huxo_ku
2025-02-25 16:43:47
3255文字
Public
 

時期外れ

ノーマルKKのほのぼの話


タカ視点

タカは久々にけいさん宅へと帰宅できることになった。1月は当然正月と正月明けで忙しく、帰れても少しの間。2月に入ると今度は浮き足立った人々とそれを良く思えない人々のいざこざが絶えず起こってそのテロとも言える所業に手を焼く日々。そしてもちろんバレンタインデーの前後ははそこかしこで本当に多岐にわたるイベントが開かれ、お祭り好きのこの国の人々はチョコ会社の商業戦略だと言われていても乗らずには居られないカップルでどこもかしこもいっぱい。タカはあっちの警備そっちの事故処理ヴィラン処理にテロの阻止。もちろん事務所には大量のチョコレートが送られてくるが、それが俺の口に入るのは数多の検査を突破した間違いなく安全なものだけで、その全てを検査に出すのはあまりにも面倒で時間が掛かるので、まず手作りは即廃棄(ごめんね雛鳥ちゃん達)、そしてパッケージされた未開封チョコレート達は検査に回されるが終わる頃には賞味期限が切れたりなんだりで、仕分けも面倒なのでサイドキックに持っていってもらうという流れで、俺は気が向いた時にしか食べてない。今年はその暇もなく面倒だったのと、前カロリー摂取用にかった羊羹もまだ残ってるしやめておいた、けいさんが脳裏に過ぎったとかそんなんではない。そしてバレンタインすぎたら2月22日のにゃんにゃんにゃんで猫の日にかこつけたネコネコパニック(猫化個性の蔓延や、猫化の後遺症によるものまで)まで起きる始末。
とまぁそんなこんなで、けいさんの存在を頭の片隅ーーーにちっさくしか残しておけないくらい忙しくて忙しくて大変だった、甘い物に興じる暇もなくバレンタインの時期も大幅に外れた2月末。ようやく訪れたひと段落。さすがに今回はなかなかに大変だったせいもあり、疲労が溜まっているのを感じていた。まだ書類整理は終わっていないがこれが終われば帰れるので、思わず携帯を取り出して

今日は帰れます

と端的な文で連絡する。思ったよりも既読になるのは早かったし携帯を眺めていたのかもしれない。

待ってる

というシンプルな返信と、よく分からないうさぎのキャラが料理してるスタンプが送られてきた。ご飯作ってくれてるかなー?嬉しかー、と言葉の量は少なくとも感じ取れる優しさに文字通り浮き足立ちながらけいさんの家に少し遅くなったが帰宅。

扉を開けると同時に感じる甘い香りが鼻腔をくすぐり、どっとお腹が減ってきた。

「けいさん帰りましたよー」

と声をかけながらリビングの扉を開けるとひょこっとキッチンから顔だすけいさん。エプロン姿はなんだか可愛く感じる。

「おー、おかえり。先風呂ってこい、沸いてんで!」

にかっとわらって迎えてくれた久しぶりの恋人の久しぶりとは思えないくらいいつも通り迎えてくれる。これがまた嬉しくて思わず顔が綻ぶ。リビングに来るとなお強く感じる甘い匂い。甘い物は好きだ、とくにけいさんの作るお菓子。

「けいさん、何か甘いもの作ってました?いい匂い

コートやらを脱ぎながら、疑問をそのまま口に出す。

「おー、今日はデザートあんねん。」

ふんふん、と鼻歌を歌いながらなにか混ぜてるけいさん。何作ってるんだろうなー?とおもいつつ、お風呂を先に入っといでと言われたので、まずは体の疲れを癒すことにする。
お風呂場のバスケットにはふかふかになって畳まれたバスタオルとフェイスタオルが用意されてるし、俺の下着もキチンと畳まれて置いてある。これは流石にけいさんに色々させすぎか?とも思ったが今更すぎたので考えるのをやめて溜められたお湯にしっかりと浸かって体の疲れを癒す。ちゃぽん、とお風呂場に反響する水音にすら心地良さを感じて眠くなるが、死んだら困るので顔を洗ってしゃきりとする。この間けいさんが買ってきた、アヒルを湯船にうかべて動向を見守ってみた。なんとなく愛嬌がある。
さっぱりしたー、とお風呂からでてリビングに戻ると、テーブルにはいつもよりも少なめのメインの食事と一緒に、チョコレートプリンやら、ガトーショコラやら、トリュフチョコやらが、綺麗に盛り付けられていてテーブルがキラキラしてる。疲れて帰ってきた俺にとってはそれはもう大変なご馳走でバリ嬉しい。顔に出すのは恥ずかしいので至って普通の顔でけいさんに問いかける。

