だから、こんなところで恨みがましい事を言ったりしてくる奴らなんか居ないものとして扱えばいい」
突然そうなことを言われても。みたいに、少しだけ眉を下げ。
でも。
「ありがとう。だが、俺一人ではここに来なかったし、お前以外にも人が居たらこの姿にもなっていない。お前が居てくれるから、一歩を踏み出そうと思えるんだ」
手のひらに頬ずりして、囁きのような小さな声を。
駄目だ。もう、我慢できない。
「穹?」
そっと手を引き、勢いよく彼を抱きしめる。
「どうしたんだ?」
俺の背中に腕を回し、ポンポンと優しく背中を叩き長撫でながら問いかけて。
「丹恒のこと抱きしめたくて仕方なくなった」
「そうか」
「痛くないか? 熱くないか?」
「大丈夫だ。お前の温もりは、心地よい」
そう言われると、雰囲気によってはムラムラする。でも、今はそんな場面じゃないので口にするのは我慢。
「そっか」
ありがとうと告げるのも違うし、だからといって、他の言葉も見つからなくて。
ただただ、彼を抱きしめることしか出来ない。
「落ち着いたか」
「うん。ありがとう」
そう口いすると、嬉しそうに微笑んで。
「もう帰ろう」
「気は済んだのか?」
「ああ。お前がいてくれたおかげだ」
「照れるな」
鼻の下を擦ると、俺の姿を微笑ましそうに見ていることに気づく。
「なに」
「色々なことを吹っ切れるようになったのは、お前のおかげだと思ってな」
「そ、そうか」
そう言われると、照れる。
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