いを
2025-02-24 18:25:15
2047文字
Public タグ、掌編、その他
 

タグまとめ13

刀神
モイラと鼎と糸車
アカデメイア・プルート
鬼斬京
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。

My Little Good bye.(刀神・夕大さんと菊司)
 盛大にくしゃみをしたあと、鼻を鳴らす。「菊ちゃん風邪?」と彼が首を傾けると、男は「風邪じゃないと思うけどなぁ。なんか、花粉の気配」と答えた。「花粉かぁ」夕大は腕を伸ばして、すうっと息を吸った。春の気配を感じるように。春の匂いというものは、あると思うのだ。自然とかけ離れたような場所にいる菊司でも、そう思う。「いい匂いでもする?」とたずねると、夕大は「そうかも」と笑った。
――and hello spring.


hello in the dark.(刀神・紅梅百華さんと久遠)
 ただ美しいだけの刀神だと思っていたのだが、この神は梅干しに大層ご執心らしい。梅干しを食え、というので食べてみると確かに美味かった。「あまり食ったことはないのか」と問われ、少々思い返してみる。「梅干しは好きだが、それほど沢山というわけではないな」そう答えると「人生を損している!」と驚くので「それじゃあ、一生分の梅干しを食べてみようか」と提案すると、彼は「いい案だ」、そう言った。久遠はくちびるのはしをあげて「これが終わったらな」と、彼が持つ妖刀紅梅百華の鍔と豊和の鍔を鳴らし、土を蹴った。
――say hello goodbye.


fractal lovesongs.(モイラ・夢見さんと大森)
「フラクタルという単語を最近知ったのですが」保が夢見に語りかけるように呟くと、彼女は「フラクタル」と反芻した。「図形の全体をいくつかの部分に分解していった時に全体と同じ形が再現されていく構造……らしいのですが。人間の心理的な内面が、ぴったりとはまる部分があったらよいな、と思います」ぱちぱちと彼女は目を瞬かせて、「同じ形であれること、ということかしら」と問うた。「そうですね。仰るとおりです。外見はどうあってもなり得ないので、せめて内面だけでも」眼鏡のつるに触れて、照れ隠しのように笑った。
――romantic violet.


all or nothing to you.(プル学・ギリィさんとルーシー)
 白い髪の毛が揺れている。首を傾けて見上げていると、その人は下を見た。「なに?」と問われたので「髪の毛見てた」と正直に答えた。それからはっとして、「はじめまして! ルーシー・レムレースです!」と元気よく、自己紹介をした。自己紹介は大事なことだと教わったのだ。白いふわっとした髪のその人は「レム」と言った。「れむ?」今度はルーシーが問うと「レムレースの、レム」そう教えてくれた。「レムって呼ばれたの、はじめて」にへへと笑ってみせる。窓を見ると吹雪いていた。「風、いっぱい。吹き飛ばされちゃう!」
――spring flowers.


my name is venom.(刀神・螢さんと菊司)
 螢と共同製作したものが完成したので乾杯をした。無論、エナジードリンクで。仕事終わりの一杯は、美味い。シロップを限界まで煮詰めて蛍光ピンク色にしたような液体を飲むと頭の奥が鈍い感覚を覚えて、息をついた。「お疲れさまだね。五十鈴どの」机の上に缶を置く。螢は目の下のくまを濃くしながら「清陵院の旦那もな」とうなじに手をあててごきごきと動かす。「てかさ! お上、ケチケチしすぎじゃない?」自身の目の下にあるものも自覚しながら螢に向き直った。「そりゃ湯水のように使ってたらダメだろ」と、彼はまっとうなことを言った。
――cheers! brothers.


worldend and cloud nine.(刀神・天青浄さんと桂木)
 天青浄纏太刀が見ているものが気になったので、腰を屈めて後ろから視線の先を見ていると、どうやら鳥のようだった。鶯だ。「おっ、鶯」つい声を出してしまった。前にいたその刀神はぎょっとした表情で振り返った。そのあといつものように睨まれて、「悪かったって」と謝った。「いやあ、春だなぁ」そうしみじみ頷いてみせる。目の前のまるい頭は視線を外に戻した。耳を澄ますとまだへたくそな鳴き声が聞こえてきたので、ふっと笑ってみせる。「まだ子ども……」天青浄纏太刀がか細い声で呟いたのを聞いた。
――blessings to you.


Say hello to the creatures.(鬼斬京・イロさんと金沢)
 今日は心地のいい陽気だからかイロは陽の光を感じられる部屋に籠もっている。立て付けの悪い戸を手のひらの感触で確かめながら、取っ手をゆっくりと引く。ぼんやりとした視界に、わずかな白い光があらわれた。「イロ」と呼んでみるも、気配はあるが返事はない。眠っているのだろう。あまりこの部屋にはこないので、ゆっくりと足を畳に滑らす。黒いかたまりが足もとにあったので、そっと撫でた。あたたかい感触と、呼吸音。ほっと息をついて、となりに寝そべる。ひたいに口付けてから、サングラスを外して目を閉じた。
――Dear You,