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nuka_boshi
2024-10-23 21:43:53
7550文字
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りらかふぇ
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リラカフェ外伝 小さな花は神に叛く
二人旅時代のフィオリーナとノワールが幼い頃、出会ったばかりの頃を思い返しながら会話するだけの話。エピソードゼロを読んでいる事前提なので読んでないとわからないかも? 世界観の掘り下げ用エピソードなので割と淡々としている。
――
今にして思えば、たいしたキッカケなんて無かったのだろうと思う。私がそう口にすると、満月色の瞳が足元で困惑したのが見てとれた。
「きっかけが無い、とは
……
? いや、流石にそれは無いだろう? 『あの』パルティトゥーラ聖教会だぞ? 理由が無ければそれほど毛嫌いする事など普通は、」
「それがどうして、思いつかないのよね。教会のヤな所はいくらでも言えるんだけど」
肩を竦めてそう答えると、足元の黒猫
――
ノワールは大きな口を開けたまま固まってしまった。まあ気持ちはわからなくもない。ノワールはこれでいて結構常識人(常識猫?)だし。もしノワールが魔法猫じゃないごく普通の猫で、他の世界を自在に渡る事が出来なかったなら、そもそもパルティトゥーラ聖教会に不満を持つ事さえ無く「理不尽だがそういうものだ」と受け入れたに違いない。ノワールが教会の教えを嫌うのは、あくまでも他の世界を知っているからだ。大海原を知っている魚が井戸の中で満足できる筈がないのと同じ。井戸の中しか知らない魚は、多少の不自由があっても井戸の中で満足できる。できてしまう。知らない場所を夢見るより、今いる場所で生きていく方がよっぽど大変でよっぽど重要だもの。
――
誰だって、そういうものでしょう?
そして、その理屈で言うなら、私は間違いなく「井戸の中しか知らない魚」だ。私はこの世界で生まれて、この世界で育った。他の世界へ行くことはどうやったって不可能だし、そもそもノワールに聞くまで他の世界があることすら知らなかった。
――
だけど、このクソッタレな世界が嫌いで、どこか他の場所に行きたいといつも思ってた。そして、この世界の『常識』の原点とも言うべき教会が本気で大嫌いだ。だからこそノワールはふと疑問に思ったらしい。私のこの教会嫌いは、そもそも何がきっかけなのかと。
その結果が冒頭の会話なので、まあ驚かれるのも無理はない。だって、この世界で生きるなら、それこそ魔族だとかそれに与する者でなければ、パルティトゥーラ聖教に必ず何かしらの形で触れることになる。例えば、読み書きを覚えようと思ったら教会の子供向け聖典を教本にするべく教会へお布施を払うことになる。算術なら関係が無いだろうって?
