いさき
2025-02-18 12:01:52
896文字
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「“はじめて”を阻止する話」鴨メル

#kmmr_1h
第1回「はじめて」

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第1回「はじめて」

“はじめて”を阻止する話

俺の部屋で、何の気無しに互いの時間を過ごしている時だった。メルトがぽつりと呟いた。
「朔夜さん」
「ん?」
「今度の記念日さ、お揃いが欲しいんだけど」
「何がいい?」
「ピアス」
ソファに座っていた俺は広げていた雑誌を閉じて、おいでおいでとメルトを手招きした。近寄って来たメルトにぽんぽんと膝を示すと、向かい合ったまま大人しく馬乗りになってくる。膝に乗っている分、目線が高くなったメルトの顔を見上げて、強請るように様子を伺うメルトの頬を撫でた。
「違うのにしよーぜ」
「開けてよ、俺に」
「だーめ」
「なんで」
甘かった目が不満そうに細くなる。唇を尖らせるのも可愛いな、なんて思いながら、メルトの耳たぶを指でふにふにと挟んだ。
「俺はお前のこの可愛い処女耳が好きなの」
「朔夜さんは開けてるじゃん」
「俺は大昔に安ピンで卒業したから」
「俺も」
「だめ」
「でも」
「じゃあ俺に開けてよ、メルト」
じっと目を見て伝えると、メルトの目は、えっ、と一瞬たじろいだ。そっと髪を掛けて耳を見せると、そこに視線が注がれているのがわかる。
「好きなとこ開けていいよ」
……どこでも?」
釘付けになっているメルトがゴクリと喉を鳴らす。征服欲か嗜虐心か、そんな難しいことは考えていないのか。想像するだけで心が躍る。
「なに考えてんだよ、メルトくんのえっちー」
「なっ、違うって」
「ははっ」
顎の下を撫でてやると、メルトは猫のように首を伸ばした。いつかゴロゴロと鳴き出しそうだ。そのまままた耳たぶを、ふに、と摘む。
「もうちょっと、俺にこの綺麗な耳を堪能させてよ」
「変態みたいじゃん」
「可愛いなあと思ってんのよ」
……今度は、開けてね」
「俺に任せてくれんの?」
「朔夜さんにして欲しいの」
お願いしてくるその強請り顔に弱い。無意識でやってんなら相当タチが悪い。
わかって言ってんのかね、このお子ちゃまは。

「そういうとこ好きだぜ、メルトくん?」

初めて開ける時のことって、一生忘れないだろ?
大事にしたいと思ってんだよ。