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2025-02-23 17:05:46
3145文字
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恋人が猫になりまして。
猫の日にこねてたウルデプ小話
TVAからの任務でとある施設へとやってきたデッドプールとウルヴァリン。
数ヶ月前からTVAが怪しい動きを追っていたのだという。任務の内容は施設内部の調査と物的証拠があれば回収すること。
結果、施設では人間を一時的に動物に変える薬品の開発が行われていた。
研究者達の確保は手を焼くほどのものではなかったのだが、逃げ惑う研究者が力尽くでデッドプールに向かって倒した薬品棚は、間に割って入ったウルヴァリンへと直撃した。
棚に収納されていた薬品を全身に浴びたウルヴァリンは姿形を猫に変えられてしまったのであった。
およそ四八時間前の出来事である。
「本当に今日で戻るんだよな?」
猫の姿になったローガンを見つめてウェイドが呟く。
通常の成猫より大きな体躯のローガンはウェイドの心配を他所に彼の膝の上で長い毛足の毛繕いに勤しんでいる。
今ウェイドが居るのは自身の住むアパートから一番近いケイブだ。
任務から戻ったウェイドはTVA職員にウルヴァリンが猫になった事を説明したがデッドプールの狂言だと思われてしまい押し問答を繰り広げた。最終的に検査に連れられたローガンが暴れてアダマンチウムの爪で診察台を切り刻んだことで納得したTVAは早々に保護を諦めると、君の相棒だからとウェイドの元に連れ帰ることを推し進めたのだった。
元からローガンを預けるつもりなどさらさらなかったウェイドは去り際に中指を立て、抱きかかえられたローガンは心なしか周囲を睨み付けるような視線を職員に向けてTVAを後にした。
捕縛した研究者から聞いた元に戻す方法は二つ。
一つは解除薬を飲ませることによる強制解除。もう一つは時間経過による自然解除。自然解除に要する時間は四八時間。
前者の解除薬は逃げ回った拍子に全て床に飲ませて在庫無し。製造に五日。
本当に自然解除するんだろうなと研究者の一人を締め上げると薬剤が体外から排出され切る四八時間後に必ず戻ると泣きながら答えたため、後者の方法を取らざるを得なくなったウェイドはケイブでローガンが元の姿に戻るまで待つことにしたのだった。
アルテアとローラには混乱を避けるために任務が長引くと連絡をして対処済みだ。
もう間もなく、ローガンが猫に姿を変えてから四八時間目を迎える。予定通りであればローガンが元の姿に戻る日。
「このまま膝の上で戻ったらディズニーもニッコリのロマン溢れる展開だけどなぁ
…
」
ウェイドは大きな独り言を呟くと自身の膝の上で喉を鳴らすローガンを抱き上げてベッドへと向かう。なにせローガンの体重はアダマンチウムの骨格のおかげで百キロを有に超える。猫の姿になったおかげでなんとか抱き上げることができるようになったものの、膝の上で戻った場合のウェイドの脚が無事である保証はどこにもない。
「さあ頼むから戻ってくれよ
…
」
祈るようにローガンの額を撫でてからベッドの上に降ろそうとした瞬間、何かに両腕を掴まれ引き倒された。
ウェイドはローガンを下敷きにしてしまったのではと背筋が凍る。しかし、顔に触れる感触が明らかにシーツではない事に気付く。ゆっくりと目を開けると目の前には良く見知った分厚い胸板と顔をくすぐる体毛があった。
「ウェイド?」
頭の上から降ってくる声にウェイドは弾かれたように上体を起こす。
ベッドの上に猫の姿は無く、そこに居たのは二日間祈っても願っても会うことが叶わなかったウェイドのヒーローであり恋人であるローガンだった。
どうやらウェイドの身体からローガンを離した瞬間に元の姿に戻ったため、ベッドを背にしたローガンは目の前にあったウェイドの腕を咄嗟に掴んで共にベッドへと沈んだらしい。
