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まきわ
2025-02-14 21:10:27
3619文字
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いつも、みんなで
★オリキャラ注意
クロリンに子供(双子)がいるパロディです
バレンタインにみんなでプレゼントを渡し合うお話
当然子供はオリキャラなので、許容できる方のみでお願いします
お湯を沸かして紅茶のポットを用意する。
そうしている内にオーブンからふわりと甘い香りが漂ってきた。
ほどなくして出来上がりを告げる音をオーブンが鳴らす。
緊張した面持ちでディーネはそっとオーブンを開いた。
「
…
なかなかいいんじゃない?」
出来栄えに満足して一人呟く。
いそいそと出来上がったものをオーブンから出すと用意していたもので飾り付けをしていく。
「
…
よしっ、かんせーい!」
満面の笑みで宣言すると、まだふわふわと優しい甘い香りをたてている「それ」を小さなバスケットにいくつか入れて、紅茶のポットと一緒に持ってキッチンを出た。
「マールっ、おやつにしない?」
がちゃっと部屋の扉を開いて声をかけるとマールは露骨に渋面を見せた。
それを見てディーネは舌を出しつつ慌ててこんこんっと開いている扉をノックした。
「
…
父さんじゃないんだから、ノックは開ける前にしてくれ」
マールはため息混じりに言いながらも読んでいた本を閉じた。
了承の合図だと受け取ってディーネは部屋の真ん中にある座卓に持ってきたトレイを置いた。
バスケットに盛られた明らかに手作りらしいカップケーキを見つめてマールは首を傾げた。
「作ったのか?どうして急に?」
ディーネは特にお菓子作りが趣味というわけでもない。
首を傾げる双子の弟にディーネはしたり顔で人差し指を振った。
「だめだなーそんなんじゃ。バレンタインでしょ今日は。どうせマールのことだから忘れてるだろうと思ったけど、そういう事にも意識を向けないと素敵な出逢いは訪れないわよ~?」
「む
……
」
マールは基本的には剣術にしか興味がないが、両親のような大恋愛にも憧れている節があるのをディーネは知っている。
モテたいわけではないけども、いずれ出逢うかもしれない運命の誰かに振られてしまうのも望んではいないだろう。
「
…
まぁなんにせよ、作ってくれたならありがたくいただくよ」
「うんうん、美味しくできたと思うからたくさん食べて!」
素直にカップケーキに手を伸ばしたマールに満足そうに頷くとディーネは二人分のカップに紅茶を注いだ。
「
…
うん、美味しいよ。父さんたちにはいいのか?」
「ちゃんと別に取ってあるわ。今はちょっと取り込み中みたいだし」
「ふうん?」
マールは早くも二つ目を取りながら部屋の扉に目を向ける。
気配は家の中に二人とも感じるので出かけているわけではなさそうだ。
ディーネの様子から気に掛ける必要はなさそうだと判断してカップケーキに意識を戻したマールと、二人でしばし楽しいティータイムを過ごした。
すっかりカップケーキも紅茶も楽しみ終えて二人は手分けして食器を持って部屋を出た。
「片付けは俺がしておくよ」
「えーいいわよ、片付けまで含めておもてなしってものだし」
「なんで自宅でもてなされるんだ
…
。とにかく俺も
…
」
話しながらキッチンに入った二人はそこで一瞬固まった。
キッチンにはひしと抱き合う両親の姿があったのだ。
いや、正確には強く母を抱き締める父の姿と言うべきか。
「
…
そういうのは部屋でやってくれ」
「違うんだマール!」
母譲りのジト目で言うと母、リィンは慌てて父、クロウを押し返すようにして引き離した。
するとクロウはわざとらしく口を尖らせてみせた。
「最愛の妻から最高のバレンタインプレゼントをもらったんだから感動して当然だろーが」
「そういうことはせめて食べてから言ってくれ」
気恥ずかしそうにリィンが逸らした視線を向けた先を見ると、小さめのホールのチョコケーキがおいてある。
艶やかな焦げ茶色に金銀のささやかな飾り付けがシックでリィンらしい。
「今までも美味しかったんだし問題ねぇだろ。いやむしろお前が作ってくれたってだけで最高なのに変わりはねぇしな!」
何故か自慢げに胸を張るクロウと照れたように眉を寄せて赤くなっているリィンに、マールは小さくため息をついた。
「だからそういうのは部屋で
…
」
「えーーいいなぁ!ママ!わたしには?!」
二人の甘い空気もなんのその、ディーネは持っていたポットとカップを洗い場に置くと羨ましそうにチョコケーキを見つめた。
そんな娘に表情を緩めてリィンは冷蔵庫を開けた。
