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tknyoko11
2025-02-16 00:02:05
3119文字
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2025 leokumiweek Day7 僕達の紡ぐ未来
恐ろしい夢を見て泣いているタクミと一つの可能性を考えるレオンのお話 Japanese only
どんな世界のレオンとタクミも幸せであってほしい。7日間読んでくださりありがとうございました!
「タクミ遅いな
……
」
一人そう呟きながら、レオンは鏡の前で身だしなみを整えていく。さんざん洋服の表裏が逆になっていないか確認した後、レオンは部屋に置かれた時計へちらりと目をやった。もうすぐ朝食の時間だというのにタクミの姿が見えない。暗夜へやってきてもタクミは自分よりずっと早起きで、自分のことを起こしてくれる日もあるくらいだ。それなのに今日はレオンが身支度を整えても一向にタクミはやってこなかった。一応確認しに行こうと、レオンはタクミが泊まっているゲストルームへ足早に歩いて行った。重厚な扉をノックするが返事はない。もしかして何かあったらいけないと考え、レオンは「ごめん、入るね」と一言断ってから部屋の中に足を踏み入れた。部屋の奥に置かれたベッドに目を凝らすと、毛布に膨らみが見える。急いで近寄るとベッドの上で毛布にくるまったままぐすぐすと小さく嗚咽をあげるタクミの姿があった。とりあえずタクミが無事なのにほっとして、レオンはそっとベッドサイドに腰かけるとタクミの髪を優しく撫でていく。一瞬びくっと震えたタクミの視線がゆっくりとレオンの方へ向けられる。
「
……
レオン王子」
「
……
もしかして悪い夢でも見た?」
「
……
うん」
もぞもぞと起き上がったタクミが自分の身体にもたれてくる。相変わらず嗚咽は止まらないようで、そんなタクミを落ち着かせるようにレオンは自分も身体を寄せて何も言わずにタクミの身体を抱きよせる。怖いことを無理して聞き出すつもりなんかない、ただ側にいることでその苦しみを和らげてあげられればいい。そうしてしばらくタクミに寄り添っていると、タクミがきゅっとレオンの服を掴んでくる。視線を動かすと涙で潤んだ彼の瞳と目が合った。
「レオン王子
……
僕、君の側にいていいのかな」
突然タクミから投げかけられた言葉にレオンはぎょっとする。どうしてそんなことを言うのだろうか。もしかして迷惑だと感じさせることでも知らないうちにしたのだろうかとレオンは不安になる。
「急にどうしたの? そんなこと、心配する必要
……
」
「だって、僕
……
夢を
……
レオン王子、を
……
殺す夢
……
どうして、こんな
……
」
そういうとタクミはボロボロと大粒の涙を流しながら大声で泣き始めた。よほどその夢が恐ろしかったのか、真っ青な顔で泣いているタクミにどんな言葉をかけたものかとレオンは迷う。タクミはもともと夢見がよくなくて悪夢を見た次の日に慰めることはあったが、今日みたいな夢はさすがに初めてだった。優しいタクミは夢であってもレオンを傷つける
……
ましてや殺すことなどしたくなかったのだろう。大切な相手を夢であっても傷つけたくない
……
その想いはレオンも同じ。だからこそ
……
今まで黙っていた秘密をタクミに告げようとレオンは決めた。
「ひぐっ
……
こんな僕は
……
レオン王子、なんかに
……
」
「落ち着いて。僕はそんなことでタクミ王子に側にいてほしくないなんて思わないよ」
「でも
……
だって」
「それから
……
実は、僕も見たことがあるんだ。
……
タクミ王子と殺しあう夢」
「
……
えっ
……
?」
レオンの言葉にタクミが驚いたような表情になる。レオンがそんな夢を見るなんて信じられないといった彼の感情が透けて見えるようだった。レオン自身だって信じられなかったからこそ、この夢のことは死ぬまで一人で抱えようと思っていたくらいだ。
―