……
実は、この国では九九などの数え歌があるのだけれど、あれも教会の讃美歌の替え歌なのだ。教会が、自分たちの教えに触れやすいようにと自ら発行している数え歌があるので、それ以外で覚えようとすれば不信心者として袋叩きに遭いかねない。一から百までこの調子。何をやるにしたって、教会の教えがずーっと後ろをついて回るのだ。本当、鬱陶しすぎて金魚の糞の方がよっぽどマシ。
……
うーん、このまま考えても延々と教会の嫌な所を考えてしまいそうだ。ひとまず、この世界の人なら誰でも知ってる事から、改めて振り返ってみることにしよう。あ、この辺は読み飛ばしても全然大丈夫よ(って、これ誰に言ってるのかしら?)。
まず、そもそもこの世界には、様々な種族が暮らしているのだけど、大きく分けると人族、魔族、精霊の三つに分類される。魔族は人族絶対死すべし!派、精霊は中立派といった所だ。国という巨大なコミュニティを作って共同生活しているのは陸の上には人間しかいないので、人間と親しい種族は彼らの国の中に集落やら何やらをこじんまりと作って生活に溶け込むことが多い。大抵の場合、そういう種族を引っくるめて『人族』と呼ぶ。要するにこのパルティトゥーラ王国は、人族が住む地上唯一の国なのだ。王国内にはたくさんの種族がいる。力の強い
人狼族
ヴィルカシス
だったり、大空を舞う
鳥人族
スパルナ族
だったり。ただ、そうした種族を差し置いて、パルティトゥーラ聖教会は何故か行き過ぎなほどの人間至上主義を掲げている。
教会の教えによれば、神様が最初にお造りになられたのが人間だとかで、人間というのは神に一番近い種族とされているらしい。また、神様は黒髪に赤い瞳の少女の姿をしていたが、世界を滅ぼそうとした魔女に身体を奪われてしまったとされている。しかし、竜を始めとする一部の種族は、それでも魔女こそが神聖な生き物だと信奉し、魔女を悪し様に言う人間や、それに加担する種族を憎み、見境なしに襲っている。こうした種族が魔物と呼ばれている。神様は身体を失いながらも最期の力で憎き魔女の髪を銀色に変えたともされており、銀の髪と赤い瞳で生まれる子供たち
――
魔女達は皆、その罪を背負っているのだとか。正直なところ、「アホくさ」と笑ってしまうような話だ。今でもこの伝承を根拠に魔女狩りが続いているけれど、本当馬鹿馬鹿しい話だと思う。伝承がどこまで本当か、今となっては誰も知らないし、知りようがない。第一、仮に伝承が本当だったとしても、納得いかない。銀髪赤目が罪の証? 仮にも神なら産まれたばっかの赤ん坊にまで罪を問う必要ないじゃない。関係でしょ、これっぽっちも。そんな無関係な人をいつまでも恨むみみっちい神様に助けてほしくないの、私だけ?
もちろん、人間以外の種族からしたら、これらの教えはたまったもんじゃないはずだ。同じ人族であっても、動物や魔物の特徴を宿す種族は『魔女に魂を売った』などとされ、冷遇される傾向にあるし、
首都
クラヴィーア
じゃ人間以外の人族には亜人税などという名目で道を通るだけでも税を取る上に、亜人入店禁止の店がまかり通るほどだから。しかし、先程も言った通り、陸上に国と呼べるようなコミュニティはパルティトゥーラ王国しかなく、パルティトゥーラ聖教会は国教なので避けようが無い。
……
一応信仰の自由はある、という事にはなっているけれど、大抵のことは教会を通す必要がある。職探しだって教会を経由しないと良い職は見つからないし、ゴミの回収だって、教会を通さないと違法になる。つまり、入信しないことにはこの国でまともに生きていくのは不可能と言って良い。自分を虐げる教えと分かっていても、とりあえずは入信するしか無いのだ。新しい宗教立ち上げるなんてしたら、すぐに熱心な信者たちが飛んできて、半死半生の目に遭わされる。実際新興宗教を立ち上げた
人虎族
ワータイガー
がパルティトゥーラ聖教会の信者と衝突し、小競り合いになった事件が10年ほど前にもあったらしい。そもそも教会は審問騎士という、魔女や異教徒を弾圧することに特化した騎士を何名も抱えているので、真っ向から喧嘩売るのは死ぬのと同義だ。みんな死にたくないので逆らわない。以上。
