溶けかけ。
2025-02-17 20:00:26
395文字
Public ほぼ日刊
 

おやすみなさい

幼くなったフリーナとヌヴィレットのお話。
夜泣き。

 小さな少女が泣いている。
 わんわんと大きな声を立てる少女は誰かの姿にそっくりだ。
「フリーナ」
 穏やかな声が少女の名を呼んだ。
 少女は未だ、わんわんと大きな声で泣き続けていた。声の持ち主であるヌヴィレットは少女に近づくと、小さな体を抱き上げて宥めるように背中を撫でる。
 
 泣いている理由は分からない。

 秘境の影響で幼くなってしまった彼女はこうして、夜泣きをするようになった。常のフリーナからは考えられないほどの大声で泣き続ける彼女の面倒を見るのはすっかりヌヴィレットのルーティンになりつつある。

 どれくらいそうしていただろうか。幼いフリーナの身体は糸が切れた人形のように力が抜け、涙で濡れてぐちゃぐちゃな顔をヌヴィレットの方に押し付けて寝息を立て始めた。
「おやすみ、フリーナ」
 狭い額を掻き分けてキスを贈れば、彼女はへにゃりと緩みきった笑みを浮かべるのだった。