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溶けかけ。
2025-02-20 20:49:02
820文字
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ほぼ日刊
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寒中見舞い
最近、寒いので少し暖かいお話を。
フリーナは冬が好きだ。
例えば、皆で暖炉を囲んで語り合うときだとか──
例えば、大切な人と一緒に歩くときだとか──
そんな、何気ない日常が寒さという特別な化粧で彩られる冬が好きだ。
「フリーナ殿」
いつものかっちりとした正装を脱いだヌヴィレットはトレンチコートにマフラーという冬の装いをしていた。
キミって、案外そういう格好も似合うよね、とフリーナが言って以来、彼はデートの度に「普通」の格好をしてくるようになった。
……
まあ、初めてのデートで最高審判官の服装をして来られた後だと、どんな格好でも「普通」だと思うだろう。
「ごめんね、仕事が長引いて。待たせてしまったかい?」
鼻先を赤く染めたヌヴィレットは「いや、それほど待っていない」と返すと首を横に振った。
──嘘つき、とフリーナは声には出さずに唱える。寒さに強いヌヴィレットが耳の先や鼻の先を赤く染めている姿は実は珍しい。とはいえ、それを指摘するほどフリーナも野暮ではない。せっかくの恋人の努力を無にするなんて言語道断だろう?
ヌヴィレットが手袋を外し、フリーナの頰に手の平を当てる。
「
……
冷えている」
「しょうがないだろう? 温まっている暇なんてなかったんだから」
フリーナの言葉に器用に片眉を跳ねさせたヌヴィレットは手袋のもう一つも外して彼女に渡す。──嵌めていろ、ということなのだろう。大人しく手袋に手を納めれば、それでいい、というようにヌヴィレットが頷いた。どうやら正解だったようだ。
「
……
」
彼はしかめっ面のまま、フリーナの片手を取ると自らのポケットへと導いた。
「ふふっ
……
暖かい」
フリーナがこそばゆさを感じながら笑う。彼も少しだけ眉をハの字に曲げると、ふ、と口の端を緩めた。
──鞄の中にある手袋の存在はいつも彼には内緒にしている。キミに世話を焼かれるのが好きだ、なんて言ったらやめてしまうのが分かりきっているからね。
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