三毛田
2025-02-23 16:09:16
3833文字
Public 穹丹
 

俺だけの黒猫ちゃん

第4回穹丹ドロライ

「にゃぁん」
「可愛い~!」
 ごみケーキの皮が汚れていたので、専用のシャンプー液で洗って戻ってきたら、訪れていたトパーズに捕まっていた。
 助けを求めるようにこちらを見て鳴くけど、助けられません。
 彼女の足元では、カブが鼻を鳴らしながらくるくる駆け回っていて。
「トパーズ、久しぶり」
「久しぶりね。あなたたちは最近どう?」
「それなりに、かな。お前こそどうなんだ? アベンチュリンは一緒じゃないのか?」
「今日はジェイドさんと一緒。今、姫子さんと話してるから、邪魔をしないようにこっちの車両に来たんだ」
「飲み物用意するから、座ってて。ごみケーキ、もち団子はどうした?」
 トパーズに頬ずりされて、逃げようともがいていたごみケーキに声をかけると視線は上へ。
 一緒にパーティー車両の方へ下りてきていたはずなのに、いつの間にか戻ってしまったようだ。
 それに、丹恒もいない。
「ありがとう。他の人は?」
「その前に、そいつを離してやってくれ。多分、これがないと落ち着かないはずだから」
「あれ? この子、猫じゃないんだ」
「ルアン・メェイの創造物。アベンチュリンの家にもいるって聞いてる」
「だよね。私も、この間写真を見せてもらった。あっ」
 ちょっと手の力が緩んだ隙に、ごみケーキはにゅるんと彼女の腕を抜け出して皮の中に戻ってバタバタと階段を駆け上がっていき。
 そしたら、カブがトパーズに飛びついて。
「カーブー。どうしたの? ふふ」
 わかるぞ。
 俺も、丹恒がごみケーキやもち団子ばかりを可愛がっていたら嫉妬する。
「なのと話すなら、呼んでくるよ」
「いいの?」
「飲み物提供したら、俺も上に戻らないと。今、丹恒がちょっと具合が悪いから看病中でさ」
「そうなんだ。じゃあ、三月さん呼んでもらえる?」
「うん」
 シャラップに飲み物とデザートを用意するように頼んでから、スマホでなのを呼び出す。
「トパーズだ! 久しぶり!」
「久しぶりね」
「ねえねえ。トパーズってペット飼ってたよね? また写真見せてくれる?」
「いいわよ。この間、新しい子をお迎えしたんだ」
「どんな子?」
 と、隣同士で腰かけて楽しそうに話しだす二人に用意してもらった飲み物とデザートを提供し、自室へ戻る。
「丹恒、どうだ? 戻った?」
「きゅぅ……
 こんもりした布団をそっと撫でると、か細い声で俺を呼んで。
 のろのろと顔だけ覗かせるけれど、黒髪にはまだ耳が。
 この分だと、多分尻尾も残っているはず。
 久しぶりに丹恒と二人きりで模擬宇宙へと潜り、途中で拾ったヘルタも初めて見た奇物。
 それを落とした拍子に発動してしまい、丹恒がその影響を受けた。
 それは、猫耳と尻尾が生えてしまうもの。
 模擬宇宙を出ても生えたままで、宇宙ステーションで一通り検査を受けても特に変調はないと言われてしまい。
 何かあったら来るように。とだけ言われ、列車に戻ってきた。
 他の人にはあまり見られたくないと、フードを被って俺の部屋へ。
 そして今に至る。
 猫耳と尻尾が生えてしまい、気弱になっている状態で。
「性質も猫になってる?」
「わからない……
「猫耳が生えてても、可愛いよ」
 そっと耳と耳の間を撫でると、ゴロゴロと音が聞こえ。
 まさかと思って、その手を顎の下へと持って行き、指先で柔らかな肌をそっと撫でるとさっきよりも大きなゴロゴロ音。
「た、丹恒?」
「なんだ?」
 頬を撫でると、気持ちよさそうに目を細め。
「んっ!?」
「ど、どうした?」
「足元に、何か重みが」
 そう言われて見ると、ごみケーキともち団子が足元に乗っていて。
「ど、どうしたんだお前たち」
「にゃぁん」
「んなぁ」
 とだけ。
 これは、二匹も撫でて欲しいのだろうか。
「穹」
 彼らも撫でようかとそちらへ手を伸ばそうとすると、咎めるような声色で名前を呼ばれ。
「丹恒?」
「俺以外を撫でるのか」
 布団から出た丹恒は、剣呑な色を宿した目でこちらを見て。
「ベッドから下ろすだけだから!」
 これは、もしかして。もしかすると。
 嫉妬してる?
「他の匂いがする」
 二匹を下ろした後、俺の服に顔を寄せて不機嫌そうに。
「あいつらの匂いじゃなくて?」
「それに混じって、他にも……誰か来ているのか」
「あー……今、ラウンジか姫子の部屋にジェイドが。下のパーティー車両にトパーズとカブが」
「なるほど。それなら、これはカブの匂いだろうか」
 そんなにわかりやすい匂いがついているのだろうか。
