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とはり
2025-02-22 02:22:29
6361文字
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ひめこは
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またたびの香り
とある香草(架空の食材)を摂取したら猫っぽくなっちゃったこはを介抱する(?)めるの話
猫の日にちなんだネタですが、耳も尻尾も生えておりません こはがにゃうにゃう言って、ただただひめこはがいちゃいちゃしてるだけ
ただただ巻き込まれて八つ当たりされる被害者のニキくんもいる
─ ─ ─ ─ ─
以下、あとがき
こは誕とVDと猫の日の2月イベントコンプできた……やった~
ひとつきに3本は遅筆には無茶なんよ……
でも実績解除できて満足
3,000字くらいで終わらそうと思ったのにまた倍になってるよ……
ニキとめるの会話楽しすぎ
「こはくちゃんが猫みたいになっちゃったっす~!」
ニキから送られてきたメッセージには、カフェシナモンのソファーの上で背を丸めて寝ているこはくの写真が添えられていて、HiMERUは寮へと向けていた踵を返して、小走りでカフェシナモンへと向かった。
道すがら、猫みたいになったとはどういうことだ、と思わなくもなかったが、こはくの愛らしい寝顔が他人に晒されているという由々しき事態に他のことはどうでもよくなっていた。
それにしても連絡をもらった場所からカフェまで存外距離があった。途中でタクシーを捕まえるべきだったかと考えて脇の道路を見ると退勤後のラッシュでのろのろと動く車の列が目に入り、やはり徒歩で正解だったと確信しながら歩を速めた。夜に差し掛かって存在感の増した街灯が照らす道を急く思いで進んでいく。
目的地に着き、『Closed』の札を無視してカフェの中に足を踏み入れる。昼間の賑わいとうってかわって、閉店後で客もおらず、明かりも絞られてしんとした空間は少し不気味に感じる。
この場所にいるはずのこはくとニキの姿を探して店内を見回すと、ソファーから覗くニキの背中を見つけた。こはくの姿は見当たらず、問い詰めるためにニキの元へ大股で向かう。
「あっ、HiMERUくん!」
靴底が床を鳴らす音でHiMERUに気づいたニキは安堵したように表情を緩めた。
「椎名。桜河はどこで
……
す、か」
ニキの正面に回り込み、目に入った光景に絶句する。
ニキの膝の上にこはくが寝そべっていた。その上、こはくの腕はニキの腰にしっかり巻き付いている。膝枕のような甘ったるい体勢を目にして、体を巡る血液の温度が上がった。
「椎名? あなたは何をしているのですか?」
「僕う!? 僕は何にもしてないっすよ、無罪っすー!」
唸るようなHiMERUの声にニキは飛び上がらん勢いで背筋を伸ばし、ぶんぶんと首を勢いよく振り乱す。グレーのテールが空中で暴れて、ニキの必死さを強調していた。
「無罪を主張するなら事情を話してください。罪の有無はそのあと決めます。HiMERUが」
「うぅ
……
何だか超絶不利な気がするっす
……
HiMERUくんってばこはくちゃんが絡むと分別がつかなくなるんすからぁ」
「何をぶつぶつ言っているのですか。己の罪を認めるのですか」
「わーかりましたってぇ! 話す前から即有罪は勘弁っす~!」
しなしなと肩を落としながらも、ニキは経緯を話し弁明する。
閉店後に新作メニューの試作をしていたニキは、今夜たまたま店に来ていたこはくを味見係として誘い、店を閉めた後の店内には二人だけが残っていた。近頃、ニキが新しく手に入れた香草(とある地域ではマタタビ草と呼ばれているらしい)を使った試作品をこはくが口にした後から様子がおかしくなったのだという。最初は酔っ払ったように顔を赤らめて眠たげにしていただけだったが、ソファーの上に寝そべって四つん這いで背伸びをしたり、自分の拳を舐めて顔を擦ったりしていたのだと。そのうちに徐々に体の芯を失い、「にゃあ」と一言だけ鳴いてソファーに横たわったところで、何事かとニキがこはくの様子を窺うためにキッチンから飛び出て近づくと、ごろごろと喉を鳴らして腰に絡み付いて離れなくなってしまいこの状態に至った、とニキは話した。
