三毛田
2025-02-22 13:54:23
1084文字
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11 11. 甘くて苦い涙の味

11日目
君が今、幸せであればそれでいい

 嫌だ、嫌だ。まだ一緒にいたい。と、大声を上げて泣く子ども。
 その子を抱き上げ、背中を優しく叩く。
 瞳からこぼれ落ちる涙を舌で拭う。
 しょっぱいはずなのに、甘くて苦くて。
 彼の辛い過去と、今享受している幸福が混ざり合った味。
「大丈夫。またすぐ会えるから」
「ほんっ、と?」
「うん。約束しよう、丹恒」
「やく、そく……
 小さな手をとって、小指を絡める。
「きゅ、ぅ?」
「約束をする時は、こうして指を絡めるんだ」
「うん」
「大好きだ、丹恒」
 言葉と同時に、口づけを交わす。
 光りに包まれ、小さな体はいつもの大きさに。
 模擬宇宙で拾った寄物の影響で、一定時間子供になった丹恒。
 ヘルタ曰く、数時間もすれば戻ると言われたので、独り占めしていた。
「穹?」
「どうした?」
 俺の腕の中、目を覚ました彼は不思議そうにこちらを見上げ。
 少しだけ目元が赤い。別れを悟り、泣きじゃくっていた影響だろう。
 そこそ指先で撫でると、くすぐったそうにして。
「降ろしてくれないか」
「うーん。どうしよっかな〜」
「わっ」
 膝裏に腕を回し、しっかりと抱えてその場で一回転。
「丹恒」
「き、穹」
「大好き」
「ん……
 自分で思っていた以上に、声に愛情が乗る。
 口づけを交わせば、驚いたような声が一瞬だけ漏れ。
 でも、ちょっとだけ抵抗するように俺の胸に添えるように置かれていた手を首の後ろに回して。
「幸せ?」
 問いかけると、目を細め。
「世間一般の定義にそうように答えるのならば、違うとなるのだろ。でも」
「でも?」
「列車のみんなと、お前と一緒にいられることが、俺にとっては幸福だ」
 嬉しそうな声。
 その返答に、嬉しさと他の感情がごちゃ混ぜになって。
 泣きそうになるのを誤魔化すように、丹恒の髪に顔を埋める。
「泣いているのか」
「泣いてないし」
「そうか。お前がそういうのなら、そうなのだろう。ところで、そろそろ降ろしてくれ」
「やだ。まだこのままでいる」
「重いだろう」
「重くない」
 ヤダヤダと、首を横に振ると呆れたようにため息をつき。それから、優しく頭を撫でてくれて。
「甘やかしてもまだ降ろさないからな」
「わかった、わかったから。ところで。お前に誘われて模擬宇宙にに行ってからの、数時間の記憶が曖昧なんだが」
「そうだ! ヘルタの所に行かなくちゃ!」
「穹!」
 元に戻ったら検査しなさい。って言われていたのを忘れていた。
 抱き上げたまま、宇宙ステーションへと飛ぶ。
 丹恒がびっくりして俺を呼んだがそれどころじゃない。