王になったら。国に法を敷いて自分が思う国を作ることができる。兎が王になったときは、肉を食べてはならないという法をつくり、飢えた肉食獣たちに反乱を起こされて噛み殺された。
その後ライオンが王になったが、王に肉を捧げるべきという法律を作って、国中から草食獣が逃げ出した。その後飢えた肉食獣も逃げ出して、国中には誰もいなくなった。
反乱は起きなかったが、王は気がつけば死んでいた。そうして王様は次々と入れ替わり、一年持ったものはいなかった。
最終的に国の王になったのは、豚だった。豚は何を食べてもいいと言った。なんでも食べられるし、イライラしたら仲間の尻尾も齧ってしまうような種族であったものだから、何かを規制したり強く求めたりする必要はなかったのだ。
そうして気がつけば、鐘楼が十二の鐘を鳴らした。
それは王が立ってから月に一度ずつ増えていくもので、新しい王が立ってから一年が経ったことを告げるものだった。
かくして、豚がこの国の王に相応しいことが決まった。
そうして動物たちはようやく安心して自由に暮らすことができるようになった。
そこにある日、人がやってきた。人は法律を作ることが得意だったので、動物が自由に生きている様を憂いた。
自分が国を納める役目を担ってやろうかと、申し出た。豚はあまり興味がなさそうだった。どんな環境であってもそれなりにやっていくことができる、環境適応能力が高い生き物だったからだ。その点は人間とよく似ていた。
それもいいかもしれないと、王様が言ったので人間はほくそ笑みながら王宮を後にした。なんの苦労もなく獣がたくさんいる豊かな国を手にいれることができるのである。
毛皮に肉、愛玩動物といくらでも金に変える手段はあった。
そんな人間の悪い企みを動物たちは知っているわけではなかった。ただ王様が変わってしまうかもしれないと聞いて、黙っていられなかっただけである。
一番この国を平穏に保ってくれる王がようやく見つかったのである。また国の王様がどんどんと変わり、法律がその度に変わるような生活が始まったら困ってしまう。だから動物たちは、帰り道の人間を角で突いたり咥えて引っ張ったりしてバラバラにしてしまった。
その後、動物たちはそれを豚の餌に混ぜてしまった。豚は何も気にせずそれをペロリと平らげて、動物たちの国はいつも通りである。
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