……
改めて振り返ってみると、教会の教えって本当クソだと思う。今すぐ滅んじゃえばいいのに。
とはいえ、じゃあ何故「教会ってクソだなぁ」と思うようになったのかと聞かれると、やっぱりはっきりしない。最初から最後までずっと嫌いというか、物心ついた時には嫌いだった気がする。
「
……
王室派の者に育てられた、というのは
……
フィオリーナに限って、流石に無いか」
「無い無い、絶対無い。うち、どこに出しても恥ずかしいくらい過激な教皇派だったし。ノワールに教えてもらうまで先代の女王陛下の名前すら知らなかったの、もう忘れた?」
パルティトゥーラ聖教会の権力が強すぎて忘れられがちだが、この国は一応『王国』だ。もちろん王族がちゃんといる。大抵の場合は名ばかりで教会にヘコヘコしたり癒着したりしていたのだが、先代の女王であるブリガンティア・フォン・パルティトゥーラはそれを良しとはせず、その半生を王国の大改革に捧げたらしい。それまでは貨幣の発行すら教会が担っていたが、銀行を新たに作り、貨幣の発行を国家事業としたり、魔女以外の種族への弾圧や差別を緩和させたり、教会が難色を示していた治水工事や街道の整備をしたり、それはもう多くの人から感謝されているのだとか。実際、亜人の経営する店ではブリガンティア女王の姿絵を飾っているケースも珍しくはない。現在の王様(女王の息子に当たる、現在40代くらい)は先代と比べると平凡というか、そこまで優秀とは言えないのでパッとしないが、先代のお陰で王室派!という家庭は結構多いのだとか。そういう家庭で教育を受ければ、まあ教会に不信感を持つ事もあるのかもしれない。
ちなみに、私の生家はそれはもう吐き気がするくらいにどっぷりと教会の教えに染まっていたから、ブリガンティア女王陛下の名前なんて聞いたことすら無かった。女王相手に流石に不敬だって? いやいや、多分あの人たち、『教会の権威を掠め取る女狐の方がよっぽど不敬だ!』って真顔で言うと思うよ。
……
でも、こうなってくると、本当に我ながら謎なのよね。実は家を出る時に「クソッタレ!」と思ったのがあまりにも印象深くて、そのせいで昔から嫌いだったと勘違いしたとか? おっと、これが一番可能性高いかもしれない。
……
いや、流石に無いか。しょっちゅう教会への疑問を口にしては折檻されてたから、多分元からだわ。
「
……
その折檻が原因なのでは?」
「んー
……
そうかもしれないけど、な〜んか違う気もするのよね」
確かに、ちょっと疑問を口にするだけで折檻してくる上にナンセンスな教えをありがたがれと押しつけてくる人達は、正直嫌いだ。実際、あの人達の付けた名前を捨てて家を出たのは正解だったと今でも思う。ただ、相容れない価値観だったのだろうなと思うだけで、あの人達のいる生家に火をつけようとまでは思わない。そもそも興味がないし、今となっては顔も名前も覚えていない。道で再会したとしてもきっとお互い気付かないだろう。血の繋がりはあっても所詮その程度の関係だ。両親に対しては、怒りも嫌悪も特にない。どうでもいい。
じゃあ、教会に対してはどうなのだろう。不信感はあるし、大嫌いだ。けれど、私は人間で、教会の教えで迫害される立場ではないし、迫害された知人がいるわけでもない。実際教会に何かされた事って特にないのだ。正義感から教会に怒っているのかといえば、それも違う気がする。だって、私とは価値観が合わないってだけで、世間一般の常識はそもそも教会側が正しい事になるのだし。あくまでも私は自分の為に教会を嫌ってるのであって、正義や悪は関係ないと思う。
……
改めて振り返ってみると、本当不思議。両親のように、さっさと忘れちゃうのが正解だと思う。バレたら死ぬの確定なのに火を付けようとするほど嫌ってるのに、その理由が無いなんてヘンテコな話だ。
