望月 鏡翠
2025-02-15 22:48:26
949文字
Public 日課
 

#1627 「枯れ木」「聖職者」「万屋」

#毎日最低800文字のSSを書く/三題噺


 万屋というよりは、廃品回収業者か骨董屋という有様だったが、ゴミ屋敷というには埃を積もらせながらも諸々が整然と整えられていた。
 身の回りにあるものを好き勝手に利用して組み上げたパズルのようだ。隙間が一つもないし、何か商品を一つでも抜いてしまったら崩れ落ちてきそうだ。一番下のものなど、どうやって抜き取るのだろう。
 そんなことを思いながら薄暗い店内に足を踏み入れた。
 いつからここに鎮座しているのかわからない商品を買い取るつもりはない。埃が物凄そうだ。
 売りに来たのだ。ここに来たら大抵のものは買い取ってもらうことができると聞いたから。
 買い取ってもらえるのはいいが、一体その資金はどこから来ているのか。さては不法投棄などされているのではないか。
 そんな懸念が頭を掠めないでもないが、自分の利益第一。関係がないことには首を突っ込まないでいるのが吉だ。
 私はカウンターの向こう側の小上がりで、茶を飲みテレビを見ながらぼんやりとしている主人に声をかけた。昭和からそのまま抜け出してきたような光景だが、お湯を沸かすのが火鉢やヤカンではなく電気ケトルなのが現代的だ。
 こんなにものが多い店の中だから日を使うよりは安心できた。
 査定を待つ間、私は店の中を見て回った。見るものは本当にいくらでもあった。手書きの値札が付けられているものがあったが何も書いていないものがほとんどだったし、何なのかわからないものもあった。
 店を見て回ると、骨董品の間から枯れ木のようなものが飛び出しているのを見つけた。
「これは一体なんですか?」
 頑丈そうで手頃な太さだ。子供の頃なら嘸かし振り回したくなったことだろう。
 店主は棒を見てニヤリと笑った。
「お目が高い。そいつはとある聖職者が残したもので、数奇な運命を辿ってここにやってきたのさ。あんたが欲しいなら、もちろん売ってやることもできるけどね」
 胡散臭い笑顔だった。木の棒なんて、必要ない。だが面白い話が聞けそうだったので、一応聞いてみることにした。
 査定を待つ間、暇だったからだ。
 結論から言えば、その素敵な木の棒は買い取った。持ち込んだ不用品の買取額よりも高価な木の棒で、差し引きして結局いくつかの金を店主に握らせることになった。