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ナスカ
2025-02-16 17:14:06
4055文字
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少女時代へ帰る旅〜ミュージカル 赤毛のアン感想〜
ミュージカル 赤毛のアン 2025年東京公演千秋楽の感想です。
皆さんグッドハーブニング! ナスカです!
今日(2025/02/16)も観劇でございます! 劇団四季が贈る『ミュージカル 赤毛のアン』です!
原作は言わずもがな、ルーシー・モード・モンゴメリの名作『赤毛のアン(anne of green gables)』
有名な作品なので、紹介せずとも皆さんストーリーがわかっておられるでしょうが、ひとまずお話させていただきます。
のどかなカナダの島プリンスエドワード島、そこにあるアヴォンリー村。マシューとマリラのクスバート兄妹は、農園の手伝い人として孤児院から男の子をもらうことになりました。ところが駅へ迎えに行ったマシューはびっくり。そこにいたのは、赤毛の女の子だったからです。その女の子、アン•シャーリーは空想が大好きで、ちょいと癇癪持ちな十一歳。彼女を中心にして、アヴォンリー村で起きる様々な出来事が豊かな自然の描写とともに紡がれていきます。
私は小学生の頃からアンが大好きです。アンと共に空想好きというのもありますが、少々恥ずかしい話
……
私もやや癇癪持ちな一面がありました。似た面を持つ彼女に共感する傍ら、リンゴの並木道を『歓喜の白い道』と呼称するその表現力を大変羨ましく思っていました。未だに、アンに追いつけた気がしません。
さて、公演の話に移りましょう。
なんと、今日は『千秋楽』となっております。私は四季の会に入っているのですが、運良く千秋楽が当たったのです!
会場は『自由劇場』私としては、昨年インフルにかかったが為にお流れになった『ジーザス・クライスト・スーパースター』が公演されていた場所。ようやっとこの場所にやって来れました!
こじんまりとした劇場とは聞いていたのですが、その内装のお洒落なこと! 床と階段に敷かれた真っ赤なカーペット、葡萄をモチーフにしたマークや階段の手すり。何だか『知る人ぞ知る』っていう雰囲気です。
私の座席は二階席の最前列!しかも中央ブロックです! 小規模劇場というだけあって、かなり舞台と客席の距離が近うございます。
公演プログラムを購入し(ほしかったブックマーカーはお品切れ😭)、キャスティングボードを確認して、私は戦慄しました。
『『『トミー 吉田ケイン』』』
吉田ケインさん!?!?!? 2022年のオペラ座大阪公演ではアンサンブルのお一人。ハンニバルの場面でムチを『バァーンッ!!』ってやってた、あの!?!?「この人カッコいい!!!」となり、四季オタの御友人がいるというフォロワーさんにお名前を教えていただいた、あの!?!? アンの読者ですが、トミーという名前には正直あまり聞き覚えがありません😇けど!けど久しぶりのケインさんだ! うわぁ〜嬉しいなぁ〜
舞台の上には、のどかなアヴォンリー村が描かれた大きな緞帳が下り、本を読んだ時に感じた空気を思い出します。
その画風に違わず、温かく優しく、キャッチコピーにあるような『幸せ色』に染められた作品でした。全体的にクスッと笑えるシーンが多く、数えればキリがありません。普段は静かなイメージの四季の観客席が笑いに包まれる、あまり無い経験をしました。
ストーリーは、アンがやって来てからマシューが亡くなるまでの流れを上手く再構成しており、流石に原作のエピソードを全部描くのは難しかったようです。
しかし、これほどミュージカルに適した作品も無いと思うほどでした。
その最大の理由は、主人公アンの性格にあります。アンは空想家にして読書家。それ故に言葉が仰々しい一面があります。それが『ミュージカル』という舞台の形態に、非常にぴったり合いました。アンは突然歌い出しても、踊りだしても、何らおかしくない子なのです。
そんなアンに誘われるように、周りの人々の心持ちが変わっていきます。それは自然と歌と踊りになって溢れてくるのです。『赤毛のアン』と『ミュージカル』の親和性の高さに、グッと引き込まれました。なんで千秋楽だけ観てるんだ私!