タクミと殺しあう夢。場所はいつも天蓋の森で、引き連れた臣下達はタクミの臣下達と戦っていた。他の景色はおぼろげでタクミのきょうだい達が周りにいたような気もするしいなかったような気もする。とにかく二人は神器を構えてお互いを殺す意思を込めて攻撃を打ち合っていた。自分の攻撃がタクミを吹き飛ばすあたりでだいたい目が覚めてなんて夢をみたのだろうとため息をついた朝は今までにそれなりにある。戦時中のみならず、タクミと今の関係になってからも見る時はあって、どうしてこんな夢を見るのだろうと悩んでいたが、余計な心配をさせたくなくてずっと誰にもいうことはなかった。しかし、タクミも自分と同じような夢を見ている。初めてとはいえ、これを偶然だと片付けていいのかとレオンはなんとなく思った。
「変なことを聞くけど
……
その夢の場所って分かる?」
「
……
たぶん、シラサギ城の
……
上階にある大広間かな
……
」
タクミの口にした場所は自分の夢とは全く違う所で、ただシチュエーションだけは限りなく似ているようだった。タクミに話せる範囲で話してもらうとレオンと敵対する夢自体は見たことがあったらしいが、殺しあうところまで見たのは今日が初めてだったらしい。
「もしかしたら、そういう『可能性』があったのかな
……
」
一つだけ思い至ることがあってレオンがぽつりと呟くとタクミは怪訝そうな顔をする。話したことで少し落ち着いたのかようやく涙は止まったようだ。
「
……
どういうこと?」
「平行世界
……
って聞いたことあるかな。別の世界にも僕達と同じ存在がいて、でも全く別の道を歩んでるっていう
……
」
「あ、うん
……
知ってるけど、レオン王子は僕達の夢が別世界の僕達の出来事だって考えてるの
……
?」
「いや、一つの可能性として考えてるだけだよ。証明する手段なんてないし
……
でも、夢にしては嫌に現実的なところもあったからね」
そう、タクミを吹き飛ばして彼の身体から血が流れた時のことが夢というのに妙にじっとりと頭の奥にこびりついて気持ち悪かった。正直、あんなことを自分達がしなくてよかったと思えるほどに。けれど、もしかしたらどこかの世界でこんな思いをしている自分がいるのだろうか。
「
……
ちょっと、その感覚分かるかも。でも、だったら嫌だな。別の世界にいる僕達がこんなことで苦しんでるなんて」
夢でよかったなんて言いたくないな
……
そう呟いたタクミの瞳がひどく悲しそうで、レオンの胸がひどく締め付けられる。そうして、自分と同じように別世界の自分へ思いを馳せるタクミを見てレオンはタクミの手を強く握った。
「レオン王子?」
「僕だって嫌だね。どんな世界であってもタクミ王子を傷つけるなんて
……
でも、どこかの選択が間違ってたら僕達もそうなっていたかもしれない
……
平和な未来だってなかったかもしれないんだ」
「っ
……
それは
……
」
「だけど、僕達は今こうして共に生きている
……
二人で歩んでいける未来がある。だから、仮に他の世界で生きる僕達がいるとして
……
彼らが苦しんでいても僕達が助けることはできないけれど、その分この世界に生きている僕達が幸せにならないと申し訳ないと思わないかい?」
そう、今自分たちの目の前には平和な未来がある。様々な苦難を乗り越えて自分たちが掴んだ未来だ。その気持ちを込めてタクミの方を見つめると、しばらく黙っていたタクミが視線を合わせて笑ってくれる。それはレオンの好きな子供らしさの残る綻んだような笑顔だった。
「そうだね
……
今を僕達二人一緒に生きていけることを否定しちゃだめだな。でも、僕これからもまた今日みたいに夢を見て怖くて泣いてしまうかもしれないけど
……
」
「
……
何度でも側で支えるよ。その代わり僕が一人でどうしようもなくなった時、タクミ王子は側にいてくれる?」
「もちろん! これからもよろしくね、レオン王子」
「こちらこそ、タクミ王子」
レオンとタクミはそう言うとどちらからともなくその身体を強く抱きしめあった。きっと二人でならどんな未来が待っていても大丈夫だと今なら強く言える気がした。
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