「わー、どうしたんですかこのラインナップ」

「あー、安く売られとったからな、遅めのバレンタインデーチョコレート祭りやー」

にっ、と笑いながら出されたそれはこの間のバレンタインデーが終わった後の売れ残りの安売りらしい。安売りされていたその辺の板チョコとは思えない姿に加工された色々なデザートに目移りしまくる。目移りしながら食卓に着くと、目の前にパスタが置かれる。

「飯も食わんとバランス悪くなんぞー、飯食ったら好きなの食えー」

「はーい、いただきます」

甘いものはあとの後の楽しみとなった。手を合わせて作ってくれたけいさんに感謝しつつ目の前に出された夕食のベーコンとキノコのクリームパスタを大きなひと口で頬張る。見た目よりもあっさりしてるのにしっかりと濃厚な深みがありパスタに絡まるソースはベーコンふわりと芳ばしい香りで食欲を刺激してきて、キノコの食感もアクセントになりペロリと平らげてしまった。普段はこの皿山盛りにしてくれる量だが、今日はデザートがあるため少量になっている。そして俺は今日しっかりとお腹が減っていたので胃の容量的に3割といったところだ。

「パスタ美味しかったですよ、けいさん。」

「お、そうか、っつか早ない?腹減ってたんやなぁ」

けいさんはまだパスタを食べていた。けいさんが食べ終わるのを待ってても良かったが、食欲が勝ってしまったので、チョコレートプリンの器を手に取る。ぷるぷると器が少し揺れるだけでもやわらかさが分かる。上にホイップとさくらんぼが乗っていて、お店で出てきてもわからないくらい出来栄えだ。出来合い物の可能性すらあるのではと思いつつスプーンでぷにぷにと弾力を確かめながら1口スプーンですくう。ツルリとした表面は中までちゃんと均一になっていてチョコレートの甘い香りがする、そのまま口に運べば、舌で簡単に崩れる柔らかいプリンがチョコと生クリームだろうか、濃厚な甘みと深みが口に拡がって幸せに感じた。実は俺はプリンが好物なのかもしれない、と思わせるくらいに体に甘いものが染みていく。

「ん〜〜、けいさん、このプリン美味し!!」

勢いのままけいさんへ美味しさを伝える。けいさんはパスタを食べ終わったようで、俺の反応を気にしてたのかこちらをみていたし、俺のプリンに対する反応に嬉しそうに目を細めた。あ、その笑った顔好き

「ん、タカ、美味しいって顔して食べとったしな。また作ったる」

相当美味しい顔をしてしまってたんだろう、けいさんは俺が美味しいという前に既に笑ってたから。少し恥ずかしい。でも美味しいものは美味しかったし、素直に言うとけいさんが幸せそうに笑ったのでいいことにする。味わいながらもパクパクとあっという間にお腹にプリン1つを入れてしまった。テーブルに乗ってるのとは別に実は冷蔵庫にもまだ甘いものがあるらしい。まぁたまには食事制限やら栄養状態やらカロリー制限やら、肉体作りのことは忘れて甘いものを沢山食べるのも悪くないでしょ。えーと、あれ、いわゆるチートデイ?ってやつね!……一応バレンタインデーだし、ホワイトデーには用意してあげなきゃかな


後日しっかり太ったタカと付き合って食べてたら同じように少し太ったけいさんは仲良くダイエットと食生活の見直しメニュー考案するのでした。


(元々考えてたお題)
バレンタインの売れ残り大量板チョコを格安で手に入れたけいさんが時期外れのチョコ祭りを開催してタカがうまうまする話

が、内容ちょっとずれちゃったけどまぁいいか!
けいけいに幸あれ!