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溶けかけ。
2025-02-23 21:06:43
804文字
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ほぼ日刊
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夜もすがら
妊娠中のフリーナの不安のお話。
ヌヴィレット、早く帰ってきてーーー!!
「わぁ
……
。もうこんな時間」
本から顔を上げたフリーナはふわあ
……
と欠伸を一つした。時計の針は頂点で重なりあっている。
「ヌヴィレット遅いなぁ
……
」
彼の在るべき場所に手を触れれば、しん、と冷え切っていた。
「寒い
……
」
キングサイズのベッドは一人ではより、寒さが沁みる。フリーナは厚手の毛布に包まると自身の身体を掻き抱く。
「早く帰ってきてよ
……
」
無理なことだと分かっていながらも口にしてしまう。大切なパーティーに出席している彼の両肩にはフォンテーヌの未来がのっている。
本来ならばフリーナも彼の妻として出席しなければならない立場にある。それなのに彼女が家にいる理由は──
「キミたちも早く帰ってきて欲しいよね?」
少しだけ大きくなった腹に手を当てる。
僕とヌヴィレットの大切な子どもたち。香水や料理の匂い、そして権謀術数渦巻く会場において、身籠っているフリーナへの影響を心身ともに心配したヌヴィレットによって、彼女は留守番になったのだ。
「眠れない」
寝返りをうちながらフリーナは呟く。
腹の子どもたちのためには質の良い睡眠をとる必要があることは理解している。それは理解しているのだが──。
「ヌヴィレットが帰って来ていないのに、安眠なんて出来るわけないだろう?」
腹を擦りながら、フリーナは腕に手を当てる。なるべく早く帰ってくるって言ったのに、と理不尽なことを思う。
これではただの我儘だ。
(彼が忙しいのは分かってる
……
。でも、夜に独りは
…………
寂しい)
込み上げてくる想いを嗚咽とともに飲み込む。精神が不安定なのもきっと妊娠しているせいなんだ。
「僕は良い母親になれないみたいだ
……
」
この子たちは何も悪くない。けれど、時々思ってしまうのだ。妊娠していなければ、彼について行けたのだろうか、と。
「
…………
ごめん。キミたちは何も悪くないのに
……
」
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