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倉木
2025-02-16 20:48:39
2460文字
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IDW
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ラフドン
IDW 序盤中の序盤
IDWのラファエロくんは結構周りが見えなくなることが多いくらいに激情型なのかわいいですよね
振りかざした武器が下ろされる直前、飛び出した足が相手の胸板を強く打った。
返すようにして棒を後ろに払うと呻き声を発しながら地面に転がる。
踏みつけて気絶させた後、ドナテロは辺りを見回した。
囲んでいた暴徒にフット団が乱入し混沌を極めていたが、その数も徐々に減ってきている。
「ドニー屈んで!」
背後から飛び込んできた言葉に従い頭を引っ込める。
頭上を飛び越えたミケランジェロが数人か巻き込み地面に倒した。
それがドナテロを囲んでいた最後のひとりだったようで、同じ目線に立つ生物は誰もいない。
遠くでまだ戦闘音がするが、上がった息を整えなくては加勢のしようがなくドナテロは自己の回復に専念する。
しかし視界の端で見知った赤い鉢巻をはためかせている背中が見えた。
「ホブ!!!待ちやがれ!!!!!」
聞こえる激昂は夜の工場に場違いなくらい良く響く。
「ラファエロ!深追いはするな!」
レオナルドの鋭い言葉はラファエロには届かなかったらしい、荒々しい足音はどんどん小さくなる。
感情的になったラファエロは何をしでかすかわからない危うさがある。
しかしまだ敵は多く残っておりこの戦場からふたり抜けるのは他の兄弟を危険に晒すリスクでもあった。
迷うドナテロは、射貫くレオナルドの視線に気付く。
相手の剣を受け止めたままレオナルドが頷き、それを命令と受け取ったドナテロはそのまま駆け出した。
「マイキー!レオのサポートをお願い!」
「まかせて!!」
未だ元気の有り余っているらしい声を背後にドナテロはコンテナに飛び乗る。
迷路のように組み立てられたカラフルボックスを飛び越え、音の大きな場所に向かった。
船着き場と隣接するせいで視界の奥は夜空と煌びやかな街並み、そして深淵となる黒い空間が広がっている。
川と呼ぶには黒墨に染まり過ぎていて、今日は月明かりが少ないのだと気付いた。
しかしミュータントであるドナテロにとって夜闇は深ければ深い程都合が良い。
同じミュータントである弟の後頭部を見つけるまでの道中はそこまで長くない。
ラファエロは複数のミュータント相手に応戦していた。
そこには彼が追い求めていた猫のミュータントの姿はない、狡猾な彼は既にどこかに行ってしまったようだ。
ドナテロは彼らの真上までくると、ドナテロは棒を構え勢いよく飛び降りた。
ラファエロに振りかぶろうとした相手の頭を踏みつけ地面に足を着く。
目の奥を炎で迸らせるラファエロはドナテロの介入にも気づかず相手を殴りつけていた。
遠慮のない打撃は相手を昏倒させるには十分な威力だったようで、ひしゃげる音はもしかしたら骨が砕けたのかもしれない。
最後のひとりに腹部に棒先を叩きこんだ相手も同じように転がると、ようやく静かになった。
「ラフ!怪我はない?」
肩で息をするラファエロに問いかける。
その息が随分と荒くもしかして本当にどこか怪我でもしたのかと、ドナテロは彼の怒る肩に手を伸ばした。
しかし振り向いたラファエロの目が血走っていることに気付き、ドナテロは向けられた殺意に反射的に身を引く。
頬に熱い衝撃が走り、思わずよろめいた先で背後のコンテナにぶつかった。
「
………
ったぁ」
思わず声を漏らして頬を抑える。
付着した血液が手の甲を汚した。
軽い裂傷だが顔の部分は血管が多く出血も派手だ。
しかし自分の手越しに見えたラファエロの紅潮させていた顔がどんどん青くなっていく光景が見え、ドナテロは軽い裂傷を乱暴に拭った。
「あ、
……
違っそんなつもりじゃ
…
」
「わかってるよ、それよりラフに怪我はない?」
はくはくと息を吐くラファエロに、ドナテロは努めて何でもないように声をかける。
しかし頬の傷から流れる血の感触は線を描き、火傷したような熱を感じる。
それなりに深く傷つけられたらしく、止血してちゃんと手当が必要な状態であることをドナテロは理解した。
武器を取り落としたラファエロに代わりドナテロは遠く耳をすませると、どこかでまだ小さく音がする。
傷に連動して自分の脈音が少し煩い。
「早く戻ろう、レオ達がまだ戦っているはずだよ」
そう言いつつ手を伸ばしたがその手はドナテロの血で汚れていて、ラファエロは身体をびくつかせて一歩引いた。
怯える顔はドナテロ宛ではない、そのことに気付いたドナテロはあと1歩が境界線だと踏んだ。
だからこそドナテロはその距離感を一気に詰めた。
立ちすくんだままだったラファエロに近付きその両頬をわし掴む。
ラファエロの熱しやすい身体はどこまでも温かい、燃え上がる金色は溶けてしまいそうだ。
一瞬その炎に見惚れ、ドナテロはそのまま唇に噛みついた。
「
………
ンンッ!?」
驚きに目を見開いたラファエロが両手を掴むが離す気など毛頭なく。
たっぷり10秒数えて離すと息も絶え絶えなラファエロがよろめいていた。
「目、覚めた?早く戻るよ」
顔を真っ赤にしたラファエロは見るからに挙動不審だったが、先ほど居た場所から爆発音が轟く。
ラファエロの手を強引に引きふたりで駆け出した。
「お前
…
いつもこんなことしてるのか?」
途中、控え目なラファエロの声がする。
「ん?何が
…
?」
近付いてくる戦闘音に耳を傾けていたせいでドナテロは反応が遅れた。
口ごもるラファエロにようやく意味を理解しドナテロはようやくその意味が先程のものだと理解した。
「君だってニューヨーカーだろ、目覚めのキスくらいよくあることでしょ」
「良くあることか
…
?」
最後は疑問形であったがドナテロの意識はもうそちらには向いていなかった。
かつて戦場であった場所に佇む兄弟と、こちらに気付いたらしいミケランジェロが大きく手を振っていることに全ての気を取られていたからだ。
「良くあってたまるかよ
…
」
そのせいで最後にラファエロが漏らした言葉はドナテロには届くことなく、夜風に乗った言霊は暗い水面へ反響した。
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