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望月 鏡翠
2025-02-16 23:44:52
890文字
Public
日課
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#1632 「白猫」「吊す」「露天」
#毎日最低800文字のSSを書く/三題噺
今日は魔女のお祭りの日だ。楽しんで行くといいよ。
とは言っても、ワルプルギスほど正式で本格的なものじゃない。月に一回、自分が普段いる街の名産品や、季節のものを使ったお菓子なんかを持ち寄って、露天に出しているのさ。みんな季節も国もさまざまなところに暮らしているから、見ているだけで楽しいと思うよ。
お金でもいいけど、物々交換も受け付けているよ。
私の店はあそこ。
ほら、屋台に吊す魚が目印のお店だよ。うちは港町にあるから、魚が多いんだ。その代わり肉が貴重だからここにきたときはベーコンを買って帰るよ。逆にあちらでは魚が貴重らしくて、長持ちする干し貝や干物なんかが人気かな。オイル煮の瓶詰めもあるんだけど、持って帰るには重たいから。
いくら箒があったって、こんな狭い場所じゃ飛べないし、重たいものは持って歩きたくないものさ。一応下の方にしまってあるから、欲しかった店員に声をかけてね。
私がいない間、夜店の番をしているのは、白猫だよ。今もあそこに座っているね。私よりお金の管理がきっちりしているから、値切りたいなら諦めるんだね。
どうして魔女なのに黒猫じゃないのかって?
確かに私も黒猫を連れているよ。あそこの彼女だって、普段は鴉を共にしているのさ。でも夜中に黒猫だと、どこに店員がいるのか分かりにくいだろう。
魔女の祭りに、明かりは野暮だからさ。
だからあそこも、今日ばかりは色鮮やかなオウムを店先に置いていある。
説明はこれくらいかな。あとは自由に歩き回って楽しんでいってよ。うちは肉か宝石か、ハーブでもいける。潮風にやられてしまうから、植物があまり育たなくてね。
注意すべきは一つだけ、無礼を働かないこと。
なにしろあなたの周りにいるのは、誰も彼も一人残らず魔女だからね。通行人を乱暴に押し除けたり、店員に無礼な口をきいたりしたその日には、みみずの帰られて鶏の餌にされてしまうよ。
私だったら虫に変えて、釣り針にひっかけて海に投げ込んでしまうかな。
まあ、ひとまずろくな死に方をしないよってだけ、覚えておいてくれればいいよ。
良い夜を。
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