キャラクター性の話をする際、個人的に欠かせないと思っているのがオーバーチュア後の最初のシーンです。アヴォンリー村の婦人ボランティアの皆さんや、郵便局員、農夫が『マシューが出かけている! 大事件だ!』と騒ぎ立てる場面ですね。村人全体の雰囲気が伝わる良いシーンです。
私は正直、衣装だけでは誰が誰かわかりませんでした(マスカレードかな?)。けれどきっとアンも同じ気持ちだったと思うのです。新しい土地や見たこともない人に遭遇して、ワクワクするけどちょっぴり緊張する感じ
……
。
けれど演者さんたちが互いに「レイチェル」「マリラ」と呼び合うことで『顔と名前が一致する』のです。物語が進むにつれそれは顕著になり、「バーリー夫人」や「パイ夫人」
……
原作やコミカライズを読んで知っている『あの人たち』の『此処での姿』を把握することで、『自分は知っている!』と感じることができるのです。それはさながら、アンの追体験でした。
アン以外をキャラクター個人で語るならば、やはり欠かせないのはマシューです。公式サイトで舞台写真を見た時、「マシューほっっっっそ」と驚きました。どうしてもアニメーション版での、ふくよかでもっさりとした口ひげマシューの印象が拭いきれなかったのです。
ところが舞台の上に登場すれば、完全にマシューにしか見えませんでした。無口で、女の子が大の苦手なマシューが、『男の子』を迎えに行った際にアンを見かけてもさりげなく視線を逸らします。『らしいなぁ』と思って見続ければ、「そうさね」という特徴的な喋り方。
ひたすらお喋りを続けるアンに心を寄せ、自分の無口さに悩み、時にはマリラの目を盗んでアンを励ましてくれる
……
それがマシューの本質でした。「見てくればかり気にしているのは悪いこと」だとマリラが言っていますが、その通りだったと思います。(パフスリーブとはちょっと違うかもだけど!)
亡くなる場面は、知っていてもやはりウルッときてしまいました。原作では、アンが友人たちとエレインごっこをして散々な目に遭ったあとに登場する「ロマンチックを全部は捨てなくて良い。少しは取っておくんだよ」という台詞。これが、こっちのシーンに使われていたのです。
アンの想像力に心を寄せてくれたのは、きっとマシューが最初だったのだと思います。そんな彼が今際の際に、アンがアンである理由を失ってはならないと話すのです。泣かずにはいられません。
「薬はもういらないとマリラに話してくれ」とアンに伝え、二人が戻らない内にマシューは息を引き取りました。腕が重力に従って、ダラッと垂れ下がった瞬間、とにかく悲しくて悲しくてなりませんでした。
しんみりしちゃったから、ホッとする話をしよう!
私が『赤毛のアン』の中で一番気まずいと思っているのは『ダイアナに間違えてお酒を飲ませてしまった』エピソードです。このことにダイアナの母はカンカンに怒り、もう二度とアンと会わせないと言ってしまうほどです。そのあとダイアナの妹が高熱を出し、その看病をしたことで名誉挽回をする
……
という流れ。
ここがどうしても苦手で苦手で
……
アンが悪いわけじゃないのに。
このエピソードが大幅にカット&再構成されていて、私は安心しました。アンとダイアナがお茶会をしている家の庭で、マリラやバーリー夫人、リンド夫人たちは会議をしていました。ダイアナが完全に仕上がったところへ保護者たちが屋内に戻り、マリラが即座に「私が木苺の甘露水を出し忘れたのが悪い」とアンを庇ってくれたのです。ここは本当に心底ホッとしました。
あとはそう! 舞台セットに大道具! これが凄かった!
美女と野獣の際は馬がオミットされていたのですが、マシューとアンがグリーンゲイブルズに向かう道中、しっかり馬が登場したのです!! これすごくびっくりしました! 乗り物繋がりで言うと、フィリップス先生が自転車で登場してびっくりしました! えぇ〜!?!?!?
より驚いたのはグリーンゲイブルズそのものです。二階! 二階がある建物が、断面図のような形で舞台の上にあります! これは驚かないわけにはいきません! オペラ座におけるファントムの瞬間移動や、ゴスレで壁を通り抜けるグレイとはまた異なる、『どんな造りになってるの!?』という技術力にまたびっくりさせられました。
あと衣装の話もしたい。アンの服は基本的にマリラが作っているので、正直飾りっ気のない服です。けれどそれが主人公(=特別な存在)であることを演出しています。最初にダイアナと対面するシーンでは、シンプルな服のアンとフリルにリボンがついた服のダイアナで『どっちがどっちか』すぐにわかります。また、学校の生徒達が総出でダンスをする場面では、他の女子生徒たちがくるくるピルエットをすると色鮮やかで布量の多いスカートが翻ります。ところがアンはそれほどでもない上、色合いは黒です。
飾りっ気のない緑の服を贈られたとき、アンが言った言葉を思い出します。「みんなおかしな格好をしている中で、ひとりだけまともな格好だったら、それこそおかしな格好になる」
……
っていうやつ。これが演出取り入れられているといいな、と思いました。
このミュージカルは、少女時代へ私を逆行させてくれました。空想家でちょっぴり癇癪持ちなアンが、そこに生きて目の前にいたのです。それは親しい友人
……
彼女の言葉を借りれば『腹心の友』、に再会したような気持ちにさせてくれました。
自分の身の回りにあるロマンチックを想像しなくなったのは何時からか覚えていませんが(他の『ロマンチック』に夢中で😂)、たまには自分に関わる『ロマンチック』を考えてみたいと思います。
アンに再会して幸せになれました。千秋楽お疲れ様です。そして全国公演、頑張ってください!
それではまた、どこかの感想で!
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