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零ミリ
2025-02-14 12:22:29
1422文字
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掌一粒、知らない誰かの想い
むてらん 現パロ 无諦が医者やってて職場でチョコを貰ってます
「ただいま!!!」
「おかえり」
藍桐が帰宅して元気よく帰りを告げると部屋の中から无諦の声が返ってくる。手早く靴を整えると藍桐は部屋の中に飛び込む。无諦はソファで脱力しながらスマートフォンを弄っている。
「无諦! 帰っていたんだね! お腹空いていないかい!? すぐに用意するよ!」
「私も五分ほど前に帰ったところだ」
用意と言っても、もう十時前であり、自炊ではなく買ってきたあり物を温めるだけだ。藍桐は片手に下げたスーパーの袋から惣菜を取り出し電子レンジに入れる。白米は冷凍のものが残っていたはずだ。
「无諦、またたくさん貰ったねえ!」
手の空いた藍桐は、先程からテーブルの上で存在感を放っている紙袋を覗き込む。思った通り可愛らしい包装がされた箱が大量に入っている。職場の病院で今年も大量に貰ってしまったらしい。なお、藍桐のチョコレートは先週末に催事場で確保済で冷蔵庫でスタンバイしている。サプライズを出来ないのが同棲の悩ましいところである。
「バレンタインデーに医者にチョコを贈ることを禁止しろ
……
!」
「あっはっは!」
「友達の見舞いに来ている女子高生から貰うからもう意味が分からない」
「それ本命じゃない?」
「知るか。返礼は用意しないと言って受け取っているからそこまで考える義理はない」
「お医者様は大変だねえ!」
「藍桐、食べていいよ」
「悪い男だなあ! でも无諦が言うなら
……
」
藍桐は適当に袋から可愛らしい箱を取り出し、封を開ける。外装の箱に負けず劣らず可愛らしいチョコレートが六つ入っている。これは本命寄りな気がするが、无諦が言うなら別にいいのだろう。藍桐はハート型のチョコレートを摘み、片目を閉じてしげしげと眺める。そして自分の口に入れるのではなくチョコレートを持ったままそそっとソファの无諦に近付く。
「无諦、あーん!」
藍桐はニコニコと摘んだチョコレートを无諦の口元に差し出す。藍桐を見上げる无諦は手で受け取るのでもなく、口で受け取るのでもなく、藍桐をじっと見つめた後、自分の膝をぽんぽんと叩く。
「?」
「藍桐、こっちへ」
座れということだろうか? 藍桐はチョコレートを持ったまま无諦の脚の間に横向きにすっぽりと収まる。无諦の顔を間近で見るとやはり疲れている、と藍桐は思った。
「これでなら食べる」
「も〜无諦ってば!」
「ほら、食べさせてくれ」
「はい! あーん!」
藍桐の指から无諦はチョコレートを口に収める。気高い獣に餌付けをしているような達成感に藍桐はゾクゾクとする。
「美味しい?」
「美味しいよ」
「僕も食べようかな!」
「ああ、それなら」
无諦はチョコレートを口に含んだまま藍桐に口付ける。藍桐の口内でチョコレートを舌で転がし、チョコレートの甘さを溶かしていく。
「っはあっ」
「美味いだろう?」
「无諦! 君ってば本当に悪い男だね!」
「これならいくらでも食べられるな」
二人が至近距離で甘い言葉を囁き合っていると電子レンジから軽快なメロディが鳴る。藍桐は電子レンジの方を振り向く。
「ご飯、食べないと
……
」
立ちあがろうとする藍桐を无諦は抱きしめて留めさせる。
「駄目、もう少しこうしていたい」
「もう! 疲れているんだね、无諦! いいよ、君の気が済むまでいちゃいちゃしよう!」
藍桐はもう一個白いチョコレートを取り出し无諦の口元に押し付ける。そして自分から口付けを施した。
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