まきわ
2025-02-22 17:41:51
2029文字
Public クロリン
 

逃さない

猫の日記念のけもクロリンです
狼先輩とゆきひょう教官の設定です
ベッドから一切動かない短い話…

どむっと胸の辺りに衝撃があって目を覚ます。
反射的に毛を逆立てて、寝惚けた頭で敵襲を許した自分に舌打ちをしながら対処をまで考えて、目の前の胸元にある黒髪に気付いて息をつく。
黒地に大きな白い丸のある耳がクロウの胸板にへちゃりと押しつぶされた黒髪に覆われた頭。
それは隣で眠るリィンのものだった。
先程の衝撃はリィンの頭がクロウの胸板に突撃してきたことによるものだったらしい。
「リィン?」
起きてるのかと寝起き声で囁きかけると、返事の代わりに頭がぐりぐりと押し付けられてきた。
耳の付け根を擦り付けるようなこの行動は匂いつけをしようとしているのだと知っていた。
ただどうもまだ眠っているようで、ぐるぐると喉の鳴る音だけが胸元からは返ってくる。
何か夢でも見ているのか、しきりにクロウの胸に頭突きとすりすりを繰り返している。
ふわり、と耳元の臭腺から漂ったのだろうリィンの匂いがクロウの良く効く鼻に届く。
可愛く思えて撫でてやろうと腕を動かした瞬間、リィンは更なる行動に出た。
くるりと寝返りをうつと今度は尻尾の付け根腰の辺りを擦り付け始めたのだ。
並んで寝ているので必然的に擦り付けられる先はクロウの腰辺りである。
(ぢょっさすがにこれはやべっ
ぐりぐりと下半身を刺激されて、咄嗟に動かしかけていた腕をリィンの腰に回し、背中から抱き締めるようにしてリィンの腰の前辺りをそろりと撫でた。
「ふに゛ゃん?!」
驚きの声をあげてリィンが飛び起きた。
上半身だけを起こして体を捻り、ジト目でクロウを睨む。
……朝からなにするんだ」
「りっふじーん。先に誘ったのはお前だぜ」
リィンが飛び起きた事で驚いて反射的に後ろに倒れていた灰銀色の耳を誤魔化すようにぱたぱたと動かしながらクロウも腕をついて上半身を半分ほど起こした。
「寝てたのになんで俺が誘うんだ」
まったく、とため息をつきつつリィンは再びベッドに体を横たえる。
今日は自由行動日だ。
クロウが起き上がる様子を見せないからリィンもゆっくりすることにしたのだろう、自分の尻尾をひゅんと持ち上げて脚に添わせるように置き直す。
「なんか夢でも見てたんじゃねーのか?やたらと匂いつけようとしてきてたぜ」
寄り添うようにクロウも少し体を近付けて隣に寝そべる。
「ええ……あぁそういえば
リィンは頭の中を探るように虚空を見つめた。
「学生時代の夢を見たな。クロウが出ていこうとするのに気付いて飛びかかった」
「飛びっなるほどな」
それであの勢いか、と納得しているとリィンが不敵な笑みを見せた。
「二度は、逃がすつもりないからな」
思わず眉を下げて気まずい笑みを返す。
実際陽霊窟ではしっかりと捕まったわけだが。
まぁその、オレだって二度逃げるつもりはねぇけどな」
黒の工房から脱出した後いなくなった」
「うぐっいやあれはわかった、わかったって。三度目はねぇから」
「ふふっ
少しからかっただけなのかリィンは笑みを零すと先程よりやんわりとクロウの胸元に頭を擦り寄せた。
「冗談だ、わかってるよ」
「ったくすっかり敵わなくなっちまったな。ところでリィンさぁん?」
クロウは自分からも全身を擦り寄せながらリィンを抱き寄せた。
「せっかくの休みだしぃ、ちょっといちゃいちゃしねぇ?」
っ、あのなクロウ。昨晩その、何回し、したか覚えてるか」
額と額をくっつけた状態で赤くなってジト目で睨まれてクロウはにやりと笑った。
「そりゃオレがイッた回数?それともお前がイッた回数?」
「なっ?!そ、そんなの」
「いやーイッた回数報告しろだなんてリィンくんてば言葉責めが上手くすんませんすんません」
すぅっとリィンの長い尻尾が攻撃の意図を持って空へと伸びたのを見て慌てて謝ると、ぽとんっとその尻尾は甘えるようにクロウの脚の上に降りてきた。
「あんなにしたのにまだしたいのか?」
むう、と眉を寄せて頬を染めるリィンを見て、固辞するはつもりなさそうだと判断する。
「そりゃ、好きなもんはいくらでも食いたいもんだからな」
「む……しかた、ないな。そうなると朝食は無理そうだが昼食は何にするんだ?」
試すような視線を向けられてクロウは神妙な顔をしてみせた。
「慎んで、フィッシュバーガーを作らさせていただきます。食いたいだけ作ってやるよ」
「ならそれで」
満足そうに頷いたリィンににんまりと笑った後、クロウはがばりとリィンに覆い被さって嬉しそうに大きな尻尾を振った。
「そんじゃオレ様が一晩でどんだけ『作れた』か見せてやんよ!」
「下品だなぁ
仕方なさそうに眉を寄せてからリィンは目を閉じた。
求められるまま口付けを落として耳の付け根を指先で撫でる。
きっと今自分にはリィンの匂いがしっかり付けられているから、今度は自分の番だ。
誇示するように尻尾を振ってクロウはリィンの体を抱き締めた。