sn🪼
2025-02-14 20:18:32
583文字
Public 💰短い金カ夢
 

門倉部長のバレンタインデー

kdkr

 ドアを開けた瞬間、甘い匂いが鼻をついた。それに続いてリビングのドアから娘が顔を出す。
「パパ! おかえり!」
 駆け寄ってくる娘を抱っこしてやりたいが、まだ手も洗ってないし埃っぽい。はいはいただいまと声だけかけて、足にまとわりつく娘と一緒に洗面所へ。手を洗って顔も洗ってうがいをして、部屋着に袖を通してようやく娘を抱き上げる権利を得られる。なのに手を伸ばしたらヤッと言って一歩引かれてしまった。そういうの傷つくんだけどな……
「パパ? きょうはなんのひでしょう?」
 あー……この匂いはそういうことか。もう会社でチョコを配るなんてこともなくなったから忘れてた。
 ここはとぼけるべきか、当てるべきか。台所でニヤニヤするヨメに助けを求めても何のヒントもくれやしない。でもこの感じはあれだろ、親子で手作り的なやつ。手作りか、娘の……
 成長の早さにしみじみしてたら、娘は返事を待たずに後ろ手に隠したチョコレートの包みを差し出した。
「バレンタインデー! でした! はいパパ、どーぞ」
「おお〜〜、ありがとうな。よくできてるじゃん」
「うん! いちばんうまく作れたやつはね、〇〇くん。にばんめのは、ママ。さんばんめのは、パパだよ」
「へえ」
 ヨメが向こうで顔を伏せて肩を震わせてる。そうかあ。正直であれって教育したのは俺たちだもんなあ。うん。〇〇くんって誰。