 というか、カブにすり寄られたりしてないのに。
「浮気じゃないんだな」
「浮気なんかするわけないじゃん! 俺は、丹恒一筋だって!」
 さっきの二匹への(多分無自覚な)嫉妬を見せられて、嬉しくなってるような人間だぞ。
「丹恒。キスしていい?」
「もちろん」
 頬に手を添えて、そっと唇を重ねる。
 舌を口の中に入れると、触れた丹恒の舌はザラっとして。
 いつもみたいにしたお絡めたら、俺の舌はズタズタになりそうだ。
「ん……きゅ……っはぁ……
 あまり舌に触れないよう気をつけつつ、丹恒の口の中を舐めて。
 唇を離すと、気持ちよさそうにうっとりした表情に。
 舌が猫ってことは、もしかしてちんちんも猫になっているのだろうか。
 ちょっと調べてみたら、棘がついてるとかなんとか。
 確認してみたいけれど、階下にはなのとトパーズがいる。
 姫子との話し合いが終わったら、挨拶をしたいとジェイドに呼び出されるかもしれない。
 でも、今すぐ丹恒と交わりたい。
「丹恒」
「穹、尻尾の付け根を、叩いてくれ」
「え?」
「頼む」
「わ、わかった」
 うつ伏せで腰を上げ、尻尾をゆらりゆらり振りながら。
 まずは、スマホをタップするくらいの力。
「もう少し、強くて大丈夫だ」
「そう? じゃあ」
 時々丹恒の肩を揉むときくらいの力で、トントン叩く。
「ぁんっ。んんぅ……ん、ふぅ……
 俺のちんちんを挿入して揺さぶっている時に、思わず出てしまった。そんな声を出して。
 セックスしていないのに、丹恒の気持ちよさそうな声を聞いていると、段々と疚しいことをしているような気持になってくる。
 下着が窮屈になってきたような。チラッと視線を向けると、案の定ぱっと見でもわかるくらいこんもりしていて。
 これは、誤魔化せない。
「はぁんっ、んんっ。ぁっ、あぁんっ」
 トントンとリズミカルに叩きながら、そろそろと手を伸ばして丹恒の股間に触れると、彼のそこもまた盛り上がっていた。
「丹恒、ちんちん大変なことになってるよ?」
「はぁん……きゅ、お前が、あっ、あっんっ。欲しい」
「でも、下になのたちがいるから」
「いい。早く、お前をっ」
「見つかっても、知らないからっ」
 服を全部脱ぎ捨て、丹恒に覆いかぶさる。
 うなじに噛みつきながら、時々耳をしゃぶったり、尻尾の付け根を叩きつつ丹恒が満足するまで交わり。
 搾り取られたというか、吐き出せるだけ吐き出しまくって。
……にゃぁ」
 か細い鳴き声は、ごみケーキか、もち団子か、丹恒か。
 張り切りすぎて、最後はどうしたのか覚えていない。意識を飛ばしたみたいだ。
「今なら、穹の子を孕めそうだ」
「無理でしょ」
 ぼそぼそとでも、うっとりした声でそんなことを言われたが、その体じゃ無理でしょと思い、思わずツッコミが。
 だが、持明の龍尊である彼ならば、可能なのだろうか。なんて思ってしまう。
「丹恒、耳が」
「ああ。俺もお前と一緒に気絶したんだが、目を覚ましたら戻っていた」
 自分で髪を撫でた後、こちらに頭を差し出してくるので撫でてあげる。
「気持ちいい?」
「耳があった時の方が気持ちよく感じた」
「敏感になってたんだろ。いつもより、感度よかった感じだし」
……忘れろ」
 恥ずかしいのか、タオルケットを引っ張って顔を隠そうとする。可愛い。
「お風呂行く?」
「ああ」
 先にベッドを下りて、手を差し出す。が、床に足をつけた瞬間に、座り込んでしまう。
「ど、どうした?」
「張り切りすぎて、腰が……脚に力が入らないんだ」
 ぺたりと座り込んで、困ったように俺を見上げてくる。
 仕方ないので、抱き上げて浴室のシャワーブースに連れていく。
 ほぼ水のお湯を彼にかけてから、さっき座り込んでいた床を拭く。
 後処理をしていないから、白い液が漏れて垂れていた。
「丹恒、頭を洗った?」
「まだだ。腕を挙げるのも怠い」
「はいはい。全身綺麗に洗ってあげるから、待ってて」
 髪を丁寧に濡らし、シャンプーを泡立ててから紙を優しく洗う。
 泡を洗い流し、その後体を洗っていく。
「先にお風呂に入ってて。この温度なら、大丈夫だろ?」
「ああ」
 温度が表示されているモニターを見て、頷く。抱き上げて、浴槽に沈め。
 シャワーで全身を洗っていると、パシャパシャと水面を叩く音。
 チラッと振り返ると、蒼い尻尾。気が緩みすぎだろ、丹恒先生。
 いや。
 ここは、蒼龍ちゃんって呼んであげた方がいいかな。
 窓の外を見るも、夜かどうかもわからない。
 とりあえず、お風呂から出たらスマホのメッセージを確認しよう。
 でも今は、丹恒と甘いひと時を過ごしたい。ただそれだけが胸を占めているのだった。