「ローガン!ちゃんとローガンだよな?やったぜダーリン!」
ウェイドはローガンに跨ったまま天に向かって拳を突き上げると、顔や腕を触って元に戻ったことを確かめた。ついでに胸を揉むと「おい」と抗議の声が聞こえたがその声すらもウェイドにとってはローガンが戻ってきたと強く実感させるものだった。
「ここはお前のケイブ
…
?今からおっぱじめるつもりだったのか?それにしちゃ長いこと寝てたような感覚なんだが
…
」
一糸纏わぬ姿のローガンとその肢体に跨るウェイド。どう見ても今から身体を重ねますと言わんばかりの体勢だ。
「あぁ記憶抜け落ち系ね、オーケーオーケー。」
「話が見えん。」
ウェイドはローガンから離れベッドの上に胡座をかくとローガンも薄手のタオルケットを適当に腰に巻いてウェイドに向き合う。
「ローガンはね、任務で俺の事庇って被った薬で二日間猫になってたんだ。信じらんないかもだけど、嘘みたいなホントの話。」
「俺が、猫に、なっただと?」
「百点満点の返しありがとねローガン。」
“開いた口がふさがらない”を見事に体現した表情を見せるローガンに、説明しよう!と言ったウェイドは二日前の任務で起こった出来事を身振り手振りを交えてローガンに語った。
「信じろと言われても難しいがお前に向かって倒れてきた棚の間に入ってから今までの記憶がさっぱり無いからな。信じるしかないだろう。」
ローガンは額を押さえると短く息を吐く。
「俺はアンタと同じ能力持ってるんだから庇わなくてもいいのに。」
「自分を安売りするのはお前の悪い癖だ、ウェイド。」
「うっ
…
そこはごめんて
…
」
痛いところを突かれてウェイドは素直に謝罪の言葉を口にした。
「お前が無事で良かった。それと、猫の姿になっている間の俺はお前を傷つけたりはしなかったか?TVAで暴れたと言っただろう?」
ウェイドの目には、どこまでも恋人の身を案じるローガンの頭に付いているはずのない所謂イカ耳状態の猫の耳が付いているように見えた。
「この二日間のキャットヴァリンはとっても良い子だったから安心しなよ。俺以外に全然懐かない暴れん坊だったけど膝の上に乗ったら即喉鳴らすし、撫でた後の俺の手ずっと舐めてくれて、あー猫になってもローガンは俺の事大好きなんだなって思えたし。」
でも、とウェイドは一拍置いてから言葉を続ける。
「本音を言うと本当に元に戻るかめちゃくちゃ不安だった。戻らなかったらあのクソ研究者に徹夜で解除薬造らせるつもりだったけど。ふわふわの毛並みよりやっぱりこっちがいい。」
ウェイドがローガンへと手を伸ばし彼の頬を優しく撫でる。するとウェイドのざらついた手の感触にローガンは目尻の皺を深くすると自身の手を重ね、そのまま引き寄せ抱きしめた。
ローガンの首筋に顔を埋めたウェイドは肺を愛しい人の香りでいっぱいに満たす。ローガンもまたウェイドから伝わる温かなぬくもりを逃さぬよう、背中に回した腕をしっかりと絡ませた。
「おかえりローガン。」
「ああ、ただいま。」
「
…
ええと、あの、」
しっとりとした再会にウェイドが待てを掛けた。
「なんか立派なモンが当たってんだけど。」
「そうだな。」
悪びれもなく答えたローガンはウェイドをあっという間にベッドの上に縫い付けた。ウェイドを見下ろすローガンの瞳は、獲物を狙う猫のように爛々と輝いている。
「久々のお前の匂いに当てられた。」
「俺のせい?理不尽が過ぎる
…
油断も隙もない悪戯猫め
…
」
ローガンの顎下を擽ると喉から微かな唸り声が聞こえた。
「えっ今喉鳴った?ホントに猫みたい。俺と遊びたい?おっきなキティちゃん?」
ウェイドが顎下を擽っていた指でローガンの鼻先を挑発するように突付く。
「meow」
不敵な笑みに乗せ甘く低い声色で囁くように鳴いてみせたローガンは、獲物の首筋目掛けて噛み付いた。
与えられる甘い衝動に応えるように、ウェイドもローガンの背中を強く抱き締めたのだった。
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