自暴自棄になっていた? それも違うと思う。だって、私が火をつけようとしたのはノワールに出会って、他の世界の話を聞いた直後だ。教会の教えが無い世界の話を聞いて、いろんな世界があるって事を知って、胸を高鳴らせたその翌日に自棄になるっていうのはちょっと辻褄が合わない気がする。
「
……
なんとなく、なのかしら
……
?」
「いや、それは流石に無いだろう!? よりによって教会への放火だぞ!? 極刑だと気付かなかったわけではないだろう!?」
「それはそうなんだけど
……
」
慌てて叫ぶノワールに、私は尚も首を傾げる。うーん。カッとなってやった、というわけでもないと思うし
……
本当に謎だわ。
「それほどに実家での生活で追い詰められていたのか?」
「まさか。あんまり覚えてないけど、結構満たされてたと思うわよ? 毎日綺麗なお洋服着れて、美味しいご馳走も三食。それにおやつも付いてきてたもの。たまに妾の子だとかなんとか言ってくる人達は居たけど、贅沢の代償だと思って聞き流してたし。お小遣いで買った古着でこっそりお屋敷を抜け出して遊ぶのも結構面白かったし。
……
あぁ、それでかしら」
好き放題していた思い出をつらつらと並べ立てたあと、私はふと顔をあげた。
「それで、とは?」
「うん
……
、むしろ満たされていたからこそ、教会が嫌いだったのかなって」
本当に困窮していたから、多分私は差し迫った自分の状況にしか目がいかなかったと思うのだ。直接被害があるわけでもないなら、気にしたりしないだろう。対岸で洪水が起きる洪水より、目の前の火事をどうにかしないといけないと奔走するみたいなものだ。けれど、そうでは無かったから、生活にゆとりがあったからこそ、教会の歪んだ教えが目に余ったのだと思う。
「真っ白なハンカチに汚れが付いたら、嫌じゃない? それと似たような感じかなぁって」
私としてはこの結論には納得できるものがあった。けれどノワールにとっては違ったらしい。満月色の瞳を細め、こちらをじっとりと睨んでいる。
「
……
いや、それは嫌い始めるきっかけにはなるかもしれんが、火をつけようとしたきっかけではないと思うぞ」
「え? そうなの?」
とはいえ、それ以上は本当に思い当たる節が無いのだ。うーんうーんと頭を捻ってみる。
「
……
あんまり覚えてないんだけど、強いて言うなら、両親のどっちかの友達? だったのかな
……
? 仲良くしていた人の子供に、黒髪の子が生まれたのがきっかけかしら
……
?」
ノワールの目が興味深そうに大きく開かれる。そういえば、この話をするのは初めてだった気がする。
とはいえ、私も詳しくは覚えていない。両親のどちらかに親しい人が居て、いつも仲良く話していた。子供がもうすぐ産まれると聞いて、その日を心待ちにしていた。けれど、生まれた子は黒い髪をしていた。パルティトゥーラ聖教に於いて、黒い髪は貴色であり、神の生まれ変わりを示す色だ。黒髪の子は神子として教会に保護され、俗世と離れて不自由なく暮らすのが習わしだ。しかしその子の両親は、せっかく産んだ我が子と引き離されるのを恐れ、我が子の存在を隠そうとした。そして、私の両親はそれはもう信心深かったものだから、その友人の行為を『教会への冒涜』と罵り、教会へ密告したという。両親には報奨金がたっぷり支払われたそうだが、その友人一家がどうなったかは知らない。神子候補を隠そうとしたのだから、多分碌な目にはあってないだろう。
「私が知ってるのはそれだけ。そもそも私はその友人さんには近づかないように言われてたし、直接会ったこともないし。両親だった人達が酒の席で話してたのを聞いて、やっぱり教会は最悪だしこの人達も最悪だ!って思って、それで家を飛び出したの。
……
ううん、でもダメ。家族に見切りをつけるきっかけにはなったのは確かだけど、教会に火を付けた理由がこれかって言われると自信ないわ。又聞きの話だったし、そもそもうろ覚えだし」
教会の教えさえなければその黒髪の子と友達になれたかもしれないのに! なんてこともないと思う。そもそも接点が無かったし、接点を作るなんて両親だった人達が許すはずがない。
