三毛田
2025-02-21 21:31:33
1083文字
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10 10. 隣で笑ってくれるなら

10日目
それでいいけれどよくない

 君が隣で笑ってくれるのであれば、関係性は何だっていい。
 嘘。
 自分で思っているよりも強欲な俺は、多分我慢できなくなる。
 親友のままでもいい。親友から先に進みたい。
 そんな、相反する感情が心の中で渦巻く。
 けれど、弱虫でもあるから、今の関係性に満足している。
 やっぱり嘘。
 彼の気持ちが欲しい。
 それも俺と同じだと嬉しく思う。
 傲慢で強欲。
 なんと言われようとも、一目惚れした相手に想われたいと願う。
 それは、きっと誰しもが持ち合わせるもの。
「丹恒、そろそろ休憩だ」
 後ろから抱きついて、そっとコンソールをいじる手を離させる。
「穹」
 不満そうに俺を呼ぶが、姫子とパムから適度に休憩させろと命令が下っているのだ。
「まだそんなに時間は経って……
「二システム時間は経ってる。ほら、伸びー」
「自分でやるから引っ張るな」
 手首を掴み上へ引っ張ると、少し暴れ。パッと手を離し、好きなようにさせる。
「ん……確かに、あちこち凝り固まっている」
 そう口にしながら、屈伸をしたり体側を伸ばしたりと軽くストレッチをして。
「はい。休憩用のお供」
 パムが用意してくれた飲み物と、一口サイズのパイを渡す。
「甘いパイだろうか」
「甘いのと、しょっぱいの。どっちもある」
「そうか」
「甘いのは、こっちの丸いの。三角はしょっぱいやつ」
 俺がお皿の上のパイの説明をすると、嬉しそうに三角の方を手にして。
 口へと運ぶ。
 サクッと軽やかな音。
 一口のものを二口で食べ、それから唇を舌で舐める。
 その動きがやけに色っぽく、小さくはわ……。と口から言葉が漏れ。
「穹?」
 丹恒に名前を呼ばれ、どう答えたらいいかわからなくて。視線があっちこっちに動く。
「どうしたんだ」
「う、ううん。どう? パイ美味しい?」
「ああ」
「折角だから、甘いものも食べてみなよ。パムも、一つだけは食べて欲しいって言ってたんだ」
……わかった」
 ちょっとためらいつつ、一つだけ口へと運ぶ。
「美味い」
「そっか。よかったな」
 目を丸くしながら咀嚼して、それから俺の言葉に頷く。
「この甘みが染み渡っていく感じが、いいな。思っていたよりも、糖分補給が必要だったようだ」
「なるほど。丹恒、頭を使った後って甘いものが欲しくなるのか?」
「そうなることが多いな」
「じゃあ、ちょどよかったんじゃないか?」
「ああ。あと一つくらいなら、食べられそうだ」
 名残惜しそうに空になったお皿を見つめ。
「丹恒、飴でもいい?」
「ああ」
 頷いたので、彼の唇に飴を入れる。