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溶けかけ。
2025-02-16 22:59:01
818文字
Public
ほぼ日刊
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怖がりおばけ
幽霊のフリーナとヌヴィレットのお話。
フリーナ・ドゥ・フォンテーヌは幽霊である。
それは、フォンテーヌ人なら誰もが知っている事実であった。
フリーナという幽霊はフォンテーヌ廷内を徘徊する地縛霊の類であるらしく、その姿を見かけることは少なくない。特に出現場所となればかなり範囲が限定される。パレ・メルモニアの前やリオンエリアのとあるアパルトマンの前などだ。
「フリーナ殿」
「やあ、ヌヴィレット。こんばんは。いい夜だね」
元住居の前で立ち尽くす彼女は何を見て、何を考えているのだろうか。
「キミが僕に声をかけるなんて珍しいね。何か用?」
「
……
まるで、用がなければ話しかけないとでも言うような言い方だな」
「あはは。怒らないでくれ。そういう約束だっただろう?」
フリーナがヌヴィレットに強いた枷。それはフリーナを徹底的に無視する、ということだった。
「キミは僕と気軽に話してはならない」
何度目かの逢瀬のとき、彼女はこう言った。
なぜ、と問う声は震えていなかっただろうか。
「僕は死者だ。
……
キミを人々から遠ざけてしまう」
半透明のフリーナがこちらを見た。色違いの双眸は真剣な眼差しでヌヴィレットを見つめ返す。
「ヌヴィレット様ー!」
「ほら、呼ばれているよ」
いっておいで、と言われて振り向いたとき、彼女の姿は既になかった。
「私は約束など結んでいない」
「そう堅いこと言わないでくれよ。僕とキミの仲じゃないか」
不機嫌さを隠そうともせず、ヌヴィレットが言い放つ。キミはそう言うけれど、約束を守ってくれていることを知っているよ。なんて、言ったらまた不機嫌になってしまうのかな?
「それで? 僕に話しかけてくるなんてキミにとってよほどの無理難題が押し寄せたと見えるけど?」
フリーナが悪戯っ子の笑みを浮かべる。相変わらず、彼女のことが分からなくなる。気まぐれな猫のようだとすら思う。無視をしろと言ったかと思うとこうして話しかけてくる。
「君は幽霊には詳しいか?」
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