HiMERUが到着してなお、こはくはニキの体に顔を擦り寄せて喉を鳴らしている。甘えんぼうの猫のような愛らしさを感じるが、向けられているのが恋人であるHiMERUではないのが不満だった。
「多分、僕の体についた香草の匂いにつられてるんだと思うんす
……
だからそんな怖い目で見ないでほしいっす~!」
HiMERUからの刺すような視線に居たたまれなくなったニキが両手を挙げて降参のポーズをとる。しかし、HiMERUの追及は続く。
「どうしてそんな危険なものを桜河に食べさせたのですか」
「僕だって今まで何度も味見したんす! でもこんなことにはならなかったから
……
。多分、こはくちゃんはマタタビ草に反応しやすい体質だったんだと思うんす。美味しいってすごく喜んでくれてたけど、こんな副作用が出るならあの香草はもう使えないっすね」
しゅんと肩を落とし、労るようにこはくの髪を撫でるニキをそれ以上責める気にはなれなかった。
「まぁ、事情は分かりました。このまま寮に帰すわけにはいかないので今晩はHiMERUのアパートで引き取ろうと思います」
「助かるっす! 僕はお店の片付けもあるから手が離せなくて。HiMERUくんに頼めるなら安心っす!」
ニキが介抱すると言い張っても無理矢理にでも連れて帰るつもりではあったが、直々に頼まれれば大義名分もできたというもの。後はこはくを連れ帰ってふたりきりの夜を過ごすまでだ。
「桜河」
ニキの膝の上で気持ち良さそうに目を瞑るこはくの肩を揺すると、重そうな瞼がゆっくりと持ち上がる。
首を捻って明かりの減った店内をくるりと見回していた瞳がやがてHiMERUを捉える。
「ひめるはん
……
?」
今にも眠りの世界へ旅立ってしまいそうな微睡んだ紫がふにゃりと緩む。舌足らずに名前を呼ぶ姿は酔っぱらっているようにも見える。
「HiMERUと帰りましょう。起きれますか?」
「ん~
……
ニキはんあったかくてええ匂いする。ここがえぇ」
こはくのために差し出した手にそっぽを向かれ、思わず拳を握ってしまう。
「う~
……
こはくちゃあん、そんなこと言わないで帰りましょうよ~。HiMERUくんがおっかない顔してるっすぅ」
HiMERUの鋭い視線の矛先となったニキが眉を下げながら懇願するが、当のこはくはニキのエプロンに鼻を擦り付けてごろごろと喉を鳴らしている。
「桜河」
「やぁや
……
! いじわるせんでぇ」
ニキから無理矢理引き剥がそうとすると、首を振って拒否される。ニキに回した腕の力を強めて抵抗するものだから、腹立たしくなって力ずくで剥がすことは止めた。苛立ちの矛先はもちろんニキだ。
「あぁ
……
っ、HiMERUくんからの視線がどんどん痛くなるぅ。怖くてお腹が減ってきちゃう。HiMERUくん、試作品の残りがカウンターの奥にあるんで取ってきてくれません?」
試作品、と聞いてHiMERUの脳内でひとつの閃きが起こる。
「椎名。マタタビ草という食材はまだ残っていますか?」
「え、うん。まだ少し残ってるっす。まな板の上にあったと思うけど」
「分かりました」
「えっ、ちょっと、HiMERUくん!? 置いてかないで!」
ニキの話を聞いてHiMERUはカウンターの向こうのキッチンへと足早に移動する。ニキの言った通り、まな板の上にはローリエに似た葉のついた枝が置かれていた。おそらくこれが噂の香草だろう。
それを掴んでHiMERUは再び二人のところへと戻る。
「良かったぁ、帰ってきてくれたんすね」
颯爽と姿を消したHiMERUとの再会にほっと息を吐くニキには一瞥もくれず通り過ぎ、横たわるこはくの頭側に腰かける。
