三毛田
2025-02-28 23:22:57
1087文字
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17 17. 想えば想うほどに切ない

17日目
切なかったけれど、今は

17 17. 想えば想うほどに切ない
 初めは漠然としたものだった。
 だって、それが〝恋〟に繋がるものだと知らなかったから。
 少し距離を詰めると、詰めた倍の距離を開けてしまう人。
 だから、必死に何かを隠そうとしていることに気づいても、それをどうにかすることなど出来なくて。
「丹恒。パムがご飯食べろって言ってたぞ〜?」
「ああ。そこのテーブルに置いておいてくれ」
「食べるまで出ていかないから」
……
 ヤリーロを後にしてすぐくらいの頃。あそこで集めたアーカイブをまとめるのに必死だったのか、なにか考えたいことでもあったのか。
 俺にはわからないけど、丹恒は資料室にこもりきりになり。
 パムが食事や飲み物を定期的に差し入れするも、手を付けられている様子がないと嘆いていた。
 ので、列車内の掃除やパムの手伝いの合間に様子を見に来て。そして、今、何とか食べさせることに成功したのだ。
……染みるな」
「なら、ちゃんと食べろよ」
「昼夜の感覚がないから、つい忘れる」
「ちゃんと飲み食いしないも、倒れるぞ」
「俺は人より丈夫だから、多少は栄養補給せずとも平気だ」
 淡々と、それが事実であるというような声色。
「リフレッシュしたほうが、効率が良くなるってネットで見たぞ」
「なら、お前の手が空いているときに声をかければいいだろう」
 そうなのかもしれないけど、そうじゃないんだよなぁ。
「丹恒」
「え?」
 端末から引き剥がし、肩に担いで俺の部屋まで連れていく。
 ダイニングの椅子に座ってから膝の上に座らせ、口元へ果物を持っていく。
「生温い」
「丹恒がさっさと来てくれれば、冷蔵庫から出したばっかの冷たいの食べられたのに」
……
 不満そうにしながらも、小さく口を開け。
「氷が出来てるだろうから、食べる?」
「食べる」
 丹恒を横抱きにし、冷凍庫から製氷機を取り出す。ついでに、アイスも渡す。
「丹恒、あーん」
 製氷機から氷を出し、口元へ持っていく。
「美味い」
「それはよかった。ちょっと塩と砂糖混ぜたんだ」
「スポドリと同じ配合だから、今の丹恒にちょうどいいはず」
 唇に氷を挟み、突き出す。と、躊躇うことなく噛みつくように氷を奪っていく。
 冷たい唇が触れ合って、意外と気持ちいい。
 氷がなくなると、次の氷を手に取って俺の唇に当て。それから、キス。
 想えば想うほど切なかった。でも、心を通わせたら、そんなこと思う暇もなく。
「丹恒、キス好きだよね」
「お前との口づけは心地よい」
「そっか。嬉しい」
「ああ、俺も嬉しい」
 とまたキス。