三毛田
2025-02-26 12:34:44
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15 15. 手を伸ばして気をひいて

15日目
それでも君の反応はイマイチな時もある

「たーんこ。そろそろ休憩」
 眼の前でひらひらと手を振っても、反応は鈍い。
 これは、かなり集中している。
 けれど、俺が出かけて帰ってきても微動だにしてない。
 なんで分かるかって?
 ブックエンドを椅子の脚のところに仕掛けて出かけたのだ。
 もちろん、椅子を引いたら丹恒がすぐ気づくようにというイタズラみたいなもの。
 でも、それが動いた形跡がない。
 最近、タブレットをアーカイブ端末に繋いでそこから確認出来るようにしたものだから、ますます動かなくなった。
 飲み物とかも、あらかじめ手が届くけれど汚さない位置に準備するようになってるし。
 あまりにも動かないもんだから、最初の頃は『ちゃんと動いて、ストレッチするのじゃ! 食事もしっかり摂れ!』って叱っていたパムですら諦めている。
 栄養補助食品というか、携行品で済ませてるみたいだし。
 学者ってみんなこうなのだろうか。
 レイシオに聞くのが手っ取り早いだろう。そして、メッセージを送ってみたら、『適度な休憩や栄養補給をしないと、パフォーマンスが落ちる』的な事が。それと同時に、添付ファイルも。
 そっちは重すぎるのでスマホでは開けない。後でアーカイブ端末に転送しておくことにする。
「丹恒。休憩と栄養補給をした方が、いいものが書けるってさ」
……誰がそんな事を」
「レイシオ」
「Dr.レイシオが言うのなら、そうなのだろう」
 大きく伸びをするので、その腕を掴んで更に上へ引っ張る。
「のび~るのびーる」
「あー……
 伸ばされて気持ちよかったのか、いつもならダサないような気の抜けた声が。
 手を離し、後ろから抱きつくとポンポン頭を撫でられ。
 俺が手を伸ばして気を引こうとした時は、頑なに反応しなかったクセに。
 なんて恨み言が出そうになって、グッと飲み込む。
 こんなことなら、抱きついて胸でも揉んでおくんだった!
 なんて思っても、後の祭り。
「冷めちゃってるけど、ご飯食べて」
「ああ。いただきます」
 丹恒が食べている間に、お土産で買ってきたお茶を淹れる。
 美味しいって言ってもらえたら嬉しいなと思いつつ、提供。
「ん。熱いが後味がスッキリしていて、飲みやすくて美味い」
「よかった。お前のことを考えながら、お店のマダムに選んでもらったんだ」
……
 あらら。
 耳は真っ赤だし、尖り始めている。よっぽど嬉しかったみたいだ。
「冷やすとまた変わるらしいよ。多分、こっちのほうが好みだろ」
 氷たっぷりのカップにお茶を淹れ渡す。
「こっちのが好みだ」