キッチンから持ってきた香草をこはくの顔の近くで揺らすと、鼻先がぴくんっと反応して微睡んでいたのが嘘のように大きく目を開いた。こはくの目が香草を捉えた瞬間を見計らって、すかさず薬草を自分の方へ引き戻すと、まるで猫じゃらしに飛びつく猫のようにこはくの体がHiMERU目掛けて飛んでくる。両手を広げてその体を受け止め、ぎゅうっと抱きしめる。思惑通りの結果が得られた満足感に息を吐いた。
「ようやく捕まえたのです」
「んにゃ?」
香草に引き出された猫の本能で動いていたこはくは何が起こったか把握しきれていないようでHiMERUの胸の中で首を傾げている。
髪に指を通してすくように撫でると喉を鳴らしてこはくの体から力が抜けていく。
「ん~
……
ひめるはん
……
」
すんすん、と鼻を鳴らして誰の腕の中にいるかを理解したこはくは甘えるように名前を呼ぶ。その姿を見てHiMERUはようやく溜飲を下げた。
こはくに悟られないようニキにアイコンタクトを送り、手に持っていた香草を手渡す。受け取ったニキは両手を合わせて感謝のポーズを取った後カウンターの奥へと姿を消した。
さて。帰るにしてもこの状態のこはくを抱えて歩いていくには距離があるし何より目立つ。タクシーでも呼ぼうとポケットから取り出した端末を操作していると首筋に生暖かく湿った感触が這って、背筋がぞくりと震えた。不意な刺激に端末を手から滑り落としそうになる。
「っ、桜河!」
こはくの舌がHiMERUの首をぺろぺろと舐めている。官能的なそれというよりかはまさしく猫の毛づくろいだった。皮膚に強く押し付けられる舌の感触はなんとも言えない感覚だ。
咄嗟に体を離すと両頬を掴まれ、今度は口の周囲を舐められる。猫としての本能とこはくとしての欲求がひとつの体の中でない交ぜになっているのだろう。瞼はとろんと微睡みの境を揺蕩っているが、舌は一心にHiMERUの唇を舐め回している。何度も絡め合った舌だが、こうして無遠慮に唇を塞がれると、キスとは違った感触も相まって呼吸のリズムが取りづらく溺れそうになる。
普段のこはくの態度からは想像できないほど積極的にキスをねだるような振る舞いに、このままソファーに押し倒して事に及んでしまおうかなんて邪念も生まれてくる。どうせここには二人の関係を知っているニキしかいないのだから。
沸騰しそうなほど血液が脳に集まっている感覚があるのに酸欠のように思考が霞む。
ぴちゃぴちゃと唾液を塗り込めるように動く舌がとうとう唇を割って滑り込んでくる。
はふはふと息をあげるこはくの熱い吐息が口内に流れ込んでくる感触は悪くはないが、そろそろブレーキをかけてやらねばどこまでエスカレートするか分かったものではない。主導権がどちらにあるのか分からせてやらなければ。
唇に込めた力をわずかに抜いて招き入れた舌を、痛みの出ない程度に歯で軽く挟むとこはくの背中がピンっと伸びた。舌が逃げるように口内から抜けていく感触にはどういう状況であれ多少の寂しさを感じる。
「よっぽどHiMERUとキスがしたいのですね」
唇からこぼれたまま静止していた舌ごとこはくの唇を舌で掬いとる。
「
……
っふ♡」
嬉しそうに細められた紫の瞳に恍惚の水膜が張って、ごろごろとご機嫌を示す音が口腔内に響く。試しに顎に添えた指先で顎下を軽く擦ってやるとその音がいっそう大きくなった。指先にまで振動が伝わってきて、こはくが溢れさせた愛情と快感の表れなのだと思うと愛おしくて仕方がなかった。
口内に舌を滑り込ませてぐるりと外周を辿ると甘く香ばしい風味が鼻を抜けていく。おそらくこれがこはくを微酔の波に落としている香草の味なのだろう。
「ふ、にゃ
……
ぁ」
上顎につけた舌を揺するように軽く動かすと、こはくから甘ったるい音色が零れて、瞳がうっとりと蕩けるように揺れる。与えられる快楽に夢中になって、小さな舌はHiMERUの舌に大人しく従っている。膝の上に跨がったまま、ねだるようにぐいぐいと唇を押し付けてくるこはくの愛らしさに応えて、口内の隅から隅までくまなく舌で撫でてやる。ごろごろと振動が触れたところから伝わってくるのがくすぐったくて、思わず笑ってしまう。満たされている、という充実感が心の底から身体中にじんわりと巡っていく。