うーんと悩んでいる私に、ノワールがやけに静かな声で語りかける。
「
……
これは、あくまで私の想像なのだが。フィオリーナは、ただ誰かに愛されたかったのではないか?」
なんだそれは。明後日の方向に話が飛んだのを察して、私は思わず奇妙なものを見る目でノワールを見た。
「
……
聞いている限り、生家でのフィオリーナを愛してくれる者は居なかったのではないか? 確かに衣食住は満たされていたかもしれないが。思想も違う上、産まれを理由になにがしか言われる事もしばしばだったのだろう? 家族には早い段階で愛想を尽かしていたようだが、『そもそも教会さえ無ければ分かり合えたかもしれない』と心のどこかで思ったのかもしれない。外に理解者を求めようにも、教会の教えが邪魔をして良き出会いが無かったのかもしれない。ただ、ありのままの自分を理解してくれる
――
無条件で自身を愛してくれる者が得られなかったから、その原因と思われるものに火を付けようとした
……
というのは考えられないだろうか」
言いながらも釈然としない、といった雰囲気でノワールは
拙
つたな
く纏めた。ふむ、と考えてみる。時系列的に考えれば、両親に愛想を尽かし、そのまま家を出て本格的にストリート・チルドレンの仲間入りをし始めた所でノワールと出会い、他の世界の
――
教会と無縁な世界の話を聞く。そして路地裏でひとりきりで一夜を過ごし、次の日の朝に放火未遂。確かに、あり得ないとは言い切れないのかもしれない。優しくて甘い夢を知った直後に、冷たく凍える夜を一人で過ごしたのだから、辛かったのは間違いない。何故ノワールの言う優しい世界がこの世界には無いのかと、愛されたかった理解されたかったと嘆く心が、放火未遂を行わせた。まあ多少強引だけど、辻褄が合わなくも無い気がする。
「
……
そうなのかなぁ
……
」
腑に落ちた、と言うには心の中にモヤモヤが残るが、なんとなく近いのではないかという気がした。よくわからない。よくわからないが、ノワールがそう言うんだからそれでいいやと思った。しかし、ノワールはあくまでもはっきりとした答えが欲しかったらしい。
「
……
他に何か心当たりがあるのか?」
しかし、不思議そうに首を傾げるノワールにあげられる答えを、今の私は持っていない。正解は自分の心の中にしか無いはずなのだが、ピッタリ当てはまるピースが見当たらない感じというか。だから私はにっこりと微笑みながら言った。
「ほら、ちょっとイラッと来ちゃっただけとか?」
「サラっと恐ろしい事をッ!??」
ノワール全身の毛をぶるりと逆立て、「それではいつまた同じ事をするか分からんではないか!」と怯えている。そんな様子が申し訳ないけれど面白いやら愛おしいやらで、私は思わず吹き出してしまった。
「どっちみち昔のことだもの。いちいち覚えてなんかいないわよ」
尚も慌てふためくノワールの頭を私は出来る限り丁寧に撫でた。
「それに今は
――
私を理解してくれる素敵な黒猫さんが居るもの」
今の私は『フィオリーナ』。ノワールと一緒に考えた、優しくて温かい喫茶店を作る為、リュトムスの森を歩く未来の看板娘。やりたい事、やると決めた事がたくさんある。
――
名前も思い出せない過去の事なんて、いちいち気にしてるほど暇じゃないもの。
「
――
ねっ、ノワール!」
満面の笑みを浮かべた私に、ノワールは大きくため息を吐いた。
「
……
まあ、確かに。今は現実逃避などせず、安全な場所を探すべきだろうな。このままでは最悪、のたれ死ぬことになる」
……
そう、私の名前はフィオリーナ。パートナーの黒猫ノワールと共に、迷いの森で遭難中。ノワールの獣避けの魔術が切れたら、私達二人ともお陀仏です。
……
さあて、どうしようかしら?
「言ってる場合かっ!」
ノワールのツッコミが、虚しく森の中に消えていった。
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