英雄マッシュ・バーンデッドが世界を救った日が、遠い過去の出来事となった魔法界。今では魔法が使える者も使えない者も、当たり前のように街の中を行き来し、互いに交流を持ちながら暮らしている。
仕方のないことではあるが、魔法が使えない者は使える者に比べて不便が多い。それを補ってくれるのが、魔力量に関係なく使用できるように改良された魔法道具の数々である。特に家事の手助けとなる魔法道具は、購入者の魔力の有無に関係なく生活の必需品として人気を博している。
そんな便利魔法道具に並んで人気なのがペットだ。定番の犬や猫は勿論、かつて神覚者の歴代最年少記録を塗り替えた一人であるレイン・エイムズにあやかり、ウサギを飼育している家庭も多い。家族の一員として、また良きパートナーとして、日々の癒しと活力を与える役割を担っている。
こうして人々に愛されているペットであるが、新たなブームが巻き起ころうとしていた。ペットはペットでも魔法ペット、つまり魔法動物の家庭飼育だ。
魔法動植物とは、生体に魔力を有している動植物のことを指す。魔力を持たない動植物とは異なる生態を持ち、時には魔法使いと同じように魔法を扱うものも存在する。故に取り扱いが非常に難しいものが多く、一般流通が規制されているものも少なくはない。しかし中には人間に友好的な種も存在し、人々に力を貸してくれるのだ。
そういった魔法動植物の一部は特定の資格を有しているのなら、一般家庭での飼育・栽培が許可される。勿論役所への届出も必須だ。そうして一般家庭で飼育される魔法動物は、定番のペットたちと同様に家族の一員として日々の癒しと活力を与える他に、魔法で手助けをしてくれたり、窮地を救ってくれたりする頼もしいパートナーとなる。
この様に魔法ペットの注目度が上がっているのだが、異なる側面で魔法ペットに利用価値を見出している層が存在するのだ。それは先述した資格が関係してくる。魔法動植物よって必要な資格が違ってくるのだ。それはもうピンからキリまで、多種多様。ものによっては高難易度の試験だけでなく指導者の監視下での実動経験も必要となる。
要するに魔法ペットとは目に見える資格、どの魔法ペットを飼育しているかでどの様な資格を有しているかが判るのだ。このことから、貴族の中には魔法ペットをステータスとして扱っている層が存在する。悲しい話ではあるが、家族やパートナーとしてではなく、一種のトロフィーとして生き物を見ているのだ。
こうしたトロフィーを重視する金持ちは、より所有率の低い資格が必要とされる魔法ペットを欲する。しかしその様な邪な考えの持ち主が高難易度の試験や実動経験をクリアできるはずがない。そうなると無資格で魔法ペットを入手しようとする輩が出てくるのだ。そういった金だけはある貴族を客にした魔法ペットの違法ブリーダーなどが危険視されている。また無資格で魔法ペットを迎えたために、十分な飼育が出来ずに捨ててしまう者、殺処分にする(も、大多数が返り討ちにあって大怪我を負う)者も問題視されている。
そういった魔法ペット絡みの問題に、魔法局の魔法動物管理局をはじめ魔法警察も対応に当たっている。
という冒頭で何か書きたかったのですが、書き上がらなかったので、登場人物紹介とちょっとした設定だけ置いておきます。
●ワースくん
子にゃドルのオス。品種はW。
ある雨の日、怪我を負って公園のベンチの下で蹲っているところをフィンくんに保護された。保護後はレインくんの営む骨董品屋でウサギと共に暮らしている。保護当初は警戒していたが、今は保護してくれたフィンくんは勿論、一緒に過ごす時間が長いレインくんにも懐いている。近所のお巡りさんことアレックスさんにも懐いている。
オーターさんとはファーストコンタクトこそぎこちなかったが、徐々に仲が良くなってきている。ワースという名前はオーターさんが付けたもの。
泥の魔法が使える。
●オーターさん
にゃドルのオス。品種はO。
元々貴族に飼育されていたが、あまりにも懐かない上に桁違い魔法を扱えるにゃドルであったため、元の飼い主が飼育リタイアして保護施設へ。紆余曲折あり、現在はアレックスさんが勤める交番に住んでいる(※アレックスさんが赴任する前からいる)。
最近はよく骨董品屋を訪問し、ワースくんに引っ付いている。ワースくんから無理やり離そうとすると魔法を飛ばしてくる。
ワースくんの名前はオーターさんが新聞に印刷された文字を指をさして名付けた。
オーターという名は前の飼い主が付けたものではなく(※付けてはいたものの返事をしてもらった試しは無かったとのこと)オーターが辞書を開きながら名乗ったものである。
砂の魔法が使える。
●フィンくん
イーストン魔法学校に通う三年生。レインくんの弟で、とあるエイムズ氏の遠い子孫。
雨の日にワースくんを拾い、レインくんにSOSを出した。因みにこの時はにゃドルではなく普通の猫だと思っていた。
名前は魔法界の医療に大きく貢献したご先祖様にあやかって親が名付けてくれたもの。(顔も痣もフィン・エイムズそっくりである)
●レインくん
フィンくんの兄で、とあるエイムズ氏の遠い子孫。
イーストン魔法学校卒業後、どこかの町で家具と魔法道具の骨董品屋を営んでいる。やたらウサギの意匠のものが多いため、ウサギ愛好家から熱い支持を受けている。ウサギも飼っている。
寮生活のフィンくんに代わり、今はワースくんの飼い主をしている。
名前は歴代神覚者に名を連ねるご先祖様にあやかって親が名付けてくれたもの。(顔も痣もレイン・エイムズそっくりである)
●アレックスさん
レインくんの営む骨董品屋の近所にある交番に配属されたお巡りさん。すれ違うと元気に挨拶してくれる。
自分より先に交番に居たオーターさんを「先パイ」と呼んでいる。オーターさんから手ずからにゃ~る(にゃドル用のペースト状のおやつ)を与える権利を得ている貴重な存在であるため、オーターさんの届出上の飼い主は現在アレックスさんになっている。
レインくんとは顔馴染みで、長期出張や研修で不在の時は骨董品屋にオーターさんを預けに来る。
(顔も痣もアレックス・エリオットそっくりである)
◎にゃドル
魔法動物。にゃドルは遠い昔にこの魔法生物を研究していた学者の名前由来の通称。学名は別に存在する。
猫によく似ているが、目の下(口の両サイド)に魔法使いにある痣のような模様が必ず存在する。
A~Zに分類がされており、種によって性質が異なっているとのこと。模様の形によって識別ができる。中でもO種は飼育難易度が高く、W種は繊細なため飼育環境に気を付ける必要がある。
(O種とW種の設定はそのうち)
◎マッスルシュークリーム
悪い奴らをグーパンで退治してくれると、子どもたちの間で語り継がれている都市伝説。
頭がシュークリームで首から下がムキムキらしい。
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