「桜河、そろそろ支度しますよ。タクシーも着く頃合いでしょうし」
「ふにゃっ」
一区切りの合図に尾骶骨の辺りをぽんぽんと叩くとこはくの体がびくりと跳ねた。けして強い力で叩いたわけではない。過剰といえる反応にこはくの顔を覗き込むと彼もまた大きな目をぱちぱちと瞬かせていた。
「うひ、っ」
試しにもう一度同じ場所を二度三度と叩くとそれに合わせてこはくの背中がびくびくと震える。HiMERUの服にしがみついて、浅く息を繰り返すこはくは苦しそうに見えるのに喉からはごろごろと音が響いている。こはくの反応と息の上がり方に心当たりがあって、HiMERUはそっと問いかけた。
「気持ちいいのですか?」
「うぅ〜
……
」
返事ができないのか答えたくないのか、こはくはHiMERUの肩口に額を擦りながら唸っている。けれど、臀部をHiMERUの手に押し付けるように動かしている様はまるで、「もっと」とねだっているようにしか見えない。
「まるで発情期の
……
あぁ、そういうことですか」
猫はしっぽの付け根を叩いてやると気持ちいいらしいとどこからか聞き齧ったことがある。性感帯だとか交尾の感覚と類似しているからだとか何とか。見た目こそいつもと変わりないが今のこはくはどうやら猫の本能が目覚めているらしいし、尾骶骨への刺激で快楽を得るようになってしまっているとしても不思議はなかった。
なうなう、と切ない声で鳴きながらもどかしそうに腰をゆらめかせる姿に口角が上がるのを抑えきれない。
「かわいそうな桜河。すぐ気持ちよくしてあげますからね」
汗ばむ肌に唇を寄せて囁くとこはくの顎先がこくこくと細かく上下する。
──とん。
「あうぅ」
さっきよりも少し強い力で叩くと、体に弱い電流でも流れたようにこはくの体が戦慄き、背中が反る。首に回された腕に力が籠って、熱を帯びたこはくの吐息がダイレクトに肌に伝わる。
──とん、とん、とんとん。
「んにゃっ、ぅ、あ、な、にゃ、ぁっ」
強弱とリズムをつけて叩くと、こはくの甘ったるい声とごろごろと喜ぶ喉の振動がない交ぜになって響く。ソファーの座面に立てていた膝から力が抜けて次第にこはくの足が開いていく。
ずるずるとずり落ちていく体をもう一方の腕で支えながら臀部への刺激を続けていると限界とでも言いたげにこはくが首を横に振った。刺激を止めるとはふはふと呼吸を繰り返しながらHiMERUの胸にしなだれかかってくる。
快楽は充分に溜まっているがこれだけでは頂には至れないらしい。こはくは宥めるように自身の下腹部を撫でながら、HiMERUの胸に額を擦り付ける。こんないじらしい甘え方を一体どこで覚えてきたというのだろう。これも猫化と呼ばれる現象がもたらす本能みたいなものなのだろうか。
こはくの媚態にHiMERUの下腹部にもつとつとと熱が溜まるがこんな場所で淫らに交わるわけにもいかない。呼んだタクシーだってもう着いていてもおかしくない。
「桜河。続きはHiMERUの部屋でしましょう」
俯いた頬を両手で包んで持ち上げる。快楽に溶かされた紫の瞳が切なげに揺れる。
「や、ぁ
……
っ、いますぐ、が、ええ」
ふるふると首を振って拒否するこはくの眦から雫が散って、その唇に貪りつきたくなるのをぐっとこらえる。
「ここでできないことは桜河だって分かるでしょう?」
言い聞かせるように伝えながら頭を撫でると、こはくの瞳がとろりとふやけた。薄く開いた唇からはごろごろという音がこぼれている。何とか誤魔化されてくれたらしい。
「我慢できますね?」
もう一度髪を撫でてから顎の下を指の関節ですりすりと擦ると、恍惚に浮かされいっそう目を細めたこはくがこくりと小さく頷いた。
「いい子」
微笑むと、こはくは口角を上げてぎゅうっとHiMERUの首にしがみついた。このまま運べということらしい。
いつもより甘えたがりな体を抱き上げてようやく外へと向かう。夜風が火照った体をいくらか冷ましてくれるが、芯に燻る熱は腕に抱えた体と同様にしばらく鎮まりそうになかった。
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