「もちろん二人にも用意したぞ。こっちの蒼い飾りがディーネで、紅い飾りがマールのだ」
「やったー!」
「あ、ありがとう
…
」
諸手を挙げて喜んで早速ケーキを取り出すディーネに、気恥ずかしそうにしつつもディーネに続いてケーキを手元に取るマール。
二人それぞれの反応に微笑むリィンの横でクロウはにやりと笑った。
「こりゃホワイトデーの三倍返しは大変そうだなぁ?マール」
半ばからかうような父の笑みにマールはジト目を返した後、どこか得意げに息をついた。
「
…
実は、俺も用意してる」
「ええ!?」
大仰な驚き声をあげたのはディーネだった。
マールは照れたような顔を少し見せた後、ケーキを置いて足早に一度部屋に戻った。
そしてキッチンに再び顔を見せた時には手に可愛らしくラッピングされた三つの箱を持っていた。
「おいおいこれって帝都で話題の並ばねぇと買えない限定チョコじゃんか」
「ほんとだ!雑誌に載ってた!」
「そ、そうなのか?もしかしてマール、並んで買ったのか」
父、姉、母にかわるがわる言われてマールは気恥ずかしそうに眉を寄せた。
「日頃の感謝を表す日だって書いてあったし
…
。並ぶのは、まぁ瞑想の修行にちょうどよかったしそんなに苦にはならなかった」
「いやでもこれ一人一箱までじゃなかったか?」
こういうことにはやけに詳しい父の一言にマールはなんでもない風に頷いた。
「だから三回並んだ。起きるのも朝稽古の後でも間に合ったから」
「す、すごーい
…
わたしじっと並んでるなんて絶対無理
…
」
しゅんと眉を下げるディーネにマールは押し付けるようにチョコの箱を渡した。
「俺には手作りとか無理だし、お互い様だろ」
言ってから母と父にも箱を手渡していく。
そしてどこか挑むように父を見上げた。
「これで三倍返しは父さんだけだな」
するとクロウはふっと柔らかい笑みをうかべた。
「これなら、オレも遠慮しなくて済みそうだな」
『え』
クロウ以外の声が唱和するのとほぼ同時にクロウは先ほどのマールのように一度キッチンを出て、そしてほどなく箱を三つ手にして戻ってきた。
箱はそれぞれ違う色の包装紙とリボンでラッピングされている。
「ええーさすがパパ、可愛い箱!嬉しい!」
「む
……
ありがとう
…
」
双子はそれぞれ大切そうに箱を押し抱いて喜びを表した。
リィンは両手に乗る正方形の箱を目を輝かせてじっと見つめた。
「
…
ちょうどフィッシュバーガーサイズだ
…
」
「いや入ってねぇからな?しなっしなになるだろそれ」
クロウの返しにむう、と唸りつつもリィンもそれを大切そうに胸元に寄せた。
開けてみろ、と促されて三人はそれぞれ丁寧に包装を解いていった。
双子の箱の中に入っていたのはそれぞれ別の柄の大きめマグカップと、お湯に溶かして作る星型のホットチョコレートの素だった。
「可愛い!早速何か淹れようかなぁっ」
「大きいのは助かる
…
。読書に長く集中できるし」
気に入ったらしい双子に満足そうに頷いてリィンに視線を移す。
リィンの箱にはまた別の柄のマグカップと、そしてハートの形のホットチョコレートの素が入っていた。
加えて愛のメッセージを書いたカードも。
カードを手に取って、リィンはふわりと頬を緩めた。
「ありがとうクロウ。すごく嬉しいよ」
「ん、喜んでくれて何よりだぜ」
言ってクロウはぽんとリィンの頭を優しく撫でた。
こうやって撫でられるとリィンは今でも少し幼い顔で頬を緩める。
それを微笑ましそうに見つめてからクロウはぽんと手を打った。
「さーてディーネの言う通りお茶にするか」
「さんせー!ママのケーキも食べたい!」
「さっきカップケーキ食べたばっかりなのに、太るぞ」
ややからかうようにマールがそう言うとディーネは頬を膨らませた。
「今日はいいの!それに後でパパに手合わせしてもらうもん」
「いやオレ聞いてねーぞ。
…
まぁいいけどな」
大きめのやかんにお湯を沸かす準備をしつつリィンは笑った。
「ならおやつの後は久しぶりに二人に稽古をつけてあげようか」
「
…
!うん、頼む」
昔のリィンとよく似た生真面目そうに顔を輝かせて頷くマールに微笑みながらクロウはコーヒー豆を取り出す。
それぞれが飲み物の準備をしているとふとディーネが思いついたように顔を上げた。
「ね、これってホワイトデーは全員で三倍返しするってこと?」
「
……
そいつは豪勢なホワイトデーになりそうだなぁ」
クロウの言葉に思わず全員が笑み崩れた。
翌月に想いを馳せつつ、おやつに稽古と穏やかで楽しいバレンタインデーを一家は過ごしたのだった。
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